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二つの民主党の代表質問
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[長妻さん]
9月3日の福田さんの所信表明演説への代表質問に立った民主党の長妻政調会長代理の30分の間に前代未聞の約80問で福田首相を攻め立てた。
議場は意外な展開に一言で言えば「唖然としてざわざわ」としていた。
それに対して、福田さんは紙を見ながら約40分に亙って(長妻さんの言によれば)言質を取られないような抽象的な答弁もをしていた。
勿論議場も何時ものお役所が作った資料を読むだけの返答に、お決まりの「ざわざわ」と言う反応だけだった。
長妻さんは、福田さんの基本姿勢の問題点について、追求すべきだったと思う。
長妻さんは質問後、問題点かく委員会でさらに追求したいと、言っているので、代表質問を利用して、ジャブを繰り出した積もりかも知れないが、自民党、政府としては民主党が攻撃しようとしている問題点を知り、その対応や返答の準備をする余裕を与えたような気がする。
全体的な印象としては、長妻さんが問題を拡げ過ぎて、迫力に欠けていた感じだ。
[相原さん]
そして昨日の参院で同じ民主党の相原久美子さんが代表質問に立った。
彼女は質問のテーマを労働、福祉問題に絞った。
・ワーキングプア、日雇いの派遣労働者の収入が生活保護費受給者より劣るものがいること
・彼らへの厚生年金加入条件が厳しすぎて、全体の4%しか入れないこと
・高齢者介護に従事する人達の給料が低すぎて離職者が多く人で不足になっていること
・中小企業への大企業からのいじめに近い取り扱い
・いま障害者自立支援法や高齢者負担増などの凍結が自民党内で言われているが、この法案は全て民主党が反対するのを強行採決されたものばかりだ、今になってのこの様な態度の変更は議会制度のあり方に反する
などなど。
彼女の演説の間、ときどき起こる野党からの猛烈な拍手のほかは、満場は静かな緊張感に包まれていた。
テレビで見た閣僚席の人達も自民党席の議員達も、神妙な顔で彼女の演説に聞き入っていた。
何故なら、
・彼女の発言は的を得ている
然し、私がいつも言うように
・中国の台頭に伴い、バブルからの経済状態の回復が思わしくないこと、
・政府の税金収入の伸びが少ない上に、膨大な借金を抱えているので、緊縮財政を取らざるを得ないこと言う、
言うことは皆判るが難しい問題を控えているからだ。
おまけに、
・今となっては一番頼りになる支持基盤である、経団連から
偽装請け負い禁止の廃止
最大三年の派遣期間後の派遣先企業の直接雇用の義務化の廃止
「残業代ゼロ法案」と世論の批判をあびた、ホワイトカラーの時間外労働の
上限規制の緩和
労働時間規制の適用除外)制度の早期導入
“サービス残業根絶”通達(労働時間規制)の緩和
労働時間規制の適用除外者の範囲の拡大
労働時間規制の適用除外者への割増賃金支払い義務の見直し
派遣禁止業務の解禁
などの派遣労働者法や労働基準法の見直しを提案されている。
参照:
欠如した企業経営者の倫理観
自民党の立場から言えば、近い将来の総選挙には経団連の応援は絶対に必要だし、党だけの問題だけでなく、日本経済発展のためにも、参院選惨敗をしたからと言って彼らの提案を一概にに見過ごす訳にいかぬと言うジレンマを抱えているからだ。
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民主党が自民党との違いを出すこと
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この状況を見て民主党に考えて貰いたいのは、小沢さんのいつも言う、自民党の違いを出すこととは、
・国内問題の処理は、自民党は経営側に立ち、民主党は労働者側に立って行うこと。
であり、
・国外の問題は双方とも日本の立場に立って処理することだ。
相原さんの発言は反対党の自民党員さえも聞き入れなければならなかったと言うことは、国民も皆、民主党の言うことは正しいと思うことであり彼らの支持を得ることだ。
一方国外の問題は、拉致問題は勿論、国の安全保障、外国からの信頼を得ること、そのための国際貢献など、社民党などの左派勢力と違って、民主党の大半と自民党はほぼ同じ価値観を持っている筈だ。
だからそれから起こる対策も、当然余り大きな違いはない筈だ。
このことは米国の共和党と民主党、英国の労働党と保守党の例をみても判ることだ。
政権が変わる度に、外交政策が変わればどの国からも信用されなくなるのは当然だ。
民主党が参院で大勝したからと言って、急にインド洋の給油を停止すれば、米国は勿論、給油の恩恵を一番受けていると言う、パキスタンの信頼を失うのは明らかだ。
外国の人にとっては、日本の政治情勢が変わろうが変わるまいが、日本は日本だからだ。
しかも国連の合意を得てない給油が憲法違反、国連の合意を得れば参戦も合憲と言う強引な理論からの反対は国民の大半は賛成しないとと思う。
何故なら、国連は米国、中国、ロシヤなどの拒否権に逢えばなにも出来ないと言う、中途半端な組織だ。
そして、日本国憲法には国連との関係は何も規定されていないからだ。
いずれにしてもその規定が無い今は、日本が独自に憲法を解釈して動く他ない。
そして今の国会でも、法律の番人である内閣法制局から自衛隊の給油は合憲だとの回答もあった。
民主党は法制局の判断が違っていると思うのなら国民に判るように説明すべきだ。
そうでないともし、国民が民主党が外交、安全保障問題に党利党略を持ち込んだと感じれば支持が落ちるのは間違いないと思う。
[民主党への提案]
・民主党は自民党の違いをどこで出すのか、考えて貰いたい。
「生活のための政治」のスローガンから道を踏み外さないこと。
給油反対は危険な賭けであるのに反して、それが国民の支持を得る言わば、一番の安全パイだ。
・小沢さんが必ずしも万能ではなくて、多くの失敗をしてきたことも考えて、千載一遇の政権奪回のチャンスを失うことのないこと。
・大勝に浮かれて、世論調査にあるように、国民は自民党にお灸を据えただけで、必ずしも民主党を全面的に信頼していないことを忘れないこと。
・教育基本法の時にのように、福田自民党は民主党案を丸呑みにするかも知れないが、そのとき慌てて反対に廻る醜態や審議拒否などのポカ、参院の法案の吊るしなどを二度としないこと。
・国会運営でも、党利党略見え見えの対策をとらないこと。
・多くの法案や決議案の提出を考えているようだが、それに対する国民の反応をいつも考えて置くこと。
例えば国民の間で疑問視されている、教科書検定の政治介入など問題視されている沖縄自決問題への決議案の提出などは社民、共産党に任せること。
もう一度言う、相原さんの演説への議場の反応の意味することを良く考えて、民主党が道を踏み外さないで貰いたいものだ。
追記:(6日9.30)
このブログを書いた後、読売新聞の社説で、テロ特措法延長反対の対案作成のために民主党が計画していたアフガンへの調査団派遣が延期になったことを記していた。
兼ねてから報道されていたアフガンでの国際治安支援部隊(ISAF)への参加や、民生の支援活動など、国民の生命に危険を及ぼすような提案は国民から受け入れられないことを気付いたのだろう。
読売は(前国会から反対理由にしていた)情報開示に焦点を絞ったのではないかと言っているが、いずれにしても民主党の中に、何とかして小沢さんの暴走を抑えて、自民党と落とし所を探る人はいないのだろうか。
参照:
カテゴリー → 民主党
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