井上もやしの日常

ほぼ「つぶやきの墓場」となっております。ブログやSNSが多様化して,ついていけないのでございます。

1学期末で小中学生1,000人が転校へ

2011-07-24 13:35:57 | Weblog
 福島県のほとんどの小中学校は7月20日に1学期の終業式を迎えました。それをきっかけに小中学生約1,000人が県外へと転校します。もちろん理由は原発事故の人体への影響を心配してです。春休みには小中学生約12,000人が県外に転出したので、第2波です。

 県内のあちらこちらで放射性セシウム等が検出されているので、転出する子どもやその親御さんの気持ちは痛いほど分かります。国や県が「直ちに健康被害は出るレベルではない。」と言っても、低線量で何十年も生活を続ける住民が安全であるといったデータに乏しいのです。妊娠しているお母さん、小中学生の子どもを持つお母さんの心配は半端ではないはずです。現在のところ、野菜や畜産品への被害(実害も風評被害も含めて)も大変なことになっています。しかし、最後は人間に来るはずです。数十年後先に、「福島県出身者とは結婚したくない。」等の話が出ないとも限りません。チェルノブイリ原発事故や水俣病などの公害病の教訓が全く生かされていません。爆発時のバカ高い放射線量や気象情報を封印しておいて、細野原発担当相(この人って、かつての山本モナ担当大臣でしょ!)が言う「住民がパニックになるから、すぐに公表しなかった。」なんて言い訳にもなりません。

 県は8月あたりに県民全員の健康調査を実施すると言っています。3月の水素爆発の頃にどこにいて(屋内・野外など)、何を食べたかなどを日付ごと(!)に調査用紙に記入させ、長期にわたって県民の健康状況を追跡するそうです。でも、5ヶ月も経ってから爆発後の1日1日の行動を思い出せるのか甚だ疑問です。私の場合、当時は通常の接客業務が完全ストップし、臨時打ち合わせとか顧客訪問とかばかりをやっていたので、その時の打ち合わせ要項を見返せば何とか行動は分かります。でも、何を食べたかとなると、まったく記憶にありません。多分、その頃は食堂もコンビニも閉まっていたので自宅から持っていったおむすびを食べたのでは?と思う程度です。対応が遅すぎます。

 おまけに月曜日の雑誌戦争が激化しています。そう、週刊現代と週刊ポストです。10年ほど前は、両誌共にヘアヌードで売り上げを競っていましたが、ここ数ヶ月は原発被害です。「現代」は殊更に放射線の危険性を煽り立て(←画像参照。一番下は同様に危険性を煽るAERAです。)、「ポスト」は現在の低線量では全く問題ないという主張です。「ポスト」が今の線量は大したレベルではないということは、裏を返せば、50年ほど前の米ソ中が原水爆実験を繰り返していた頃は今とは桁違いに放射能レベルが高かったということですから、1960年生まれの私にとってはこちらもとってもとっても怖い話です。

テレビのアナログ番組終了

2011-07-24 13:16:50 | Weblog
 蒸し暑い夏の真っ昼間に歴史的な瞬間がやってきました。正午と共に、突然、動かない画面となりました。生まれてからテレビ音声の多重音声化、中波ラジオ局のプリエンファシス化・9kHzステップ化・ステレオ放送化、FMラジオ放送の文字情報放送「見えるラジオ」などを経験していますが、今回のテレビデジタル化が一番大々的に行われたものだし、世間一般を巻き込んだものだと感じます。

 画像はNHKのBS11の画像です。正午と共にこうなりました。BS7はゴルフ中継をしていたので、少し前から「正午で放送は終わります。」とテロップが流れていました。アナログBS放送は今日で見られなくなりましたが、福島県は震災が大きかった岩手県・宮城県と共に来年3月末まで地上アナログ放送が見られます。それまでに受像器を買い換えねばと思っています。

なでしこ優勝以外では

2011-07-19 00:18:29 | Weblog
 なでしこジャパンの女子ワールドカップ優勝が今一番の話題でしょうが、この3連休で気になったことをいくつか書きます。

 まずは、岩本忠夫さんが15日に慢性腎不全で亡くなった件。土曜の新聞で知りました。避難先の福島市で82歳で亡くなりました。岩本さんは1985年から5期双葉町長を務めた方です。社会党の県会議員時代には原発に反対していましたが、社会党から離脱して、町長選に立ってからは原発推進派となったため、「転向」したと言われ続けた人です。転向の理由は、町の赤字財政を立て直すためとも、長女が東電社員と結婚したためとも言われていますが、本当のところはよく分からないようです。佐野眞一さんの「津波と原発」にも岩本町長についてちょっぴり書かれています。この本では、本人は人工透析の疲れで寝ていてインタビューできず、元反原発同志やご長男の話が載っているのみです。町と原発とが上手く行っている時代の町長ですが、「原発事故のために双葉町から福島市へ車で避難しているときに、父は『東京電力が安全と言っていたのを信じていたのに。』と憤慨していた。」というご長男の話がとても哀しいです。

 日曜日午後3時半からはWOWOWで「総天然色(←モノクロ画面に着色したという意味です。)ウルトラQ」の放送がありました。既に、リマスタリングしたモノクロ版はWOWOWで放送中だったので、この30分番組はこれから発売される「総天然色ウルトラQ」のDVD・ブルーレイの宣伝かなと思っていました。何の解説もなく番組が始まり、タイトルを見たら、「火星からの贈り物」。あ、ナメゴンの回です! モノクロ画面に後から色を乗っけたわけですが、想像以上に自然な仕上がりです。色調は現在の映画や地デジテレビと比べると、少し淡い感じです。「どうしてナメゴンの回なのかな?」と疑問だったので、見終わってから調べると、WOWOWのサイトでどの怪獣をカラーで見たいかとの投票が行われていました。一位がナメゴンって本当かなぁ。ガラモンとかカネゴンとかペギラとか、もっとウルトラQらしい怪獣がいると思うのですが。

 それから、今回のTFM「あ、安部礼司」。涼しいスポットを探す話でしたが、矢田三郎さんが飯野君みたいな声で「せんぱーい!」って言うのに笑っちゃいました! 最初、飯野君が呼んだのかなと思いました。しかし、録音したものを何度も聞くと、矢田さんがそっくりに口真似しているのです。そう言えば、さっきの「ウルトラQ」のパイロット助手・一平さんも万城目さんを「せんぱーい!」って呼んでました。

 それから、牛肉のセシウム汚染問題で浮上した稲わらの高濃度セシウム。こちらでも会津地方や中通り南部は放射性物質の影響はほとんどないと考えられていました。しかし、ここまで広範囲にセシウム等が検出されるのははっきり言ってショックでした…。

ベイビィ・ポータブル・ロック

2011-07-13 00:00:38 | Weblog
 日曜日午後5時からTFMで放送しているラジオドラマ「あ、安部礼司」は途中に懐かしのメロディー(番組では「ツボな選曲」と言っています。)が流れます。大概は1980年代後半から90年代前半に掛けての日本のヒット曲です。プリンセス・プリンセスやボウイ、尾崎豊、リンドバーグ、バービー・ボーイズあたりが流れます。番組の登場人物が30代という設定(放送開始からずいぶん経っているので、彼らもそろそろ40代ですけどね!)なので、彼らが多感な思春期の頃に流行った曲という意味でしょう。
 
 しかし、時々、何故か私が中高生の頃に流行った曲も流れてきてびっくりするときがあります。先月は、布施明の「君は薔薇より美しい」やBUZZの「ケンとメリー~愛と風のように~ 」、ゴダイゴ「Monkey Magic」が流れたので、どこらに聴取者のターゲットを置いているのかなと悩みました。

「ケンとメリー~愛と風のように~ 」が番組で流れた6月26日に、同様に放送されたのがピチカート・ファイヴの「ベイビィ・ポータブル・ロック」(←あ、日産のCM曲つながり?!)。これが明るくてとっても上質。すぐに欲しくなって、ヤフオクで探しました。アルバム「ピチカート・ファイヴJPN」が中古690円で即決だったので購入しました。初めてピチカートを聞いたのですが、「あれ、これってどこかで聞いたことがある。」って曲ばかりです。 

「縮む福島」って…

2011-07-10 22:44:53 | Weblog
 明日は7月11日なので、震災発生から4ヶ月たつことになります。午前10時前に朝刊を眺めながら、「結局、マスコミが風評被害を煽ってるのではないか!」と思っていたら、ゴゴゴゴゴという音と共に三陸沖が震源の地震がやってきました。当地は震度3だったようです。

 どう綺麗事を言っても福島第一原発から20km圏内は今後数年間、自由に人が往来できないだろうし、福島県内各地にばらまかれた放射性セシウム等は数十年間住民に何らかの影響を与え続けることでしょう。住居や道路の除洗の必要性が叫ばれていますが、本当に上手く処理しなければ単に地下水や下水へと流れていくだけで、放射性物質は簡単になくなりません。放射能ってやつは人間の力では簡単になくせません。「原発はトイレのないマンション」とはよく言ったものです。

 放射線の恐怖から他県へ引っ越していく住民もかなりに上ります。実際、新潟県、東京都、山形県などへ原発の水素爆発以降3万5千人くらいの人が避難しています。原発事故がさっぱり収束しないので、夏休みになったら小中学生の子どもを連れて避難したいという母親の話もよく聞きます。(仕事があるので父親は福島に残して、母親と子どもたちで避難するそうです。(>_<))

 県民が他県に流出し、震災や原発事故による失業者が増え、風評被害から農作物や観光産業が大打撃で、福島県の税収は間違いなく激減します。死ぬまで福島県に住み続けるつもりの私らに未来はあるのでしょうか。

佐野眞一著「津波と原発」

2011-07-09 22:55:19 | Weblog
 東日本大震災の福島市での震度は最近修正されて「6弱」となりました。近所を見渡しても、屋根瓦の修理が間に合わず(屋根瓦が落ちた家屋が多いのに、現在は瓦職人が不足しているそうです。)、ブルーシートを掛けただけの家もかなりあります。コンクリートの基礎部分が歪んでしまって、すっかり建て替える家も3軒先にあります。
 
 また、今日、菅総理大臣が民主党全国幹事長・選挙責任者会議で原発事故処理には最終的には数十年単位掛かるだろうと発言したそうです。東京都の食肉処理工場の検査で、福島県南相馬市内の畜産家が出荷した黒毛和牛1頭の首部の肉から、国の基準(1キログラムあたり500ベクレル)の4.6倍にあたる2300ベクレルの放射性セシウムを検出したという話もありました。まだまだ震災は尾を引いています。

 今朝、書店で手にしたのが、佐野眞一さんの「津波と原発」です。佐野眞一さんはルポライターで多くの本を世に出しています。私が読んだのは「遠い『山びこ』」(←無着成恭の「山びこ学校」の教え子たちを追ったもの)、「東電OL殺人事件」とその続編と言える「東電OL症候群」くらいですが、現場に行ってその土地の臭いを感じ、その時代の空気や風俗と上手く混ぜて書く手法は秀逸です。「東電OL~」でOL殺しの容疑者ゴビンダ・プラサド・マイナリさんの故郷ネパールを訪ねるくだりはルポルタージュの鑑です。

 さて、この「津波と原発」。本当は今の時期って、担当しているお客さんにレポートを作成しなければならない時期なのですが、目が本へ行ってしまいます。全体的にはまだ読んでいませんが、この本も現場を歩いた跡が窺えるし、福島県における原発の歴史を地元紙や町史などから丹念に拾い集めて文章を紡いでいると感じさせました。それも全く感情的ではなく、淡々とした文章で。震災以降、特に5月以降、週刊誌で「放射線特集」みたいなものにページが割かれています。「週刊ポスト」や「週刊現代」は非常にセンセーショナルに「福島市には人は住めない」とか「首都圏にもホットスポットが数多く存在する」とか「50年前のほうが空間放射線量は遥かに高かった」とかを書いています。「週刊文春」も現場取材の記事を前述の誌と比べてやや控えめに載せていますが、地元民からすると信じられない間違いがあったりします。【例:「原発収束の作業員は原発からずっと南にある小名浜(茨城県)の旅館に寝泊まりしている。…」 ← おいおい、小名浜は福島県です!】

 週刊誌がこうなので、佐野さんの取材力とそのきめ細かさに頭の下がる思いです。第2部第3章「なぜフクシマに原発は建設されたか」は過去をひもといて丹念に調べないと書けない内容です。ここだけでも、現在の原発問題を考えるときの出発点になる話です。個人的には第2部第1章の「誤解を恐れずに言えば、大津波は人の気持ちを高揚させ、饒舌にさせる。これに対して、放射能は人の気持ちを萎えさせ、無口にさせる。それが、福島の被災者が三陸の被災者のような物語をもてない理由のように思われた。放射能の本当の恐ろしさとは、内面まで汚染して、人をまったく別人のように変えてしまうことなのかもしれない。」という一節が心にガツンと来ました。そう、我々は見えないものの影に怯えているのです。