・聴取会には賛否両論のデータを参加者に提示すべき・危機的な日本と家庭の経済悪化・必ず来る貧乏生活に耐えられるか原発ゼロ論者
最近の表記の聴取会、特に福島の会の報道を見ていて、発言者が自分の意見を言う前にどれだけ自分の意見の問題点を把握していっているのか心配に成りました。
それと疑問に思ったのは原発ゼロ論者が政府の言う2030年までに原発比率をゼロ%でなくて今直ぐにでも廃止しろと言う意見。存続論者は逆に2030年では早すぎるという期間の問題の論議を想定していない聴取会になっていることです。
この点に就いて書こうと思って居た時に読売が「エネルギー戦略 現実的な電源構成案に改めよ」 と言う社説を出していたので私の疑問に思ったところの部分を拾い上げて見ました。 (なお紙面の都合上括弧内に私の意見を付記しました。)
・政府のエネルギー戦略の選択肢は、実現性に疑問があるうえに、説明不足が否めない。問題点を改善すべきである。
・脱原発を図る「0%」から「20~25%」まで、選択の幅は広いように見える。だが、すべての選択肢が現実味に乏しいという、致命的な欠点を抱えている。
・再生エネの見積もりが明らかに過大である。水力を含め約10%に過ぎない再生エネについて、原発ゼロ案は35%に、原発を残す2案も25~30%に増やす想定だ。 (狭くて複雑な日本の地形で30年までに水力・地熱・太陽光・風力発電を15~25%に増やす事はほぼ出来ない。)
・太陽光を20倍に拡大するため、1000万戸以上の住宅に太陽光パネルを設置するという。この計画を実現する道筋は不透明だ。 (このための数兆円の補助金は不可欠。大型の太陽光は食料自給率との関係で無闇にできない。)
・再生エネの買い取り制度は7月にスタートしたが、ドイツのように電気料金が急騰する副作用も懸念される。再生エネの目標は現実的な水準に改めるべきだろう。 (20年間固定の筈が政府内でもう見直しの動き)
・政府は再生エネの拡大などに伴い、標準的な家庭の電気代が最大月1万円ほど増える
といった試算を示しているが、家庭の負担増はこれにとどまら、生産など経済全体の電力コストが上がり、物価上昇や企業業績の悪化を招くと考えられるからだ。リストラの拡大も予想される。
・経団連が政府の審議会のデータをもとに試算したところ、原発ゼロのケースでは、現在約300万人の失業者が200万人増え、勤労者世帯の所得は年60万円近く減る。国民生活に大打撃となる。
・国民が減原発や省エネのマイナス面を正確に把握し、望ましい電源構成を決めることが重要だ。政府は判断材料となる情報を、わかりやすく提供すべきである。
[私の意見]
・ムードで論議されている聴取会
・今の聴取会のやり方は国民の「ムード」・「空気」を聞いてものごとを進めている。
勿論国の重大な方向を決めるのにこんな「ムード」・「空気」を訊くのは論外で、反原発が大勢を占めたても、政府としてそれを参考にはするがそのままでは現実的ではないからと、やや逸れた方向に方針を決めれば、また政府不信を招くことになる。 (事実原発ゼロの意見が多いので15%程度の折衷案を検討している由)
・そう言えば聴取会など開かないほうが良かったと言うことになるが、今更止めるわけには行かないので、どの方向に進むにしても、これだけの事は国民全体で考えて貰う機会として活かすべきだ。
・聴取会には賛否両論のデータを参加者に提示すべき
・その為には原発維持、脱原発の両者の代表、例えばネットで有名なアゴラの池田信夫さんや関西電力攻撃で名を上げた飯田哲也さんの意見と、それに対する互いの反論を纏めて聴取会での発言者は勿論参加者、出来れば国民全体に配布すべきだ。
[原発ゼロ論者へ]
・原発ゼロに伴う経済と家計の悪化
・現在の原発は法律に基づいて建設、運転されています。
廃止も当然法律に基づいて廃止しなければなりません。
その時活断層上の原発の停止は法的に決まっているので停止は当然ですが、その他の少なくとも法的に問題ない原発を国の都合で廃止するには、それなりの保障を支払わねば成りません。
前述の飯田さんですら関西電力の原発を全廃すれば同社は破産をするので国はそれなりの保障をすべきと言っています。
原発を総て停止するとしたら、十数兆の保障をすることになります。
勿論この費用は国民の税金からになります。
・電力会社は電力の安定供給義務を負っています。
この内天候に左右される太陽光や風力の電力会社は今の所、安定供給のための火力などの発電所を建設したと言う話はないようです。 (話しは逸れますが大型の太陽光発電所は今までKwh当たり20円が倍増の40円、しかも安定供給義務はないのですからこんな旨い話はありません。再生エネ導入を決めた菅さんと握手していた某氏が喜色満面の笑顔していたのは当然です。)
それで理屈は通りませんが、貴方達が眼の仇にしている今の電力会社が安定供給の義務を負うのでしょう。
仮に原発ゼロの場合のその代替えとなる25%マイナス地熱・水力相当分の電力の停電時に備えるために電力会社は余分の火力などの発電所を建設し何時も待機させて置く必要があります。
日本全体として勿体ない話しですが、結局はその金も再生エネ買い取り価格とともに電気料金に企業や家庭に跳ね返ってきます。
今の日本経済は危機的な状況です。
千兆に及ぶ借金、それも国債を日本の金融機関で引き取って貰う自転車操業、一方金利ゼロで私の現役時代のように何時の間にか倍になった貯金で自分の家の取得の原資にすると言う生活設計も出来ない家庭、平均賃金の低下、一部の非正規社員より収入が上の生活保護家庭、少子高齢化で経済の縮小と退職した団塊の世代の老人のための社会福祉の費用の増大。
あと百年前後と言われる石油資源の涸渇→燃料費の高騰と資源獲得の争い。
それが前述のように今でさえ厳しい経済にさらに原発問題での経済の悪化と家計への負担の増加が加わるのです。
・貧乏生活に耐えられるか原発ゼロ論者
戦前戦後の貧乏生活を経験した昭和初期世代は体力が続けば何とか貧乏生活に耐えて行けるような気がしますが、今の豊かな時代に慣れた人がどうなるのでしょうか。
反原発学者の小出裕章さんは「Will」での推進側の学者の討論の中で「脱原発後の資源小国の日本はそれに相応しい慎ましい生活をするべき」と言っています。
原発ゼロ論の人々はそれだけ覚悟があるのでしょうか。
原発維持派も原発ゼロ論者も厳しい経済環境を更に悪化させないように、慎重にも慎重な配慮が必要だと思います。
昨日の「Saykei Biz」では討論型世論調査終了 原発ゼロの声強く「電源構成」取りまとめ遅れもで、大阪府の男性会社役員は「自分たちで何も決められない弱い政権が世論を『逃げ道』にしているだけ」と指摘した。エネルギーという国家の根幹に関わる問題を、“世論”に委ねようとする政府の無責任さも浮き彫りになった格好だ。と批判しています。
無責任な政府にムードだけで原発問題を考える人々。
日本は一体どうなるのでしょう。
このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。
↓
政治・人気ブログランキング