参院選で自民党大敗が明らかになった。
これについては、私の7月19日の私の安倍さん評(2)でも書いが、選挙前ということもあり、安倍さんの政治手法について絞って書いたが、選挙も済んだので改めて自民党全体の問題として大敗の原因について纏め直して見た。
1.支持率を頼りに安倍さんを選んだこと
自民党は拉致問題に対する言動で国民からの高い支持率があると言う理由だけで、安倍さんを選んだ。
その拉致問題は今の状況を見る様に、北朝鮮政権の解体以外解決の手段がない。
つまり徒花に対する人気に基づいた支持率を持つ彼の未知数の政治力に自民党の将来をかけたのだ。
2.「美しい国」の言葉がもたらしたもの
安倍さんの所信表明演説は立派なものだったが、 「美しい国」と言う奇麗事過ぎるキャッチコピーが彼の実際に当たっての言動にマイナスに働いた。
例えば世論の非難を浴びて引っ込めた「ホワイト・カラーエグゼプション」による残業代ゼロ政策は「美しい国」では考えられない事だ。
だから安倍さんの発言の全てが「美しい国」の尺度で、見られてその発言がうさん臭く見られることが多かった。
3.小泉政治の継承
安倍さんの所信表明演説を良く見ると、小泉政治の歪み修正または脱却だ。
然し彼は(私の考えでは)彼の人の良さからそれを明言しなかった。
それどころか小泉路線の継承を唱えた。
もし彼が小泉政治の脱却と修正を宣言していたら次のように彼または自民党の評価が180°変わっていたかも知れない。
(1)復党問題
・もし安倍さんが私は小泉さんと違うのだからと言って、ほぼ無条件で全員復党させていたら、郵政改革反対だけで、自民党を追放した小泉さんの冷酷、独裁的な手法に首を捻っていた多くの人達から、安倍さんの暖かい人柄に対して喝采を浴びたに違いない。
実際は、小泉路線を継承すると言った安倍さんが、復党者に踏み絵を踏ませて恥をかかせた上で復党させた。おまけに、党の決めた原則に反した人まで安倍と個人的関係を理由に入れるのだから支持率が落ちるのは当然だ。
・今回の選挙で大物の片山自民党の参議院幹事長が落選した。岡山は復党を辞退した平沼さんの地盤だ。平沼さんは片山さんを支持したが、平沼さんの支持団体は自民党のために動かなかったのが片山さんの落選の一因と言われている。
(2)年金問題
これは自民党の責任ではあるが、明らかに小泉さん以前の首相の責任だ。
彼が小泉路線の脱却を唱えている安倍さんが昔のことを何も言わずに、全てを自分の責任として、今回の様な思い切った法案を通したら、今のような安倍さんへの大きな批判は無かったかも知れないし、彼の問題解決の態度に支持を与える人も多かったかもしれない。
それと後にも述べるが彼の政治的な感覚の鈍さと、政治手法の拙さから、問題の拡がりを見落として、早期に手を打たずに問題をこじらせてしまった。
3.問題の多い内閣の閣僚
・私は組閣の時から問題を抱えていた閣僚の多い事、安倍さんを支えるご意見番や副首相的な人がいないと指摘していたのだが、不幸にもそれが的中してしまった。
柳沢さんや松岡さん がそれだ。
この様な人が出た時は、小泉さんなら直ぐに閣僚を切り換えるのだが、安倍さんは徹底的にそれを護ったて、それが「美しい国」を唱える安倍さんの支持を落とす ことになった。安倍さんは小泉さんから学ばねばならぬ、時に応じての非情さなかった。
・その代わり彼は小泉さん流の官邸を中心として押しまくるリーダーシップを発揮した。
その現れが、談合防止→その温床の天下り防止→新人材バンク法案という党内からも反対がでた小手先の欠陥法案の提出だ。
その理由は閣内の人材不足(小泉さんの時は竹中さんがいた)のため安倍さんの決断にまつ事が多いためだ。
自民党としては新人の首相を補佐する協力なスタッフ内閣に入れるべきだった。
然し安倍さんは小泉さんの真似をして自分で全て決めてしまった。それが党内でも揶揄される仲良し内閣を作ってしまった。
4.自民党の脇の甘さ
自民党は半世紀に渡って殆ど一党支配の世をエンジョイしてきた。
そしてこれが何時までも続くとなにとなく思っていた。
それが幾つもの油断を生んできた。
(1)小泉改革の影の部分から来る国民の不安、不平に対する対策を忘れていた。
1)改革に伴う社会格差、地方格差
2)一般国民の負担の増加
そしてこれが本来の自民党の基盤を脅かしはじめているのに。
これこそ「美しい国」の基本なのに。
(2)総裁選候補者をその人の支持率で選んだ。
(3)参院選大敗を喫した今、自民党の中から挙党一致内閣を作るべきだと言っている。
本来は新人が首相になった時こそ挙党一致でことにあたるべきだった。
(4)閣僚の数々の失言
(5)事務所経費の不透明さ
何故、野党の提案と同じかそれ以上法案しか出さなかったのか。
(6)消費税など選挙に不利だからと国民を馬鹿にしたような事を言う。
(7)政権の維持がおかしくなりかけているのに、マスコミに内閣批判じみたことをマスコミに言う。
5.安倍さんの稚拙な政治手法と政治への感の鈍さ
(1)憲法を参院選の主な争点にする言う一方で集団的自衛権についてのパネルを作り、反対党に日本を外国での戦争に駆り立てるものだとの批判の口実を招く。
実際に参院選で憲法のことを選挙で持ち出したのは、社民党と共産党だけで、憲法論争など消えてしまったが、安倍さんが鷹派だとの印象だけ残った。
(2)憲法改正には国会の3分の2以上の賛成を要するのに、国民投票法案の強行採決で、民主党の反対を招き、憲法改正の道を自ら閉ざしてしまう。
(3)安倍さんは多くの懸案の法案を前にして、議会の多数を頼んで強行突破した。
参院選を前にしたこの議会の攻防を国民は見ていた。
そして参院選で安倍さんが如何に多くの法案を成立させたか誇らしげに言うたびに、国民は自民党の強引なやり方に不安を感じていたのに気がつかない鈍さ。
[読売新聞が取材した落選した与党候補7人が感じている敗因]
年金 4人
政治とカネの問題 3人
小泉政権による地方切り捨て 1人
農政への理解不足 1人
年金問題や地方切り捨ては直ぐに思いつくことだが、「政治とカネ」と言う自民党としてどうにでも簡単に処理できることが大敗の一因となったことは、安倍さんも自民党も考えが甘かったことを十分に反省する必要があると思う。
6.国民から遊離しかかっている自民党
私は上のようなことをブログに何度か書き、同じことを自民党にも投書した。
それが無視されるのは、当たり前と言えと思うが、半世紀も与党を続ける自民党が支持率の調査で40%を占める私のような無党派の意見を何らかの汲み上げるシステムを構築する必要はないだろうか。
無党派がそれが小泉さんの時には大勝させ、今回は大敗させる大きな要因になっているのだから。
落選候補の感じることと、私のような普通の国民が感じていること、ブログや2チャンネルで書かれている事には大きな差があるようだ。
今朝のテレビで、比例区でトップ当選した升添さんも、私と似た様な意見を言っていたが、政権与党全体として国民との間のギャップを埋める努力も必要なような気がする。
参照:
カテゴリー→安倍内閣
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