「あれぇ,アマチュア無線局の再免許申請って今年だっけかぁ?」と封筒の中にある無線局免許状を見て驚いた。有効期間が何と明日までである…。
趣味としてアマチュア無線を行うには,免許が2つ必要となる。1つがアマチュア無線従事者免許証,そして,もう1つが無線局免許状である。車で例えれば,前者が自動車運転免許証,後者が車検証のようなものである。従事者免許証は取得してしまえば死ぬまで有効であるが,無線局免許状は5年ごとの再免許となる。今までの更新時には,JARL(日本マチュア無線連盟)から届く季刊の薄っぺらい雑誌「JARL NEWS」の自分宛のラベルの下に印字された局免の有効期限を見て忘れずに更新していた。ところが,JARLの終身会員切り捨てで2年ほど前からその雑誌が届かなくなり,さらに日々の忙しさもあり,机の端っこに置かれた局免許状のことは意識することもなかった。
何のきっかけか,開局して第一声を発したのはクリスマスだったのを思い出し,試しに無線局免許状を見てみると,上記のように有効期間は翌日までであった。はたから見ると「切れていない」状態と思えるが,再免許手続きは有効期間が切れる1ヶ月前までに行うようにと定められているから,アウトである。しかし,ものは試しと,翌日に無線局関係の業務を管理する東北総合通信局無線通信部陸上課に電話してみた。
私「無線局免許状を見たら,有効期間が今日まででした。どうにか再免許手続きができないでしょうか?」
係「ははは,今日までですかぁ。1ヶ月前までの手続きが決まりですから,新たに開局申請となりますね。」
私「そうなんですかぁ…。初めからやり直しですね。」
係「ちなみに,貴方のコールサインは?」
私「JJ7***です。」
係「ええと,貴方の無線機は技術適合機ではありませんから,JARDかTSSに保証認定を受けてからの開局申請となります。」
私「再免許手続きを遅れないで済ませれば,今までの無線機をそのまま使えたのですね?」
係「そう言うことです。20年くらい前から技適制度が始まったから,それ以前製造の無線機で開局するとなると保証認定を受けなければならなくなったのですよ。」
私「当時のJARL登録機でも,新規の開局となると保証認定が必要なのですね。では,最近の無線機を買えば,保証認定も必要ないですよね?」
係「最近の大部分の無線機なら技適証明番号がラベルに書かれていますから,その番号を開局申請書に書けば問題ないです。もちろん,保証認定代も掛かりません。」
私「分かりました。新しめの無線機を購入して,開局申請します。ありがとうございました。」
というような会話があったように記憶している。
補足すれば,私が開局したのは平成2年の暮れである。144と430MHzで送信可能なハンディートランシーバーでスタートした。当時は開局にあたりJARL登録機種であれば,送信機系統図等の添付資料なしで開局申請ができた。その数年後,電波法の技術基準に適合している無線機にのみ「技適マーク(技術基準適合証明)」を貼り,開局の際にはその番号を申請書に書くシステムへと変わった。だから,それ以降の日本の代表的な無線機メーカー製以外の,たとえばかつてJARLにお墨付きをいただいたはずのJARL登録機も,自作機も,中華無線機などの外国製の無線機も,JARD(日本アマチュア無線振興協会)かTSSに送信機系統図や工事設計書を送付して保証認定をしてもらわなければならなくなったのだ。台数によって両者の金額は微妙に違うのであるが,申請に当たって5,6千円ほど掛かってしまう。
そう考えると,技適マークのある新しい無線機を買う方が得策と思えたため,年末の休みにヤフオクで無線機を物色することとなった。結論から言えば,ヤエスのFT-817である。キャリングタイプのオールモード機である。候補としてはヤエスFT-897もいいと思ったが中古品しか出品されておらず,中古品では終段部分のパワー劣化が進んでいる場合も(突然のパワー抜けの可能性もあり)考えられるので,新品のFT-817にねらいを定めた。ヤフオクもアマゾンも楽天も70,000円ほどで売られていた。その中でも,兵庫県の業者さんがヤフオクで「値引き交渉をしてください」と表記していたため,ダメ元で「65,000円」で入札したらすんなりOKであった。早速送金し,先月30日に我が家に到着した。
そして,開局申請である。今は書面だけでなく,電子申請も可能なので大晦日に総務省の開局電子申請のサイトからデータを送信した。書き落としがあれば,申請時点で教えてくれるので楽ちんなシステムである。1月14日になり,「申請手数料を払ってほしい」とのメールがあり,ゆうちょ銀行のイージーペイで2,900円を払い込み,東北総合通信局には免許状送付用の自分宛の封筒を送付した。これで全て終わり。免許状到着を待つのみとなった。

それで,23日に届いたのがこれである。まずモールスを打つことはないだろうけど,第3級アマチュア無線技士なので1.9~430MHzで電波が出せる状態としておいた。え,何故に時代遅れのアマチュア無線を続けるかって? それは,東日本大震災で本当に非常時の場合には携帯電話と光電話は全く役に立たないことが分かったから。いざとなったときに使えたのがアマチュア無線とふた昔前のダイヤル式黒電話だったからである。