井上もやしの日常

ほぼ「つぶやきの墓場」となっております。ブログやSNSが多様化して,ついていけないのでございます。

SLふくしま復興号

2012-07-29 15:44:12 | Weblog
 7月28・29日、東北本線福島駅と郡山駅の間を、東日本大震災からの復興を願い、45年ぶりに蒸気機関車のC51が走りました。このSLは、群馬県伊勢崎市の華蔵寺公園にて展示保存されていたものを1年かけ動態復元し、昨年6月に復活したものです。

 1週間ほど前から試験運転が行われていたようで、21日の午後に自宅で「ポーーー! ポーー!!」という大きな汽笛を聞きました。福島駅までと言っていますが、福島駅の待機場所の関係か、転車台がない関係か、あるいはもう少し遠くの住民に見せるためか、福島駅よりもう1つ北の東福島駅まで運転しているようです。

 話の始まりは、今日、友人との昼食会から戻ってきた妻が「矢野目の踏切に人と車が沢山集まっている。きっとSLがもうすぐ走るに違いない。」と言ってきたので、見に行ったのでした。踏切に着くと、30人くらいの人だかり。青いTシャツを着たスタッフらしい人に聞いてみると、「SLは3時くらいに通過予定です。」と教えてくれました。待っていると、次第に「ポーーーー!」と汽笛が聞こえてきました。そして、列車の姿が見えて……。

 ありゃ、電気機関車が先頭で、電気機関車が客車と蒸気機関車を牽引しているんだぁ。SLは一番最後じゃあないの! 画像は最後尾のSLです。引っ張られているために煙が前にたなびいているのが哀しいです。

標的は誰だ!

2012-07-22 21:27:13 | Weblog
 「週刊文春」7月26日号(19日発売)に大阪市長・橋下徹氏の女性スキャンダル記事が出たことで、橋下市長は報道陣に「市民の信頼を大きく失墜することは間違いない。職員は非常にやりにくくなると思う」などと述べたそうである。報道内容を大筋で認めたようだ。橋下市長と週刊文春は昨年秋の「橋下市長の出自記事」(超要約すると、市長の実父は被差別出身の暴力団である。)以来の仇敵関係であるから、細かい批判記事は星の数ほど書いているから文春からの「大きな第2弾」である。

 でも、記事を読むと、ホステス女性が橋下氏に出会ったのは氏がタレント兼弁護士を行っていた時代のことで、女性自身も橋下氏が妻子持ちであることを承知の上での交際であり、この女性の人権が侵害されたとか、暴力的な行為を受けていたとかの記述はないので、正直言ってこの記事のニュース・バリューはどの程度なのかと思った。

 政治家スキャンダルというと、まず私が思い浮かぶのが米国のビル・クリントン大統領のものと、宇野宗佑総理の女性スキャンダルである。特に、宇野総理の件は俗に「3本指」と呼ばれ、世間の批判(いや、失笑か?)を買った。芸者の卵みたいな女性の指3本を握って、「30万円で俺の女にならないか。」と言ったとか言わないとか…。その当時、私は28歳で、一般のニュースというよりは、ワイドショーで芸能ネタと同列で扱われたのを記憶している。

 橋下市長は、この記事で市長としての職務がちょっぴりやりにくくなると思う。市職員に対して、何かにつけ、「信用失墜行為」「懲戒免職」という言葉を振りかざしていたのだから、身から出たサビがちょっぴり邪魔をすると思う。でも、これは「ちょっぴり」であろう。それというのは、女性が人権蹂躙をされた訳でない点だ。記事でも女性が市長を責めている部分はなく、全くもって被害者ではないのだ。

 それよりも、この北新地のホステスが仕事絡みの交際を公言したほうが問題である。水商売としての守秘義務があるはずだ。それがプロとしてのプライドだろう。同様に、この記事を書いた週刊文春はどういう思いだったのだろう。週刊文春は「ロス疑惑」「金平会長毒オレンジ」「変態・山崎拓」等をスクープしてきた。最近では「小沢一郎夫人の三行半」「原監督の手切れ金」を扱い、週刊誌界の雄である。また、私にとっては、「糸井重里の萬流コピー塾」に投稿して以来の愛読書である。

 文春が報じたからといって全てが正しいかというと、ここが怪しい。今までで「やられたぁ!」と思ったのが、平成15年10月の福岡市「史上最悪の殺人教師」記事である。福岡市内の公立小学校に勤める男性教師が特定の児童を「穢れた血(祖父が米国人)」と呼び、ことあるごとに体罰を繰り返したと報じられた。この記事には続報が少なく(担任の釈明を放送した日本テレビとテレビ朝日にかみついた記事は数週間後に文春に出ている。)、どうなったのかと思っていたら、平成19年初めに出版された新潮社「でっちあげ」(「新潮45」連載をまとめたもの)を読んで愕然とした。担任教師は停職6ヶ月を命じられ、裁判が開かれることとなる。しかし、そこで分かってきたのは被害児童の両親の虚言癖(実態がないのに自分を帰国子女と呼んだり、児童の単なる怪我を担任のせいにしたり…)や最初にPTSDの判断をした医師がかなりいい加減な診断をしていたことがルポライターの福田ますみ氏の筆で暴かれ、担任の無実が証明されてゆくのである。根っこには文春vs新潮の木曜日戦争があるのだろうが、「でっちあげ」については週刊文春はずっとだんまりであった。
 

 

佐野眞一「別海から来た女」

2012-07-11 23:31:01 | Weblog
 5月にアマゾンで購入しツンドクしていたものを、また読み始めました。

 今のところ、プロローグ扱いの第1部「別海から来た女」を読み終え、第2部「百日裁判」に突入したところですが、やはり佐野眞一さんの筆が冴えに冴え、「東電OL殺人事件」における被害者・渡邉泰子と同様に、被告人・木嶋佳苗の心の闇を私たちの見やすい形であぶり出しています。タイトルにある「別海」を私は最初、「魔界」とか「異界」のような我々とは違った世界を指した言葉かなと思いましたが、実際は北海道中標津空港から車で40分ほど南下したところにある町でした。そう、別海町は木嶋佳苗の出身地でした。

 交際していた男性たちを練炭と睡眠薬で殺害したとされる魔性の女の子ども時代から佐野さんは取材を始めます。別海町のエリート一家に育ちながらも、父親の謎の交通事故死、小学校時代の盗癖(貯金通帳など)、高校の卒業アルバム自己PR(好きな言葉「一期一会」、好きなTV番組「スーパー競馬」、嫌いなタイプ「不潔・貧乏・バカ」)などの闇鍋のようなキーワードで語られる少女時代を丹念に関係者に当たり、生得的なサイコパス的人間がどう出来上がったのかを考察しています。もちろん、木嶋佳苗だけに焦点を当てるのではなく、「木嶋佳苗と交際することになったのは、地縁、血縁といったアナログ世界から外れ、佳苗が紡ぎ出したデジタル圏内に引き寄せられた男ばかりである。」とだまされた男たちも現代社会の縮図であり、我々と何かしらの共通点を持っている点も巧みに描かれています。

 第2部の裁判傍聴記録、これからぼちぼち読んでいきます。