井上もやしの日常

ほぼ「つぶやきの墓場」となっております。ブログやSNSが多様化して,ついていけないのでございます。

映画「風立ちぬ」 ~計算尺って,今のパソコンかぁ~

2013-08-01 00:22:30 | Weblog
 ホントに久々の更新です。4月に着任した職場は慣れないことばかりで,身も心もぼろぼろでした…。

 29日は今年度初めての年次有給休暇を取って,ちょっぴり気分転換です。見に行った映画は宮崎駿監督の「風立ちぬ」。先日,この作品は韓国のネット界で「戦争美化作品を作るな!」と糾弾されたとか。

 主人公はゼロ式戦闘機設計者の堀越二郎。あらすじは「シネマトゥデイ」から転載します。(ここから引用)ストーリー:大正から昭和にかけての日本。戦争や大震災、世界恐慌による不景気により、世間は閉塞感に覆われていた。航空機の設計者である堀越二郎はイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬し、いつか美しい飛行機を作り上げたいという野心を抱いていた。関東大震災のさなか汽車で出会った菜穂子とある日再会。二人は恋に落ちるが、菜穂子が結核にかかってしまう。(引用終わり)

 まず,戦争を美化しているとは全く感じられませんでした。戦闘機の空気抵抗を少なくしたり,重量を減らしたりと,それは技術者として当然の進むべき方向であるわけで,戦争賛美とは違ったものでした。どっちかというと「堀越二郎美化」っていうか。

 仕事一筋に真っ直ぐに生きている二郎が正直言ってうらやましいです。たばこをくゆらせながら,図面を引いたり,片手で計算尺を動かしたり,同僚と意見を戦わせたり…。誇りを持って,幼少期から目指していた道を進んでいく姿が美しくもあり,私には少し嫌悪感を抱かせます。要は余りにもエリート然の,優等生の描き方なのです。やることなすことが素敵で非の打ち所のない完璧な生き方なのです。挫折や苦悩を乗り越える力強さも備わり,余りに立派すぎます。

 その辺の突っ込みを予想して,堀辰雄もモデルの一人としているのですね,きっと。やがて結核と闘うようになる菜穂子が仕事一筋の二郎の生き方と絡み合い,二郎に人間的な深みを持たせます。喀血した菜穂子を見舞うために急いで列車に乗るものの,車中で泣きながら設計図を描いている姿が観客の心をつかんだはずです。

 ☆ 総合評価 82点