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モバライダー mobarider

天の川銀河外で初! 大マゼラン雲にホットコアを検出。

2016年09月15日 | 宇宙 space
生まれたばかりの星を包む分子雲“ホットコア”が大マゼラン雲に見つかりました。

“ホットコア”が天の川銀河以外の銀河で見つかったのは初めてのことでした。

ただ天の川銀河のものと化学組成が著しく異なっているので、
星や惑星の材料になる物質の多様性を探る手がかりの1つになるのかもしれません。


星や惑星の材料物質を探る手がかり

星が誕生する“分子雲”と呼ばれる領域の大部分は、
マイナス260度以下と極めて低温なので、炭素・窒素・酸素といった分子の多くは、
氷の状態で存在しています。

“分子雲”で星が誕生し周囲の物質が暖められ始めると、氷が溶けてガスの状態で放出され、
星の周りには、暖められた“分子雲”が大量に存在する領域が形成されることになります。

こうした生まれたばかりの星を、
繭のように包む暖かい分子の雲は“ホットコア”と呼ばれています。

“ホットコア”には、一酸化炭素のような単純な分子から、
水や有機分子など生命に不可欠な分子まで存在しています。

そう、星や惑星の材料物質の化学的性質を探るうえで“ホットコア”は、
重要な研究対象になるんですねー

ただ、天体望遠鏡の性能不足や観測対象が少ないという理由で、
これまでの観測は、天の川銀河の中にある天体のみに限られていました。


物質の化学的多様性

今回の研究ではアルマ望遠鏡を使って、
約16万光年彼方の矮小銀河“大マゼラン雲”にある“ST11”という生まれたばかりの星を観測し、
世界で初めて、天の川銀河以外に“ホットコア”を発見しています。
大マゼラン雲に発見された“ホットコア”のイメージ図。
生まれたばかりの星を包む分子の雲や分子模型が描かれている。

見つかった“ホットコア”の特徴は、天の川銀河にある“ホットコア”と比較され、
大マゼラン雲の“ホットコア”に付随する分子ガスの化学組成が、
天の川銀河内のものと著しく異なることが明らかになります。

特に、大マゼラン雲ではメタノールやホルムアルデヒド、イソシアン酸といった分子が、
非常に少ないという点が大きな違いでした。

これは、“ホットコア”が形成される前の進化段階で進む、
氷の生成反応の違いが一因と考えられています。

また、二酸化硫黄や一酸化窒素といった他の分子についても、
現状の理論モデルでは統一的な説明がつかないような興味深い結果も得られています。

大マゼラン雲は天の川銀河と比べると重元素(水素やヘリウム以外の元素)の量が少なく、
この特徴は過去の宇宙の環境と似ています。

なので大マゼラン雲内の天体は、
宇宙における物質の化学的多様性を探る手がかりになるのかもしれません。

今後の研究の進展により期待されるのは、
宇宙における星や惑星、生命の材料になる物質の化学的多様性が、
次々と明らかになっていくことですね。


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