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ロシア製エンジンが使えず軍事衛星が打ち上げられない? アメリカ衛星打ち上げサービスの現状

2015年11月22日 | 宇宙 space
アメリカ空軍の次世代GPS衛星“GPS III”の打ち上げ契約の入札に、
アメリカの基幹ロケットを運用するユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社が、
参加しなかったそうです。

2006年に、ボーイング社とロッキード・マーティン社の、
衛星打ち上げ部門同士が合体し設立された会社がULA社です。

主に、デルタIVロケットとアトラスVロケットの運用を行い、
これまでにアメリカ国防総省やNASAなどの衛星を打ち上げてきました。

そうULA社は、
アメリカ政府向けに打ち上げサービスを提供してきた会社なんですねー


ロシア製エンジンの購入数制限

デルタIVロケットと違い、
アトラスVロケットにはロシア製エンジンが使われています。

ただ、このロシア製エンジンが、
クリミア半島をめぐるロシアとの対立が原因で、
アメリカ議会により購入数を制限されてしまいます。

アトラスVロケットは、そのロシア製エンジンがないと飛ばせず…
デルタIVロケットは価格が高く、他の入札者に勝てない…

またULA社ではアメリカ製エンジンを使う、
次世代ロケット“ヴァルカン”の開発を進めています。

でも、“ヴァルカン”の完成は早くても2019年で、
軍事衛星を打ち上げるための認証を得るには、さらに時間が必要だったりします。

なのでULA社では、
ロシア製エンジンの購入数制限を取り払う働き掛けをすることになります。

アメリカ議会に対して、
購入数の制限を取り払う法律を可決することを求めるのですが、
入札の期限までに認められず…
ULA社は、入札を辞退するしかなかったんですねー

この入札にはスペースX社も参加しているようですが状況は不明。

また、ULA社が辞退したことで競争入札にならなかったので、
仮にスペースX社が入札に参加していたとしても、そのまま受注できたかどうかは不明なんですね。

さて、アメリカ空軍の次世代GPS衛星の打ち上げは、どうなるのでしょうか?


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