福島フォーラムで9月11日から1週間だけの上映。早速初日に見てきました。客席は8割の入りです。
簡単に言うと、戦場へ出征し、中国本土で四肢を失う怪我をして村に戻ってきた夫を妻(寺島しのぶ)が世話をしていく物語です。「キャタピラー」とは「芋虫」のことで、江戸川乱歩の「芋虫」がモチーフのようです。乱歩作では戦争で四肢を失った夫へ妻のサディスティックな感情が暗い笑いを誘いますが、「キャタピラー」のほうは妻の苦悩・哀しさを前面に出しています。
村人に「生ける軍神」ともてはやされたところで、夫は四肢を失い、頭部が焼けただれ、耳も聞こえず、言葉も上手くしゃべれない…。だが、夫は自分の意志を持ち、食欲だって、性欲だって人並みに持っています。寺島しのぶが夫に対する複雑な感情を上手く表現していました。哀れみ、復讐心、同情、諦め、希望…などの感情をシーンごとに上手く出していて、これがベルリン国際映画祭コンペティション部門最優秀女優賞につながったのかなと思いました。「軍神」である夫がいるという、妻が感じる重圧感が見事です。寺島しのぶって、あまり華がなくて一般の女性を演じるのに適しているようです。それに極々自然に脱いじゃうのが素敵です。知らない間にお尻を出していても、違和感がありません。
映画全体としては反戦カラーで染まっています。夫婦のストーリーの間に、大本営発表の戦果ラジオ放送や東京大空襲・原爆投下・玉音放送などの実写フィルムが挿入されていました。見ている側としては、夫の中国での現地人強姦トラウマとかラストの急展開(水面で自分の姿を覗いてからのことなので、敗戦を察して自ら…ですよね。)とかにやや説明不足を感じました。でも、反戦にとどまらず、人間の「生と性」を荒々しくもしっかりと描いていると感じました。
☆ 総合評価 78点
簡単に言うと、戦場へ出征し、中国本土で四肢を失う怪我をして村に戻ってきた夫を妻(寺島しのぶ)が世話をしていく物語です。「キャタピラー」とは「芋虫」のことで、江戸川乱歩の「芋虫」がモチーフのようです。乱歩作では戦争で四肢を失った夫へ妻のサディスティックな感情が暗い笑いを誘いますが、「キャタピラー」のほうは妻の苦悩・哀しさを前面に出しています。
村人に「生ける軍神」ともてはやされたところで、夫は四肢を失い、頭部が焼けただれ、耳も聞こえず、言葉も上手くしゃべれない…。だが、夫は自分の意志を持ち、食欲だって、性欲だって人並みに持っています。寺島しのぶが夫に対する複雑な感情を上手く表現していました。哀れみ、復讐心、同情、諦め、希望…などの感情をシーンごとに上手く出していて、これがベルリン国際映画祭コンペティション部門最優秀女優賞につながったのかなと思いました。「軍神」である夫がいるという、妻が感じる重圧感が見事です。寺島しのぶって、あまり華がなくて一般の女性を演じるのに適しているようです。それに極々自然に脱いじゃうのが素敵です。知らない間にお尻を出していても、違和感がありません。
映画全体としては反戦カラーで染まっています。夫婦のストーリーの間に、大本営発表の戦果ラジオ放送や東京大空襲・原爆投下・玉音放送などの実写フィルムが挿入されていました。見ている側としては、夫の中国での現地人強姦トラウマとかラストの急展開(水面で自分の姿を覗いてからのことなので、敗戦を察して自ら…ですよね。)とかにやや説明不足を感じました。でも、反戦にとどまらず、人間の「生と性」を荒々しくもしっかりと描いていると感じました。
☆ 総合評価 78点