岩波ホールで開催中の「ジョージア映画2022」。
ジョージア無声映画の傑作と謳われた『エリソ』(1928年)とても良かった。
ロシア帝政下で抑圧され強制的にトルコに移住させられた民の悲運が、ドラマティックに描かれている。
いつの時代にも、理不尽に権力を振りかざす者がいて、裏切る者がいて、騙される民がいて、引き裂かれる恋がある
非常に印象的だったのは、村を追われ仲間が死に悲しみに嘆く民たちが、一人が鼓舞するように踊り出すと次第に皆が踊り出し、力強い歓喜の乱舞になっていくシーン。
数年前、大感動したジョージア舞踊団の激しく美しい舞台が脳裏に甦った。
こうした幾多の苦難を、踊り歌い、鼓舞することで皆で乗り越えてきた民族なのだ。
コミカルな剣劇シーンや緻密なモンタージュシーンなど、見ごたえのある一作だった。
併映の『アラヴェルディの祭』にも、何時間もひたすら踊り続ける男たちが描かれていて、伝統文化や民族性に浸った2時間だった。