[ペシャワール会の中村哲さんの意見]
昨日の読売テレビの「ウェークアップ!ぷらす」で塩川正十郎さん、軍事評論家の森本敏さん、横浜市長の中田宏さん達のテロ特措法に就いての議論があった。
3者とも給油賛成の立場だったが、後で登場したペシャワール会の中村哲さんは、現地で医療や農業用水路建設で活躍した経験から、テロ特措法反対意見を述べていた。
その趣旨は同会のホーム・ページの中村さんの「テロ特措法」はアフガン農民の視点で考えてほしいに乗っているが簡単に纏めると、
・ISAFの治安活動は現地の人からは米軍の活動と見られて反感を買っていること。
・これに日本が参加すれば、今までのアフガン国民の親日から反日に変わる恐れがあること。
・アフガンの問題はタリバンより干ばつであること。
・支援は現地の人の立場に立って考えること。
・中村さんの活動にはタリバンは攻撃してこないので、軍事力は必要が無いこと。
と言うようなことを言っていた。
その一方ではホーム・ページでは、「現地活動の訪問についての原則」で現地訪問希望者に、お願いですが、現地は生死をかける程の緊張感を持って仕事をしていることを知っていただきたいのです。
とあるように、活動に相当な危険性もあることを書いている。
[民主党の民生支援]
中村さんの発言を参考にして、民主党が考えているとされる民生支援について考えてみた。
・中村さん達のようにボランティアとして、自分の意志で行くのと違って、日本が国家として国民を派遣する以上はその生命の安全を保障しなければならない。
その場合他国の軍隊に護って貰うかだがその場合、民衆から敵視されている英米軍以外に奇特な国がいるか。(中村さんはISAFも米軍と同類と見られていると言っている)
自衛隊を派遣する場合は、イラク派遣と同じような憲法問題やそれに関する、武器の使用範囲とか、場所、時期などの難しい問題が発生する。
然もこれは民主党がイラク派遣に反対したこと同じ事態だ。
民主がこれを主張するには理論的根拠として、党内からでさえ論議を呼んでいる、小沢さんのISAFへの武力行使合憲論を持ち出す他は話の持って行きようがない。
・中村さんの言ったことを敢えて裏から考えると、農業用水路建設はアフガンの東北部の、言わばタリバンの勢力範囲と思われるので、彼らから攻撃を受けなかったのかもしれない。
日本から派遣するときはどの地域を選ぶかは、イラクと同じに問題だ。
もし政府支配地域なら攻撃を受ける可能性があるし、タリバン支配地域なら政府は喜ばないだろう。
タリバン支配地域でも政府がOKすれば可能性が大きくなるが、前に述べた政府の責任問題は依然として残る。
・ISAF活動自体が中村さんの言のように、米国の支援を受けている政府の援助活動と見られているとすれば、例え民生支援活動でも、タリバンからは敵視されている。
これはイラクの自衛隊の給水設備の整備と状況は同じだ。
・民生支援のための予算だけ計上し、活動はアフガン自身か他の国の活動に頼る。
これはかって湾岸戦争で金だけ出して悪評を買った同じやり方だ。
それと現に政府は既に資金面の支援を行っている。
・憲法に抵触しない一番無難な方法中村さん達を含む日本人のボランティア活動に資金援助をするが、基本は自分の意志を原則とする。
その場合は中村さんのグループのような生命を賭けてもと言う人が何人集まるかだ。
これは政府として甘すぎる考えで、国民から「それなら政治家が先に行って見ろ」との猛反発が出るのは当然だ。
・日本にとって一番都合が良いのは、、政府やタリバン双方の影響を受けてない地域(勿論戦闘地域でなく)で、しかも安全な補給路がとれる地域で、ISAFの軍隊から支援を受けず、自衛隊独自でが民生支援活動する地域を固めるが、活動終了後は無条件で引き渡すことを政府にもタリバンにも約束することだ。
これが出来れば、タリバンもことによると攻撃しないかも知れない。
これは日本の活動は善意だけで、裏も表もないとアフガンの人達から歓迎されるだろう。
然し、これも問題がある。
第一にそんな条件に適ったところがあるか、そして憲法の問題。
活動終了後政府、タリバン双方の地域争奪の戦いが始まる。
米国始め他のISAF参加国が、このような日本だけが良い子になる方法に自国の兵士の生命を賭けても支援をするだろうか。
これも結局は絵に描いた餅に終わりそうだ。
[民主党のジレンマ]
あれこれ考えて見ても問題ばかりで、民主党の民生中心の対案作成が遅れているのも、なるべく給油問題の論議の中心から逸らして、守屋さんの業者との交際問題や、給油の行く先問題を取り上げて審議未了にしようとする党利党略見え見えも国会戦略に頼ろうするのは良く判る。
民主党は国民の納得のゆく対案を出すか、法案を審議未了に追い込むかどちらかだ。
そして仮に政府を解散に追い込んだのは良いが、自民党の「給油を止めて日米関係を悪化させ、日本の安全保障を危うくさせたのは民主党だ、国連公認の活動なら武力行使合憲など言った小沢さんに対して国を戦争に追いやろうとしている」と言う総攻撃や、自民党の小沢さんの意見に反発している、社民党や共産党を野党陣営から分断作戦を如何に防ぐかと言う岐路にたっている。
そして、衆院選で負けたら、民主の政権奪回の道は遥か遠くなものになるだろう。
そして、それでも民主が政府、自民反対一本槍の反省をしない限り、次の参院戦まで政局の混迷は続くだろう。
考えただけでもうんざりだ。
民主党員は政府、自民党ばかり見ないで、国民の方にもいつも心配りをするべきだ。
何故なら、いつも言う事だが、民主が国民の眼を忘れていても、国民は今回の国会審議を通じで、民主党に政権担当能力があるか否かについて考えているからだ。
参照:
カテゴリー → 民主党
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