9月1日、鹿児島県の指宿市にお招きいただき、活弁公演をさせていただきました。
6月新潟での「全国まちづくりサミット」で活弁公演した際にご覧下さった指宿市長さんが、この活弁をぜひ市民にもということで、教育委員会の主催で早速実現した公演です。
空港を降りると、まだ真夏と思われるほどの日差し。南国の空気と開放的な風景、そしてアロハシャツの市職員上川床さんが出迎えてくださる。
「夏はアロハシャツが、指宿市職員の制服なんですよ」と笑う日焼けした顔。ちょっと和風のデザインのシャレたアロハシャツがはためく。十数年前からのクールビズだとか。
「ワイシャツにネクタイとは比べ物にならないくらい涼しいですからね。市役所のクーラーは夏も28度の設定なんですが、それでも充分ですから」28度。東京電力の勧める夏の温度設定ではないか。すばらしい。東京都庁で全員アロハシャツ…残念ながらありえない。
朝早い便で発ったため、夕方の公演まで時間がある。海岸沿いを南下し指宿まで、上川床さんが観光案内して下さった。
イッシーがいるという九州最大のカルデラ湖「池田湖」で体長1mもの大うなぎに驚き、
唐船峡で回転式そうめん流しを体験。上から流れてくるのではなく、テーブルの上でぐるぐる廻っている清水の中にそうめんを自分達で流して食べるのだが、これがなかなか面白い。足元を泳ぐイワナや鯉を見ながらのそうめん流し。市営の大きな施設は、夏休み最後という子ども連れでいっぱいだった。これは子どもにはかなり楽しいだろう。いつもの倍くらいそうめんを食べてしまうに違いない。市長のアイディアでこの施設の館長は全国から公募したという。多くの応募者の中から、大手のホテル経営に携わってきた北海道の方が就任した。市営だからスタッフも館長ももちろんアロハシャツ。ハワイアンセンターのような雰囲気だ。
それから薩摩半島最南端の地、霧島屋久国立公園の「長崎鼻」へ。鼻のように突き出ているから長崎鼻なのだが、ここからの風景はとても素敵。青い海とゆるやかなカーブを描いている海岸線、そこから繋がる独立峰「開聞岳」が美しく見える。
「開聞岳」は海から突然そびえたっているといってもいい、薩摩富士とも呼ばれる非常にきれいな円錐形をした山だ。標高924m「くによ」。知覧から沖縄へ飛び立つ特攻の飛行機は、必ずこの山を回旋し、「くによ、さらば」と飛び立っていった。だから、国土地理院がなんと言おうと、この山は924mでなければならないんですよ、と上川床さんが地元の人々の代弁をする。
南薩摩の風景を堪能し、いざ会場へ。
ふれあいプラザなのはな館。名前のイメージからは想像もつかないアバンギャルドな建築物が現われた。「宇宙防衛軍の要塞みたいでしょう」。確かに。光が反射する銀色の建物。両側がロケットでも発射しそうに突起している。非常に不思議な様相だ。敷地はかなり広い。30分ほどスコールが降ったが、からりとやむと、広いゲートボール場に再び人が集まってゲームを始めた。
2階の会場でセッティング。設備も新しく椅子もいい。スタッフの職員の方々、皆それぞれのアロハシャツ。制服といってもアロハならなんでもいいわけで、ワイシャツより個性が出て楽しい。じっとりした暑さの中で私もアロハが欲しくなってくる。
公演前のチェックを終え、指宿市湯の浜の海岸沿いのホテルにチェックイン。
温泉につかり汗を流し、非常にすっきりして、1時間半前に会場入り。
公演は、田原迫市長の挨拶から始まる。
今年度、指宿では、文化庁「文化芸術による創造のまち」支援事業として『学生子ども映画祭IN指宿』を開催している。子どもたちにホームビデオで3分の作品を撮ってもらうことで、自分たちが伝えたい漠然とした何かを問い直してほしい、成し遂げた達成感が自信に繋がり精神的な成長となってほしい、そうした願いを込めて行っている事業だ。次世代を担う子どもたちを取り囲む環境は非常に厳しいと市長は危惧しているのだ。そんな中、新潟での全国まちづくりサミットで観た活弁『明け行く空』。地域のコミュニティ全体が子どもたちを見守り育てていく様子、人の情に涙が出て、活弁上映会を地元の方々にもと強く思って下さったという。
ご覧いただいた作品は『チャップリンの勇敢』と『生れてはみたけれど』。
夏休み最後の土曜日、各地域ですでに様々なイベントが入っていたこともあり、会場いっぱいとはいかなかったが、上映中、笑い声は絶えず、終了後は「とても楽しかった」「感動した」「ほろりときました」と幾人もがお声をかけて下さった。
打ち上げはかなり盛り上がり、オススメの焼酎をずいぶんいただいてしまった。
急なことで、主催の教育委員会の方々はたいへんな思いをなさったはず。感謝である。私の公演が恩返しとなっていればいいが。そしてまた、多くの方にご覧いただけたら嬉しい。
翌朝。ホテルを出て、まずは有名な天然砂むし温泉へ。暖かい砂に埋もれること15分。足先まで温まり、血流がよくなる。
その後、知覧へ。武家屋敷庭園を歩き、知覧特攻平和会館へ御案内いただく。
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』の上映後ということもあり、とにかく入場者の多さにびっくり。以前伺った九段下にある戦没者の慰霊資料館があまりに静かだったので、そんなイメージを抱いて行ったのだが。展示資料の多さにも。もっと小規模なものかと思っていた。知覧から飛び立っていった若い青年たちの顔写真とともに、彼らの手記、家族からの、家族への手紙、飛び立つまでの生活が生々しく記されていた。
山間の道を縫って、鹿児島市を抜け、桜島を見ながら空港へ。私の方がすっかりお世話になってしまいました。鹿児島、最高でした。
6月新潟での「全国まちづくりサミット」で活弁公演した際にご覧下さった指宿市長さんが、この活弁をぜひ市民にもということで、教育委員会の主催で早速実現した公演です。
空港を降りると、まだ真夏と思われるほどの日差し。南国の空気と開放的な風景、そしてアロハシャツの市職員上川床さんが出迎えてくださる。
「夏はアロハシャツが、指宿市職員の制服なんですよ」と笑う日焼けした顔。ちょっと和風のデザインのシャレたアロハシャツがはためく。十数年前からのクールビズだとか。
「ワイシャツにネクタイとは比べ物にならないくらい涼しいですからね。市役所のクーラーは夏も28度の設定なんですが、それでも充分ですから」28度。東京電力の勧める夏の温度設定ではないか。すばらしい。東京都庁で全員アロハシャツ…残念ながらありえない。
朝早い便で発ったため、夕方の公演まで時間がある。海岸沿いを南下し指宿まで、上川床さんが観光案内して下さった。
イッシーがいるという九州最大のカルデラ湖「池田湖」で体長1mもの大うなぎに驚き、
唐船峡で回転式そうめん流しを体験。上から流れてくるのではなく、テーブルの上でぐるぐる廻っている清水の中にそうめんを自分達で流して食べるのだが、これがなかなか面白い。足元を泳ぐイワナや鯉を見ながらのそうめん流し。市営の大きな施設は、夏休み最後という子ども連れでいっぱいだった。これは子どもにはかなり楽しいだろう。いつもの倍くらいそうめんを食べてしまうに違いない。市長のアイディアでこの施設の館長は全国から公募したという。多くの応募者の中から、大手のホテル経営に携わってきた北海道の方が就任した。市営だからスタッフも館長ももちろんアロハシャツ。ハワイアンセンターのような雰囲気だ。
それから薩摩半島最南端の地、霧島屋久国立公園の「長崎鼻」へ。鼻のように突き出ているから長崎鼻なのだが、ここからの風景はとても素敵。青い海とゆるやかなカーブを描いている海岸線、そこから繋がる独立峰「開聞岳」が美しく見える。
「開聞岳」は海から突然そびえたっているといってもいい、薩摩富士とも呼ばれる非常にきれいな円錐形をした山だ。標高924m「くによ」。知覧から沖縄へ飛び立つ特攻の飛行機は、必ずこの山を回旋し、「くによ、さらば」と飛び立っていった。だから、国土地理院がなんと言おうと、この山は924mでなければならないんですよ、と上川床さんが地元の人々の代弁をする。
南薩摩の風景を堪能し、いざ会場へ。
ふれあいプラザなのはな館。名前のイメージからは想像もつかないアバンギャルドな建築物が現われた。「宇宙防衛軍の要塞みたいでしょう」。確かに。光が反射する銀色の建物。両側がロケットでも発射しそうに突起している。非常に不思議な様相だ。敷地はかなり広い。30分ほどスコールが降ったが、からりとやむと、広いゲートボール場に再び人が集まってゲームを始めた。
2階の会場でセッティング。設備も新しく椅子もいい。スタッフの職員の方々、皆それぞれのアロハシャツ。制服といってもアロハならなんでもいいわけで、ワイシャツより個性が出て楽しい。じっとりした暑さの中で私もアロハが欲しくなってくる。
公演前のチェックを終え、指宿市湯の浜の海岸沿いのホテルにチェックイン。
温泉につかり汗を流し、非常にすっきりして、1時間半前に会場入り。
公演は、田原迫市長の挨拶から始まる。
今年度、指宿では、文化庁「文化芸術による創造のまち」支援事業として『学生子ども映画祭IN指宿』を開催している。子どもたちにホームビデオで3分の作品を撮ってもらうことで、自分たちが伝えたい漠然とした何かを問い直してほしい、成し遂げた達成感が自信に繋がり精神的な成長となってほしい、そうした願いを込めて行っている事業だ。次世代を担う子どもたちを取り囲む環境は非常に厳しいと市長は危惧しているのだ。そんな中、新潟での全国まちづくりサミットで観た活弁『明け行く空』。地域のコミュニティ全体が子どもたちを見守り育てていく様子、人の情に涙が出て、活弁上映会を地元の方々にもと強く思って下さったという。
ご覧いただいた作品は『チャップリンの勇敢』と『生れてはみたけれど』。
夏休み最後の土曜日、各地域ですでに様々なイベントが入っていたこともあり、会場いっぱいとはいかなかったが、上映中、笑い声は絶えず、終了後は「とても楽しかった」「感動した」「ほろりときました」と幾人もがお声をかけて下さった。
打ち上げはかなり盛り上がり、オススメの焼酎をずいぶんいただいてしまった。
急なことで、主催の教育委員会の方々はたいへんな思いをなさったはず。感謝である。私の公演が恩返しとなっていればいいが。そしてまた、多くの方にご覧いただけたら嬉しい。
翌朝。ホテルを出て、まずは有名な天然砂むし温泉へ。暖かい砂に埋もれること15分。足先まで温まり、血流がよくなる。
その後、知覧へ。武家屋敷庭園を歩き、知覧特攻平和会館へ御案内いただく。
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』の上映後ということもあり、とにかく入場者の多さにびっくり。以前伺った九段下にある戦没者の慰霊資料館があまりに静かだったので、そんなイメージを抱いて行ったのだが。展示資料の多さにも。もっと小規模なものかと思っていた。知覧から飛び立っていった若い青年たちの顔写真とともに、彼らの手記、家族からの、家族への手紙、飛び立つまでの生活が生々しく記されていた。
山間の道を縫って、鹿児島市を抜け、桜島を見ながら空港へ。私の方がすっかりお世話になってしまいました。鹿児島、最高でした。