akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

フィルムセンター【こども映画館(低学年向け)】

2007-07-28 | 活弁
今年でフィルムセンターでの【こども映画館~活弁と音楽の世界】に出演させていただくのも3年目になりました。満員御礼、子どもの反応も非常によく、会場笑いの渦になり、ほっとしています。
今年の低学年向け活弁上映作品は、無声映画期に絶大な人気を誇ったフランスの喜劇俳優マックス・ランデーの短篇喜劇3本、そして小津安二郎監督の初期短篇喜劇『突貫小僧』。

『マックスの近視眼』(1910年/仏)監督:リュシアン・ノンゲ 主演:マックス・ランデー
『マックスの快癒』(1911年/仏)監督・主演:マックス・ランデー
『マックスと犬』(1911年/仏)監督・主演:マックス・ランデー
『突貫小僧』(1929年/松竹蒲田)監督:小津安二郎 出演:斎藤達雄、突貫小僧(青木富夫)、坂本武

子どもたちは、映像にも、音楽にも、語りにも、とてもよく反応します。大人が「どこが面白いの?」というような単純で大袈裟な人物の動きや言葉に、自分なりのパターンをみつけ、次を想像しながらよく笑います。その反応を見聞きしながらやりとりをするように語るのは本当に楽しいです。

マックス・ランデーは、仏パテ・フレール社の数多くの喜劇役者の中で、端役傍役時代を経て、社の型に従って自分のスタイルを確立しました。人気スターになり、1910年に自分の名前を題名にする<マックス>のシリーズ連作が始まり、11年から監督も務めるように。しかし、病気に悩まされることが多く、『マックスの快癒』(11)では、術後の自分の私生活を喜劇にして描いています。1916年にはチャップリンの後任喜劇役者としてアメリカエッセネイ社と契約し、監督・主演で3本の映画を撮っていますが、療養のためアメリカを去り、その後フランスやアメリカで何本かの映画を撮りながら、1925年、20歳離れた若い妻と二人、幼い娘を残して心中してしまいます。

映像に映るマックス・ランデーの姿や顔は、いかにも神経質そうで、作品中では常に憮然としているか困っているか怒っているかなのですが、こどもたちはそんなマックス作品のナンセンスな展開に「ありえな~い!」とか「マックス~!おもしろ~い」と声をあげながら、大笑い。仏頂面のチョビ髭の紳士マックス・ランデーは、すっかり子どもたちの人気者なのでした。喜劇王マックスも喜んでいることでしょう。

『突貫小僧』では、自分たちと同じくらいの歳の鉄坊が自分を誘拐した大人たちを翻弄する様子にゲラゲラ大爆笑。青木富夫さんのあの子役ぶりは他の追随を許しません。坂本武や斎藤達雄とのやりとりも絶妙。小津監督がこの作品から、後の『生れてはみたけれど』や『出来ごころ』のヒントを得ているのは間違いありません。

FEBOの小沢さん永田さん、そしてフィルムセンターの皆さん、ありがとうございました。また8月3日(金)小学校高学年・中学生向け、宜しくお願いします。
今度は、伊藤大輔監督の『斬人斬馬剣』と、無声映画当時大ヒットを飛ばし社会的影響まで及ぼした『ジゴマ』。どんな反応が来るでしょうか。こちらも頭をひねりながら準備しています。
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