普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

小泉さんと今の自民党(政党政治の終わり?)

2009-07-12 12:36:20 | 麻生内閣

 今日ネット上で気になる記事を見つけたので紹介します。
 それは京都大学教授の佐伯啓思
さんの「政党政治の終わり?と言う産経新聞への寄稿です。
 
最初にお断りしたいのは佐伯さんの主張は、自民党の東国原さん起用反対ですが、それより彼の文章の中に幾つかの考えるところがあることを紹介したいと思ってこの文を書いています。(それで東国原さんの件に就いての私の意見は注記で纏めていますのでご了承下さい。)

 今日の日本の政治を見ているとマックス・ウェーバー の『職業としての政治』の本ででウェーバーが論じていた危惧を思いだす。
 第一次大戦後の混乱した世情を背景に、ドイツを代表する知識人であったウェーバーはドイツの政党政治が行き詰まり、代わって、大衆的人気をもつ大衆扇動家や、信条の純粋さをもっぱら訴える若者たちの登場を、幾分の危惧をもって論じている。既成の政党政治は、人々の情緒や要求をそのまますくいとることはできない。だから、人々は大衆の心をわしづかみにして大衆の支持を背負ってさっそうと登場するカリスマ的政治家の到来を人々は待ち望む。政党も選挙に勝つためにカリスマ指導者を求めようとする。この新しい政党指導者は、大衆に直接訴えかける大衆扇動家以外にない。
 そこで究極の選択肢は、カリスマ的政治家と機械のようなその追随者からなる「指導者民主政」か、カリスマ的要素をもたない職業政治家による「指導者なき民主政」である。後者は、実際上、政党による派閥政治といってよい。
 カリスマ指導者とは、実際は大衆扇動家であり、その登場は民主政治を破壊するものなのである。
  ウェーバーさんの危惧が見事に当たってヒットラーとそれに信奉するナチス出現→独裁政治・アウシビッツの虐殺→ソ連、フランスなどに侵攻→ドイツの敗戦まで繋がりました。
 ヒットラーで直ぐ連想するのは小泉さんです。
 郵政改革に賛成か、反対かの選挙戦。
 自民党の反対派の追放→刺客派遣→小泉さんの演説に手を振る小母さんたち→選挙中に一方的にその報道するマスコミ、特にテレビ。
 私は小泉さんが佐伯さんの言う大衆煽動家とは思いませんが、今までの同志を冷酷に切った彼の演説を熱狂して迎える聴衆の様子を報道するテレビから、ヒットラーの演説に熱狂するドイツ国民の姿を思い浮かべていました。
 小泉さんはそして圧倒的な勝利とマスコミの無批判または支持の中で強引に彼の政策を進めてきました。 (ちょうど橋下さんの暴言ともとれる発言に対して支持率に弱いマスコミの批判が殆どないのと良く似ています。これが麻生さんなら決して見逃さないのでしょうが。)
 小泉さんは民主政治も「ぶっ壊すと言った」自民党も破壊しませんでしたが、日本の政治の様子を変えて来ました。
 つまり小泉さんの戦略に乗せられて、心ならずも小泉さんを大勝させたマスコミ特にテレビはその報道力の強さに目覚めたのです。
 そしてテレビ会社の経営の問題からと思いますが、最近のニュース報道の時間の拡大です。
 そして、が安倍さんから麻生さんまでの政権のもとでの、「政治と金」、選挙中の「絆創膏報道」,大連立の裏側報道、そして麻生さんの失言、中川さんの朦朧会見、自民党内の不規則発言などなどの繰り返し放送で、安倍さんの大敗など、最近では麻生内閣の支持率低下など、政治に大きな影響を与え始めました。
 その結果が、自民党内の不規則発言の増大などの体制の緩み、世論調査の結果に動かされる政局、政治の軽薄化です。
 政党政治の特徴は、政治家は政党の中で実績を積み、そして周囲の承認があってはじめてそのトップの座につく、という手順を踏む。この手順を踏む中で政策をかため、また調整能力を身につけてゆく。面倒な手続きではあるが、人の上に立って人を動かす政治家を作り上げるにはいささか時間と手間がかかるのである。 (*注記)
 ところで、総選挙が近付いているが今回の選挙においては、大きな争点が全く存在しない。
 いや、正確にいえば、存在はするはずだ。経済危機以降の日本経済、安全保障、環境問題、雇用、教育など問題は山積している。にもかかわらず、それを争点にできないのが今回の選挙なのである。
 その結果、ほとんど唯一の争点は、政権交代の是非そのものになってしまった。政策が争点となった結果として政権交代が生じるのではなく、政権交代そのものが争点になってしまっている。手順をここまで省略してしまうと政治の簡便化もはなはだしいが、別の見方をすれば、政権交代、すなわち権力の移行のみを争うというむき出しの政治が露呈してしまったともいえよう。

   そう言えば民主党の鳩山さん、小沢さん、社民党、国民新党も最近の発言は「政権交代一本槍」で、自民党の政策批判は殆どなし。
 それを繰り返し報道するテレビ。
 たまにあるとすれば、鳩山さんと自民党閣僚の政治資金問題と、いつ解散するかだけ。
 佐伯さんの言うように日本の未曽有の時期に、特に次期政権を担うかも知れない民主党の政策論議に就いては僅かな討論番組を除いては、ニュース報道の中では殆ど放送そされません。
 唯一の救いは、読売と最近では毎日の自民・民主の公約比較の報道だけです。   (朝日については見る機会がありませんので。)
 唯、問題は日本の方向を決める一大勢力の浮動層と言われる人達の情報の収集源はテレビで全く新聞を見ないと言う人も多いそうです。
 権力のみを手繰り寄せることが目的となってしまうと、民主政治は必然的に大衆扇動家必要とする。幸か不幸か、自民党が選挙に勝つために利用しようとしている大衆扇動家が、せいぜい東国原宮崎県知事程度であるというのでは、今日の日本の民主政と政党政治の質が露呈している。 (*注記)
 大衆の支持を調達するために大衆扇動家や著名人をとりこんで権力を手繰り寄せようとする政治は、政党政治を破壊してしまうだろう。端的にいえば、「大衆的なもの」との安易な取引は、政党に活力を与えるどころか、政党から何か決定的なものを奪い取ってゆくだろう。 (*注記)
 それは「義」という言葉に通じるような何かである。政党とは、あることをなしとげるための信頼する人々の集まりだとすれば、政党政治を支える精神は、相互の「信」と「義」以外にはないだろうからである。
   信義の問題に就いては、東国原さんの問題を離れて、麻生さんを担いで自民党員の中には形勢がおかしくなりかけると、頭をすげ替えようとする人達の麻生さんや国民に対する信義はどうなっているのでしょう。
 自民党は安倍・福田・麻生の三人を担いで今まで日本の国政を担ってきました。
 自民党はその責任はその儘の形で国民に信を問うべきです。
 選挙間近になって頭をすげ替えて、「いや自民党はこのように変わりましたので、今までのことは忘れて下さい」など言って誰が自民党を信用するでしょう。。  

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*注記:東国原さんのことについて
 私は東国原さんの「総裁候補にしてくれ」発言には佐伯さんが言うほどの論議の余地はないと思っています。
・東国原さんは誰が見ても大衆煽動家ではない、マスコミがチャヤホヤしているだけだ。
・東国原さんの出馬依頼は自民党の看板にしたい以外の理由は全くない。
・自民党の中からは彼の発言に対して強い反発が出ているので、選挙前に彼が総裁候補になれる可能性は非常にすくない。
・世論調査でも東国原さんの出馬に対して反対が殆どだ。(私は反対者の大半が彼の独特の個性を愛している人達で、彼の将来を心配して反対しているのだと思います。)
・ネット上では彼の出馬の件については殆ど無視されていること。
 だから仮に東国原さんが総裁候補になるハプニングがあっても、騒ぐのは軽薄なテレビだけで、国民の大半冷めた眼で彼を見るだけで、彼がヒットラーや小泉さんのように、大衆を引っ張る力はないと思います。


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3 コメント

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小泉チョン一郎 (小泉純一郎)
2009-07-31 22:20:33
小泉純一郎の祖父朝鮮人ヤクザサスガ~自民党破壊し日本を破壊します。次は民主党鳩山ユダヤ資本の飼い犬が日本を破壊します。小泉に丁寧な言葉は必要無い。小泉はチョンで良い。オ~~イ~チョンいち早く働けコノ~~クサレチョン。
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Unknown (紅茶)
2009-07-13 15:47:31
>ヒットラーで直ぐ連想するのは小泉さんです。
海外の政治家で、小泉さんのような人物は英国のロイド=ジョージです。
実際刺客作戦はロイド=ジョージの選挙戦術を参考にしたものですよ。
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自民党が原点に ()
2009-07-12 13:30:34
自民党が原点に戻る事が必要です。自民党員らしからぬ与党に居ればと言う人間が自民党の「党是」も知らぬような連中を担ぎあげて人気投票の様な選挙制度にして来た付け、自分で整理する羽目に陥って居るのでしょう。

全然思想を「異」にする社会党を口説いて政権維持・票目当ての公明党との阿り政権維持する。完全に小泉首相が「自民党をブッ壊す」前に自民党の命は絶えて居たのです。

未だ、どんな事でも「遅い」と言う事は有りません。麻生首相は日本再生に命を懸ける自民党の「党是」に合わなく成った連中は出て行け無所属で立つべしと放り投げれば良い。

自民以上に金に「黒い」民主党を堂々と叩くのも必要、日本を潰すであろう民主党の弱点を堂々と突くこと、自民党内に遠慮は無用。
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