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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

99.99%が暗黒物質で出来た銀河を発見!

2016年09月03日 | 宇宙 space
かみのけ座の方向に変わった銀河が発見されました。

この銀河が変な理由は、天の川銀河と同程度の質量を持つのに星が少なすぎること。

見えている質量が少なすぎるので、
銀河を1つにまとめる働きをする「何か」がないと銀河がバラバラになるはず…

どうやら、その「何か」は暗黒物質(ダークマター)のようです。


銀河をまとめる何かがある

イエール大学の研究チームが、ハワイにあるケック望遠鏡とジェミニ北望遠鏡を使った観測から、
かみのけ座銀河団内に新たに銀河を発見しました。

約4億光年彼方という宇宙スケールでは近いところにあるのに、
昨年になってようやく見つかったのは、この銀河“Dragonfly 44”がとても暗いのが理由でした。
スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(左)と、
ジェミニ望遠鏡でとらえた銀河“Dragonfly 44”

さらに詳しく調べてみると、
“Dragonfly 44”には見えている(電磁波で観測できる)以上の物質が存在することが分かってきます。

“Dragonfly 44”内部には「存在する星(見えている質量)が少なすぎるので、
銀河を1つにまとめる働きをする「何か」がないと、銀河がバラバラになるはずなんですねー

そこで研究チームは“Dragonfly 44”の質量を測るために銀河内の星の運動速度を測定。

星の運動が速いほど、銀河には多くの質量があるということになるので、
星の運動速度から“Dragonfly 44”の質量を求めてみると、太陽1兆個分と見積もられることに…
これは天の川銀河と、ほぼ同程度の質量になります。

ここで気になるのが、この全質量のうち星や普通の物質が占める割合です。
こちらも調べてみると、わずか0.01%だと分かったんですねー

つまり、残る99.99%はダークマター(暗黒物質)だということになります。

これほど大きな銀河でありながら、ほとんどがダークマターという銀河の存在は予想外でした。

質量のほとんどがダークマターという銀河はこれまでにも見つかっていましたが、
それらは“Dragonfly 44”よりもはるかに軽い矮小銀河でした。

“Dragonfly 44”のうような大きな銀河がどうやって作られたのでしょうか?

現時点では、まったく見当も付かないのですが、
“Dragonfly 44”は、ダークマターの研究に大きな意味を持ちそうです。

それは、天体のほとんどがダークマターということは、
星やその他の銀河内物質などとの混同を避けることができるからです。

質量の大きい新たな種類の天体を対象とした研究分野の幕開けになりますね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ アルマ望遠鏡の重力レンズ画像にゆがみを残した小さな銀河