普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

役に立たぬ政府・国会事故調委報告と遅れるIAEA報告

2012-09-04 12:14:23 | 電力、原発

・政府、国会事故調委報告が出ても地域の首長から事故の究明ができてないと言われている両事故調・その間に拡がる原発ゼロの動きとそれせに引きずられる政府・国よりIAEAに賭けた東北電力
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私は8月14日に「女川原発のIAEA調査と日本のエネルギー政策」でIAEA調査について書きましたがそのご日本経済新聞の炎天下の女川原発 19人の外国人専門家が見たものと言うIAEA調査の裏幕に就いての報道を見ましたので、改めと私の意見を纏めて見ました。 (括弧内は私の意見または注記です。なお文が長くなりますので、文中に挿入の日経の主張の可なりの範囲は最後に纏めてあります。)
・政府や国会、東電などの調査でも事故原因は特定できず世論が「脱原発」に傾くなか、7月下旬、国際原子力機関(IAEA)始め民間の一線級の専門家ら総勢19人からなる外国人ばかりの専門家チームが女川原発視察後後発したメッセージはきわめて明確だった。
あれほど巨大で長く続いた地震にあったにもかかわらず、驚くほど損傷が少なかったというのが結論だ」「(放射性物質のとじ込めなどで極めて高い性能が求められる)安全系の設備はいずれも健全だった。
 (既報)
 安全系ではない2号機と3号機のタービン建屋に損傷が見つかったものの、いずれも軽微で深刻なものはなかった。
 女川を襲った地震の大きさを考えれば、もっと大きな損傷を受けてもおかしくなかった。しかし、実際にはそうならなかった、ということを申し上げている。視察で得たデータはIAEAに持ち帰って詳しく分析し加盟国の原発安全性向上に役立つデータベース作りにつなげたい」
(IAEAの報告は後ろ向きと取れる政府・国会の事故調査委のそれと比べて遥かに前向きです。)
 彼らが女川の再稼働問題に踏み込まなかったこともあり、この会見が大きく報道されることはなかった。詳しい内容を知るにはIAEAが9月中に発表する正式な報告書を待たなければならないが、オナガワ・ミッションは今後の原発論議の転換点になる可能性を秘める。 (9月に報告書が出ても、世間の動きとそれに気を取られた政府も原発ゼロに向けて舵を切りかけています(但し時期は明示せず)ので、その報告がどれ程のインパクトを与えるか不明です。その点でも政府・国会事故調の責任は大きいと思います。現場経験を積んだ人なら、福島第一の事故と女川の無事停止は事故究明には大きい関係があると事が判ります、一般の人達は判るでしょうか。)
 その時このミッションを発案しその中心になったのは東京工業大学客員研究員で、英国のリスク分析会社ロイド・レジスターに所属するコンサルタント、ウディ・エプシュタインだ。
 彼が最終的に選んだのは女川原発。「東日本大震災の時、福島第1を上回る最大の揺れに襲われたからだ。高さ14メートルに迫る巨大津波も押し寄せたが、それでも福島第1のような事故をまぬがれた女川を調べれば、有益な情報が得られるとの読みだった。(
私は両事故調査委員会は福島第一だけでなく第二と女川も調査すべきと書いたのですが。国会事故調は第二にも入りましたが、それを見て第一の問題を探ろうとはしませんでした。)
彼は東北電力本店を訪れ、視察の受け入れを打診した。
  東北電力は意外な反応を見せた。視察の受け入れ、結果の公表の双方に応じるだけでなく、逆提案をしてきたのだ。「あなた方民間の専門家に、日本人に知られており、信頼されているIAEAを加えてくれないか」というのが東北電力の言い分だった。IAEAの名前で視察結果が公表されれば、オナガワ・ミッションの権威が増し、とりわけ東北電力の管内に住む地域住民が原発の現状について耳を傾けてくれるというわけだ。 
(隠蔽体質と批判されている東京電力と東北電力の違い!!)
・オナガワ・ミッションメンバーの所属
 国際原子力機関(IAEA)、米原子力規制委員会(NRC)、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)、リスク分析会社の英ロイド・レジスター、構造工学コンサルタント会社の英ペル・フリシュマン、フランスの原子力大手アレバ
 (政府事故調メンバー: 委員長 失敗学会初代会長で創造工学研究所代表取締役、科学評論家、地震学者、放射線医学総合研究所研究員、ウィーン国際機関全権大使(IAEAに対する日本代表)、弁護士で元高等検察庁検事長、弁護士で元高等裁判所長官、弁護士、福島県川俣町町長、科学史家。 (Wikipediaより)国会事故調のメンパーも似たような構成。これだけ比べても彼らがろくな仕事は出来ないのは明らか。私は少なくとも原発の現場の運転・保全の判る人を入れろと書いたのですが。)
  現地で得た地面の揺れの大きさや時間、周波数データをもとにエプシュタインが試算したところ、「女川原発は計算上、壊れ始めるとされる値の3~4倍の強い地震に耐え抜いたことが分かった」という。前首相の菅直人が原発再稼働の前提条件としてコンピューター・シミュレーションによるストレステストのクリアを打ち出したが、エプシュタインに言わせれば、現地視察でも貴重なデータは得られる。 (仕事が出来る人・設備に詳しい人が見れば、同じ災害にあった他の原発を見れば福島第一の姿も見えて来ると書いたのですが、事故調の上記のメンバーに言っても馬の耳に念仏でしょう。)
・福島第1と命運を分けたポイント
 無事だった女川と、事故を起こした福島第1。命運を分けたポイントは何だったのか。「評価には時間がかかる」としつつ、エプシュタインは、いくつかの要素について語った。原発の設計、施工方法の違い、過去地震にあった際の補修方法、点検と品質保証の違い……。そして最後に挙げたのが「(原発を運転する電力会社の)経営体制と企業文化の違い」だった。
(総て賛成。特に私は事故の最初から第一の事故は東電の経営の責任が一番大きいと書いてきたのですが。今、反原発派は福島第一の事故の一事が万事とて総ての原発が悪いとしており、そのムードが全国的に拡がり政府まで及んでいます。)
 エプシュタインは東北電力について「きわめて協力的でオープンだった」、「2週間の視察期間中、東北電力は同行付きとはいえ、希望する施設にはすべて立ち入らせてくれた聞き取りにも十分に応じてくれた」と明かす。丁寧な仕事ぶりが事故回避でプラスに働いたのではないか、と感じているという。 (私は彼が福島第一に入れば少なくとも現場の人達は同じように彼らに接してくれている筈だと思います。そうでなかったら彼はきっとなお東電の経営陣に批判の目を向けたと思います。)
・過去の報告書と異なる性格、新たな議論の契機に?
 7月までに出そろった政府や国会などの報告書は、あくまでも福島第1原発事故の原因究明が目的。しかも、地震に起因する直接的な原発損傷があったかなど基本的な部分での見解は分かれている。事故原因の究明には今後も多大な労力を注ぐ必要がある
。 (彼らが多くの勢力を注いだのは事故後の処置の究明、事故原因の究明もろくにしなかったが、しても象の尻尾を掴んで蛇と言うようなもので半素人の学者やずぶの素人の集団の出来ることは知れています。だから原発を抱える再地域の原発容認の首長でも両事故調の報告が出ても、事故原因の究明が進んでないと開を拒否しているのです。)
 一方、エプシュタインらによる視察は、東日本大震災で深刻な事故を免れた原発を徹底的に検証し、原発の安全性向上に役立つ教訓を引き出そうとする試みだ。(私が福島第一だけでなく第二と女川も調査しろと言ってきたのも同じ理由です)
「失敗から学ぶことも重要だが、うまくいった例からも同じくらい貴重な教訓を引き出せる」とエプシュタイン。「信頼できる分析結果があれば、良い判断材料になる。視察結果をもとに原発問題について日本で新しい議論を始めてほしい」 (賛成。でも前述のように政府でさえ原発ゼロに決まりかけている現在難しいと思います。)
すでに女川視察に参加したメンバーは、ミッションの成果を生かそうと動き出している。例えば、女川に専門家を出した米NRCや仏IRSNは、両国がそれぞれ進める「全電源喪失状態の回避策を含む原発耐震安全性の新基準作りに、日本で得た教訓を反映させようとしている。原子力ビジネスをてがける企業も、顧客に巨大地震への備えを十分に説明する必要がある。 (ドイツを除く他の国は日本で得た教訓を反映させてより安全性の高い原発を目指しているのに、日本だけは迷走と言うより停滞、後ろ向きに進もうとしています。これで日本は経済的に各国に伍して行けるのでしょうか。)
それにしても日経は何故半月も遅れてこのような記事を出したのでしょうね。

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日本経済新聞の主張纏め
  福島原発事故の後、東電や政府の失態が次々と判明。電力会社や規制機関、大学などからなる「原子力ムラ」に対する国民の不信感はピークに達した。
  視察の受け入れは東北電力にとって、いちかばちかの賭けという側面もあったはずだ 。もし地震や津波による深刻な後遺症などが判明し、その内容が世界に公表されれば、東北電力の株価は急落し経営危機に陥りかねない。
 しかし、その一方で、「原子力ムラ」への国民の不信は一向に解消せず、新たに原子力の規制や安全行政を担う原子力規制委員会の選任も遅れている。このままだと、日本人の独力では混乱状態から抜け出せそうにない
 そう考えた東北電力は、むしろオナガワ・ミッションの受け入れを原発の健全性を内外に訴えるチャンスととらえ、協力姿勢を打ち出したに違いない。IAEAの受け入れをあえて逆提案したのはその証だろう。
翻って日本。有識者を総動員して政府や国会、東電などが試みた福島第1の事故調査でも原因特定には至らず、世論は「原発は危ないからなくすべきだ」と「脱原発」に傾きがちだ。関西電力・大飯原発に続く再稼働の行方も不透明。だが一方で、電力会社は原発停止に伴い火力発電所をフル稼働し、日本の貿易赤字が過去最悪の水準になるほど燃料の購入費は膨らむ高コスト体質の日本に見切りをつけ海外に出ていく企業の動きも、うねりになりかねない
国の在り方にもかかわるエネルギー問題は容易に答えが出るものではない。いま求められているのは、より多様な判断材料を土台にした議論を通じ、多くの人びとが納得できる解を探す努力を続けることだろう。9月に出されるオナガワ・ミッションの報告書を新たな議論のきっかけのひとつにしない手はない