宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

なぜ宇宙人は見つからない? 太陽に似た恒星ばかり探していたからかも…

2016年09月25日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
人類は地球外知的生命との遭遇を夢見て、これまでかなりの宇宙探査を進めてきました。

科学技術の進歩によって、
以前ならば考えられなかった先の先まで見通せる望遠鏡を作ったり、
太陽系の果ての果てにまで飛んだ探査機だってあります。

でも、いまだに宇宙人との出会いを示す確たる発見は無いんですねー

この広い宇宙で、生命は地球上にしか存在しないのでしょうか?

まだ何も見つかっていないので、
現時点での回答は、地球だけが特別な星だということになりますね。

今回発表された論文には、地球外知的生命体の発見の可能性について書かれていて、
発見するには異なる観点から探査を進めなければならないそうです。


地球に似た環境を探す

私たちが知っていることは、地球には生命が存在するということです。

このことから、これまでの宇宙人探査は主に太陽に似た恒星を探し、
その恒星のハビタブルゾーンに地球に似た惑星がないかを調べていました。

  ハビタブルゾーンとは恒星からの距離が程良く惑星表面に液体の水が存在できる領域。
  生命が存在できる範囲。


もちろん、このアプローチには地球という実例があるので、
決して誤りではなかったでしょう。

そもそも他の形の生命体など知る由もなかったので、
太陽に似た恒星の周囲に生命が誕生した可能性が高いとの仮定に、
多くの人々がとらわれてきました。

私たちこそが、もっとも一般的な生命体であると考えがちなのは自然なことですね。


探す場所を変えてみる

ところが、ハビタブルゾーン内に存在する惑星は、
太陽に似た恒星の周り以外にも存在するんですねー

太陽より低温の“低質量星”の周囲にも存在するので、
ココを探せば、これまでより可能性が多くなることになります。

宇宙には太陽よりも大きく、さらに高温で輝く恒星も数多く存在しているものの、
ほとんどの恒星は、太陽より小さくて低温で輝いているようです。

低質量星であれば地球と太陽の距離ほど遠くなくても、
非常に近い軌道を周回する惑星上でも、液体の水が理論的に存在し得えます。
しかも、こうした低質量星は太陽の寿命より1000倍以上も長く輝き続けられるので、
ハビタブルゾーンにある惑星に生命が誕生するまでの時間も、
じっくり取ることができます。

地球上に生命が存在してきたように、低質量星の周囲に生命が存在可能だと仮定すると、
これから10兆年先までに、そこへ生命が誕生する可能性は1000倍も高まるそうです。

つまり、人類が宇宙人と出会えていないのは、
「これから時間をかけて誕生してくるものを、先走って探してきた」
ことにあるのかもしれないということ。

まぁー 単に探す場所の見当が外れていただけなのかもしてませんが…

いずれにせよ、様々な低質量星のハビタブルゾーン内にある惑星をターゲットにした、
研究や観測は進められつつあります。
  太陽系に最も近い恒星に地球サイズの惑星を発見
  地球型惑星GJ 1132bの大気に豊富な酸素を発見! でも生命の存在は…
  太陽系外の岩石惑星に大気を初めて確認

これまで考えられていたよりも近くに、
地球から移住できそうな惑星も発見されています。

意外と太陽には似ていなくても、低質量星がハビタブルゾーンを生み出せるなら、
発見が進めば進むほど、新しい可能性は広がることになりますね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽よりも小さく低温な恒星を回る惑星にも生命は存在する?


スペースシップ2が試験飛行を再開! 近づいてきた民間による宇宙旅行

2016年09月24日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
宇宙船“スペースシップ2”の2号機(ユニティ)が、
9月8日にカリフォルニアでの試験飛行を成功させたんですねー

ヴァージン・ギャラクティック社が開発している“スペースシップ2”は、
1号機が2014年の墜落事故で失われてから約2年ぶりの飛行になります。
少しずつ着実に宇宙旅行が近づいてきましたね。

サブオービタル宇宙船

民間による宇宙旅行の実現。
このために設立された会社がヴァージン・ギャラクティック社です。

開発中の宇宙船“スペースシップ2”はロケットで打ち上げるのではなく、
航空機“ホワイトナイト2”に吊るされて離陸。

上空で分離した後に、“スペースシップ2”のロケット・モータが点火され、
一般的に宇宙とされている高度約100キロまで上昇するんですねー

ただ乗客が宇宙空間を体験できるのは数分間で、
その後“スペースシップ2”は、地球を1周する前に飛行機のように地上に帰還する、
サブオービタル軌道を飛ぶことになります。

  “サブオービタル宇宙船”とは、スペースシャトルやソユーズ宇宙船などとは異なり、
  地球を回る軌道には乗らない宇宙船。
  同社はすでに“スペースシップ1”によって、高度100キロへの弾道飛行を成功させています。


宇宙専門の旅行会社

現在、ヴァージン・ギャラクティック社は広く宇宙旅行の顧客を募っています。

日本でも民間宇宙旅行を専門に取扱う“クラブツーリズム・スペースツアーズ”が設立され、
宇宙飛行のチケット販売が行ています。

その気になれば、宇宙行きのチケットが購入できる時代になったということです。
  “クラブツーリズム・スペースツアーズ”は宇宙専門の旅行会社

ヴァージン・ギャラクティック社は、
約2600万円で年間500人を宇宙旅行に参加させたいとしています。

旅行に参加した6人の乗客は100キロ上空の「宇宙」で、
無重力の体験や、漆黒の宇宙と地球の青という美しいコントラストを6分間楽しめるそうです。


2号機のテスト飛行

今回のテスト飛行は、“スペースシップ2”の空中分解事故から約2年ぶりになります。

“スペースシップ2”が母艦となる“ホワイトナイト2”に吊るされる形で行われ、
約15キロ上空を3時間43分にわたって飛行しています。

残念ながら2014年の事故では副操縦士が死亡し、
機長はパラシュートで脱出したものの重傷を負ってしまい、
“スペースシップ2”の1号機(VSSエンタープライズ)が失われることになりました。
  “スペースシップ2”の事故は、安全対策の不足と操縦士のミスが原因

テストでは2号機(ユニティ)が飛行に成功し、
そのパフォーマンスに関する計測が行われています。

再使用型ロケットで宇宙へ

他にも「宇宙旅行をリーズナブルに実現したい」と発表している民間企業があります。

その民間宇宙企業がブルー・オリジン社です。

ブルー・オリジン社を設立したのは、
インターネット小売り大手アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏。

ブルー・オリジン社は再使用型ロケット“ニュー・シェパード”を用いて、
2018年頃の宇宙旅行を目指しています。

“ニュー・シェパード”は単段式のロケットで、
垂直に打ち上げ、高度100キロの宇宙空間まで上昇した後、そのまま垂直に着陸し、
整備と推進剤の補給を行い、再び打ち上げることができる能力をもっています。

そして乗員を乗せたクルー・カプセルはパラシュートで着地します。
 
すでに“ニュー・シェパード”は3度目の着陸に成功していて、 
目標は旅客機のようなロケットだそうです。
  ブルー・オリジン社の“ニュー・シェパード”は3度目の着陸に成功!

天体の衝突で地球はほぼ蒸発… そして月ができたようです。

2016年09月23日 | 月の探査
月が形成される起源については、いくつかの仮説が提唱されてきました。

有力なのは、地球に火星くらいの大きさの天体テイアが斜めに衝突し、
バラバラになったテイアと地球の一部がまとまって月になった。
というジャイアント・インパクトという説です。

でも、1970年代にアポロ計画で採取された月のサンプルを再分析してみると、
その衝撃波は、これまでの仮説よりもはるかに強大だったことが分かってきます。

さらに、地球の一部とテイアから形成されたはずの月が、
地球と成分が似すぎているのも問題でした。

そう、「テイアだけでなく地球もほとんどが蒸発するほどだった」という可能性が、
高まってきたんですねー

今回発表された論文によると、
テイアが地球にぶつかる衝撃は「スイカをスレッジハンマーで叩くようなもの」だそうです。
地球とテイアが正面から激しくぶつかり合い、
極端な高温と強い衝撃によってテイアも地球の大半も蒸発、
そして凝縮することで月が形成された。


過去のサンプルを新技術で再分析

これまでジャイアント・インパクト説が支持されてきたのは、
月の大きさや軌道上の位置について、すんなり説明できたからです。

でも21世紀に入ってから、
アポロ計画で採取された月の石の組成を新しい技術で再分析してみると、
これまでの説では説明できないことが出てくることに…

最近進歩した技術で、1970年代のアポロ計画によるサンプルを再分析すると、
以前よりはるかに小さな違いを測定することができます。

1970年代には気付かなかった多くのことを発見するのですが、
古いモデルでは、この新たな分析結果を説明できません。

40年前の仮説が正しければ、
月を形成する物質の半分以上はテイアに由来するもののはず。

でも月の石を分析すると、地球の石と非常に似通っているんですねー


月の石と地球の石

月の形成時の状況を推定するためには、カリウムの同位体の分析が有効とされています。

そこで今回の研究では、カリウムの同位体をこれまでの10倍の精度で分析できる手法を開発し、
月の石と地球の石の違いを見出そうとしています。

その結果、たしかに違いはあったのですが、
むしろ月と地球の緊密な関係を、さらに裏付けるものとなります。

その違いとは、月の石にはカリウム41というカリウムの中でも重い同位体が、
地球の石より0.4パーミル多く含まれていること。  パーミルは1000分の1。

その状態を作り出すには、
これまでの仮説で考えられるより、はるかに高温な状態が必要とされ、
説明するには「地球とテイアが正面から激しくぶつかり合った」と考えるのが、
適切というわけです。

このモデルでは、
極端な高温と強い衝撃によってテイアも地球の大半も蒸発することになります。

そして、蒸発したものが地球の500倍のサイズまで広がった後に、
それらが冷えて凝縮した結果が「月」だということです。

今回の研究結果から、月の形成にははるかに大きな衝撃が必要だと分かりました。

これまでのジャイアント・インパクトのエネルギーでは足元にも及ばない、
極度のジャイアント・インパクトがあったようです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 月の誕生に新説

爆発から2年… アンタレスロケットが10月初旬に打ち上げへ

2016年09月22日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
2014に爆発事故を起こし、再起をかけて燃焼試験などを行ってきたアンタレスロケットが、
新型エンジンを搭載し、10月初旬に打ち上げられることになったんですねー


打ち上げ失敗と改良

オービタルATK社の中型液体燃料ロケット“アンタレス”は、
これまでに国際宇宙ステーションに向けて無人補給船“シグナス”を、
打ち上げてきました。

でも、2014年10月に行われた3回目のシグナス補給船の打ち上げミッションで、
アンタレスロケットは爆発することに…
  アンタレスの打ち上げ失敗は、エンジンに乾燥材が入ったから?

その後、アンタレスロケットは原因調査とロケットの改良を行うため、
打ち上げが出来ない状態になります。

ちなみに、アンタレスロケットの代わりにシグナス補給船の打ち上げに用いられたのは、
ユナイテッド・ローンチ・アライアンス社の“アトラスV”ロケットでした。
  1年振りの打ち上げ! 無人補給船“シグナス”が国際宇宙ステーションに到着

その後、オービタルATK社ではエンジンの切り替えや燃焼試験を行い、
再打ち上げに向けて準備を進めてきました。

10月初旬に打ち上げられる“アンタレス 230”に搭載されるのは、
ロシアのエネルゴマシュ社が製造するRD-181エンジン。
  “アンタレス”ロケット改良の目玉! ロシアから来た新エンジン

燃焼試験にも成功しているので、8月22日の打ち上げを予定していたのですが、
残念ながらこれは延期になります。

そして打ち上げは9月、10月初旬と数度にわたって再設定されています。
アンアタレスロケットの第1段機体の燃焼試験は、
5月31日にバージニア州のワロップス島で行われた。


今後の補給ミッション

この打ち上げでアンタレスロケットが打ち上げるのは、
国際宇宙ステーションへ物資を輸送するシグナス補給船になります。

現在、スペースX社のファルコン9ロケットの打ち上げ失敗などから、
物資の輸送ミッションには遅れがでているので、
アンタレスロケットの復帰に対する期待は高まっています。

民間宇宙企業が加わったことにより、一見順調に進んでいるように見える宇宙開発ですが、
旺盛な需要にロケットの供給が追いついていないのが現状なんですねー

個人的に気になるのは、スペースシャトルに似たリフティング・ボディで、
小さいながらも翼を持つシエラ・ネバダ社の補給船ドリーム・チェイサーです。
  “ドリーム・チェイサー”が宇宙へ! NASAの物資輸送でシエラ・ネバダ社が起用

すでにシエラ・ネバダ社はNASAと契約を終えていて、
スペースX社とオービタルATK社に加わり、
国際宇宙ステーションへの物資輸送行うことになります。

ただ、ドリーム・チェイサーの運用が始まるのは2019年から…
小型スペースシャトル“ドリーム・チェイサー”が宇宙へ飛び立つまで、
もう少し待つ必要がありますね。


天王星や海王星の作られ方が分かるかも? アルマ望遠鏡がとらえた巨大氷惑星の形成現場

2016年09月21日 | 宇宙 space
若い恒星の周囲に広がるガスやチリでできた円盤をアルマ望遠鏡で観測したところ、
円盤の中の暗い隙間の1つに、小さなチリが多く存在していることが分かりました。

ここに何があるのかを調べて見ると、
どうやら海王星程度の大きさの巨大氷惑星が存在しているようです。
  2万5000光年彼方に、天王星のような巨大氷惑星を発見

惑星が作られる現場

系外惑星の探査では、ここ数年で様々なタイプの惑星が数多く発見されています。

でも、それらの惑星が形成される過程を調べるには、
若い恒星を取り巻くチリやガスの円盤を観測することが必要になるんですねー

それは、こうした“原始惑星系円盤”の中で惑星が生まれるからです。

  原子惑星系円盤とは、
  新しく生まれた恒星の周囲を取り巻く濃いガスやチリが回転している円盤。


今回の研究では、約175光年彼方の恒星“うみへび座TW星”をアルマ望遠鏡で観測。

年齢1000万歳と若いこの星の周りには原始惑星系円盤が存在し、
LPレコードの溝のような複数の隙間も見つかっています。

このような隙は、円盤の中に惑星が存在すると作られることが理論的に予測されています。
なので隙間の構造を調べれば、惑星形成の過程や様子が分かるはずなんですねー
“うみへび座TW星”と隙間構造


電波でチリを観測

研究では半径22天文単位のよく目立つ隙間に着目し、2波長の電波で観測を行っています。

  1天文単位は太陽から地球までの距離。

異なる周波数の電波の強度はチリの大きさに関係しているので、
強度を比較することで、円盤内のチリの大きさが場所によって、
どのように異なっているのかが分かります。

そして観測から明らかになったのが、この隙間では大きいチリ(数ミリ)が少なく、
小さいチリ(数μミリ)が多く残っていることでした。

円盤内に惑星が存在し隙間を作っている場合、
円盤のガスとチリの相互作用によって、大きめのチリが隙間の中からはじき出され、
隙間の中には小さいチリのみが残ると予想されています。

今回の観測結果は、この予想と一致していたんですねー

観測結果と理論研究とを比較してみると、
惑星の重さは海王星より少し重いくらいであることもわかりました。
隙間構造と惑星質量の関係の予測線

さらに、中心星から22天文単位という距離は、
太陽系では天王星と海王星の軌道の間に相当することや、
“うみへび座TW星”が太陽とほぼ同じ重さだということを考えると、

この隙間で誕生している惑星は、
天王星や海王星とよく似た巨大氷惑星になる可能性が高いと考えられます。
“うみへび座TW星”と原始惑星系円盤、惑星のイメージ図

今後の研究で目指すのは、電波偏光をとらえる観測によって、
チリの大きさをより正確に見積もること。

また、隙間でのガスの量を調べるための観測では、
惑星の質量をさらに精度よく求めることもできるようです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ これまでの理論と一致しない惑星の誕生