1月4日の読売新聞の「論点」で気になる記事を見つけた。
それは伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎さんの「日本の将来像」と言う文章だ。(Web上のデータ無し)
それは今までの新聞紙上で見るの経済界は勿論一般の報道などで、言われてないような事を言っているからだ。
それで丹羽さんの意見の要旨(青字)とそれに対する私の考え(黒字)を書いてみた。
[日本の将来像]
・日本が直面する最大の問題は「世界最大の借金政府」になったことだ。
それがせ世界の投資家から見放される借金地獄の構造だ。
その原因はバブルに浮かれた経済界特に金融界と、いずれ増える税金で返せると言う安易な考えでのばら蒔き政策(典型的なのは瀬戸内海に3本の橋だ)と、当然何時かは来ると判っているバブルの崩壊だ。
そして日本は今また選挙を控えた自民、民主のばら蒔き合戦だ。
・しかし日本では改革をしようと言う声はあっても改革に力が入っていない。
それは改革の先にある日本社会の姿が描かれていないからだ。
これは中国や北朝鮮などと違って民主主義国家の日本では国民の意識をコントロール出来ないので、大変難しい問題だ。
国全体の経済が停滞または縮小傾向(私の意見では日本の貧困化の傾向)にある今、金が全てと言う意識を変えるたけで大変なことが判る。
然し、なんとかしなければならないのは事実だ。
・借金政府の汚名を返上して何を目指すかと言う目標が必要だ。
改革の目標を見失って「コップの中の争い」は終わりにしたい。
小泉さんはこの方向に向け大胆な歳出削減をしたが、その結果日本社会に大きな歪みを与えてしまった。
そして今、国会では正に「コップの中の争い」をしいてる。
・日本の目標とする将来の姿は、質の高い生活、質の高い労働、質の高い社会、質の高い経済、質の高い政府だ。
少子高齢化社会の今、世界で最も進んだ国として日本の将来の姿を描くとすれば「良質の生活と社会」にすべきだ。
質の高い経済や政府は良く判る。
質の高い労働も労働者への給与改善、彼らの能力を100%発揮できる環境(今の契約労働者やパートがその潜在能力を発揮しているだろうか)の整備など是非進めるべきだ。
然し、質の高い生活や社会は私の考えでは、今より少し貧乏になっても精神的に豊かな家庭、犯罪が少ない社会、生きているコミュニティーなど、考えられるが、それを強制でなく、世論操作をせずにどうして達成するのかが問題だ。
その良い方にリード出来るのはマスコミしかないと思うのだが。
・量の拡大を目指しても国民は幸せになると限らない。
第一量で競争しても、中国や米国を越えられない。
だから良質の社会を目指すのが日本に相応しい。
これは私の言う日本の貧困化→国民の意識の変化の必要性だ。
然し、今の経済界も政府も以前として量の問題で中国や米国に対応しているように見える。
・特に重要なのは中間層の育成だ。戦後日本が強くなったのは中間層があったからだ。
小泉政権が急激な改革でワーキングプアに象徴される格差の拡大を招いた。
丹羽さんの挙げた格差の拡大の原因より、当時は日本が強い競争力を持っていたので、中間層にもそれなり給与を出すことが出来たが、中国などの台頭前で競争力の減少→契約労働者、パートの採用などによる会社経費の削減→給与削減の原因の方が大きいと思う。
・日本で銃による犯罪が起きているのは経済問題からくるコミュニティーの分裂がある。 格差が拡大する社会は確実に衰退する。
丹羽さんの挙げている原因もあるが、教育の問題、核家族化、家庭環境の変化、金が全ての国民の意識の問題、豊かな生活→我慢できない人が増えたなど他に大きな問題が幾つも重なっている。
これは丹羽さんも当然判っているが紙面の関係で省略したのだろう。
・経済構造を強くし、人々が働く夢や目的を見直すべきだ。
心身ともに豊に暮らせる様な、経済成長→中間層、労働者の生活を整えるよう政府がバックアップすべきだ。
そして誰でも自分の力で立ち上がれるようにすべきだ。
丹羽さんの意見に賛成だが、人々が働く夢や目的を見直させるのは、前に書いた様に民主主義国家では難しい。
・そのために財政改革、公務員制度の改革、特に地方分権を進めるべきだ。
補助金ばら蒔きには戻るべきではない。戻ればまた借金地獄だ。
私は政府は悪、都道府県は正と言う前提の地方分権には懐疑的だ。大阪市の例や市民の意見を尊重する余り、先に書いた瀬戸内海に橋3本の橋のように、国全体のことを全く考えないように見える市長など考えねばならぬこともあると思う。
・日本の唯一の資産は人と技術だ。
国際競争力のある経済は良質の労働と技術でしか実現しない。
そのためには良質の教育制度と、中小企業を含めた研究開発投資へ支援だ。
小泉さんはその思い切った行動力と政治力で改革を進めた。
然し彼の就任当時の経済回復より教育と言う「米百表」の精神は全く活かされずに、米国流の市場経済一本槍の改革に進んだ。
丹羽さんの指摘した問題は小泉さんだけの責任ではないが、小泉さんが今日印面や人の問題にもその力を発揮して貰っていたたらと思うと残念でならない。
・日本は「北東の孤島」になってはならない。
今の日本は絆創膏を貼る様なことに終始している。
これでは人と技術を磨くことを忘れ、経済も社会もグローバリゼーションの中では生きられず、日本は本当の孤島になってしまう。
丹羽さんの言う様に正に年金、医療、介護など小泉さんの仕残したまたやったことからの生じた数々の問題の絆創膏を貼るのに懸命の状態が。
[私の意見]
丹羽さん大商社の会長、経済財政諮問会議の地方分権関係の委員長をされているのに関わらず可なり思い切った発言をされているが、その責任ある立場からまだまだ謂われないことが多いような気がする。
その一例が問題解決策としての経済の拡大路線だ。
然し、これは後に書く様に言うは易く、行うに難い情勢になっている。
私のように何の責任ある立場に居ないものから言えば、日本は丹羽さんの言われる以上に深刻な立場にあるように見える。
詰まり私の持論の貧困化だ。
丹羽さんは日本の武器は人と技術力だと言う。
然し世界的にみて、技術力がなくても動かせる工場はいくらでもあることはを私の海外技術援助でも見てきたことだ。
例えば、石油精製、化学プラント、鉱業、農業、商業など数え切れない程の産業が中国を始めてするBrincsと呼ばれる中進国でも何とか動かされている。
日本との違いを言えば、その稼働率が少し低いだけだ。
日本得意の製造業にしても誰が言っていたが、日本は精密機械をつくるに要する超精密な工作機械を作れると言う。
然しそのような産業の規模は例に上げたように極めて小さい。
唯一の例外は総合的な技術力を要する自動車工業などごく限られた産業だけが、量的にも海外で太刀打ちできるに過ぎない。
それ以上に世界経済は大きな金融資本で動かされている。
どう見ても悲観的な材料ばかりだ。
そして良質の社会を作るには、少子高齢化、崩壊しかかっている一部家庭や、ほとんどのコミュニティー、国民の意識の持ち方(例えば幸福についての考え方)をどのように変えるなど問題は山積だ。
いずれにしても丹羽さんが言われるように、日本は歴史上経験のない新しい局面を迎えているのは事実だ。
然もそれに米国、中国、北朝鮮の問題が絡んでいる。
然し日本はそれを一つ一つ解決して行かなければ丹羽さんの言うように、本当に日本が孤島になるかもしれないのだ。
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