月曜日は福島フォーラムのメンズデイ。1,000円で鑑賞です。
この映画のラストに、中上健次原作の映画「十九歳の地図」の試写会&ポスターが出てきます。これが1979年のことで、この映画の新しい感覚が話題になりました。私が大学1年生の頃のことです。自分の体験ですが、この頃は学生運動も本当に小規模(学内に民青や中核派などの立て看板があり、時々演説の声が聞こえました。)でしたし、日米安保もほとんど話題になりませんでした。その10年前の学生運動が華やかだった1969年頃のことは記憶にありません。確かにテレビニュースでは日本各地の大学で運動を繰り広げていたのを見た記憶があります。でも、自分の世界とは全くの別物と感じました。ま、要は、小学生だったので。
「マイ・バック・ページ」は元・朝日新聞社記者で現在は映画評論家などをしている川本三郎の原作です。登場人物の名前や会社名などは名前を変えていますが、事実にほぼ忠実に描かれています。前記の理由で、この映画に出て来る朝霞駐屯地自衛官殺人事件は初めて知りました。若手ジャーナリストの沢田(妻夫木聡)と学生活動家(松山ケンイチ)が熱き理想を持って出会い、意気投合するシーンが時代を感じさせます。「左翼は正しく、人民を幸福にする」ことが真剣に信じられていた時代です。二人は取材の中で、CCRの「雨を見たかい」を歌い、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を話題にし、共に惹かれていきます。しかし、それは相手を信じる故に、同時に相手を利用して自分が大きくなることにもなっていきました。
革命の第一歩は単なる殺人事件となり、二人の関係は破綻します。学生運動も社会全体よりは内なる批判と責任転嫁に走りました。理想と現実の乖離というよりは、「時代」なのでしょう。左翼や革新が光り輝いていた時代が終わったのです。
この空気を映像で表現するのはとっても難しいですねぇ。「ノルウェイの森」のようにちらっと出てくるだけならまだしも、映画全体で左翼の時代を描くのは大変です。だから、上映時間141分がとっても長く感じました。話のメリハリが少なく単調な印象を受けます。よく言えば硬派な映画でしょうが、笑えるシーンや色っぽいシーンが全くありません。仕事帰りの身にはきっと睡魔が何度か襲いかかります。自衛官襲撃も見せ場とも言えないし、強いて上げれば、沢田が、昔の友人が開く居酒屋で男泣きするシーンでしょうか。映画のあちこちで「男が泣くのはかっこいい」かどうかという話があるし、妻夫木君って今までも映画で男泣きしていたから、十分に予想できますけどね…。それに、松山君も妻夫木君もかっこよすぎます。当時の若者はひげ生やしたり、髪の毛ぼさぼさだったり、実年齢よりも老けた感じだったはずです。
☆ 総合得点 78点
この映画のラストに、中上健次原作の映画「十九歳の地図」の試写会&ポスターが出てきます。これが1979年のことで、この映画の新しい感覚が話題になりました。私が大学1年生の頃のことです。自分の体験ですが、この頃は学生運動も本当に小規模(学内に民青や中核派などの立て看板があり、時々演説の声が聞こえました。)でしたし、日米安保もほとんど話題になりませんでした。その10年前の学生運動が華やかだった1969年頃のことは記憶にありません。確かにテレビニュースでは日本各地の大学で運動を繰り広げていたのを見た記憶があります。でも、自分の世界とは全くの別物と感じました。ま、要は、小学生だったので。
「マイ・バック・ページ」は元・朝日新聞社記者で現在は映画評論家などをしている川本三郎の原作です。登場人物の名前や会社名などは名前を変えていますが、事実にほぼ忠実に描かれています。前記の理由で、この映画に出て来る朝霞駐屯地自衛官殺人事件は初めて知りました。若手ジャーナリストの沢田(妻夫木聡)と学生活動家(松山ケンイチ)が熱き理想を持って出会い、意気投合するシーンが時代を感じさせます。「左翼は正しく、人民を幸福にする」ことが真剣に信じられていた時代です。二人は取材の中で、CCRの「雨を見たかい」を歌い、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を話題にし、共に惹かれていきます。しかし、それは相手を信じる故に、同時に相手を利用して自分が大きくなることにもなっていきました。
革命の第一歩は単なる殺人事件となり、二人の関係は破綻します。学生運動も社会全体よりは内なる批判と責任転嫁に走りました。理想と現実の乖離というよりは、「時代」なのでしょう。左翼や革新が光り輝いていた時代が終わったのです。
この空気を映像で表現するのはとっても難しいですねぇ。「ノルウェイの森」のようにちらっと出てくるだけならまだしも、映画全体で左翼の時代を描くのは大変です。だから、上映時間141分がとっても長く感じました。話のメリハリが少なく単調な印象を受けます。よく言えば硬派な映画でしょうが、笑えるシーンや色っぽいシーンが全くありません。仕事帰りの身にはきっと睡魔が何度か襲いかかります。自衛官襲撃も見せ場とも言えないし、強いて上げれば、沢田が、昔の友人が開く居酒屋で男泣きするシーンでしょうか。映画のあちこちで「男が泣くのはかっこいい」かどうかという話があるし、妻夫木君って今までも映画で男泣きしていたから、十分に予想できますけどね…。それに、松山君も妻夫木君もかっこよすぎます。当時の若者はひげ生やしたり、髪の毛ぼさぼさだったり、実年齢よりも老けた感じだったはずです。
☆ 総合得点 78点