・原発事故の大半の責任は国でなく東電だ・このボタンのかけ違いが起こす問題・政府・国会の原発事故調査委員会は事故の調査を優先すべき・難しく微妙な経済環境と原発問題
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・原発事故の大半の責任は政府でなく東電だ
昨日の枝野さんへの質問についで、国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」は28日午後、菅直人前首相を参考人として呼び、公開で聴取した。
その中で、菅さんは
「事故の最大の責任は国にあると考えている。事故を止められなかったことを心からおわびする」と陳謝した。
そうです。
この回答は間違っています。
今の政府で日本の原発の事故を止めることが出来ると言う人は誰もいないと思います。
私は是々非々の立場で民主党政府や民主党に就いて批判をして来ました。
然し原発の事故発生の責任の殆どは東京電力にあると思います。
国には監督責任はありますが、設備全般に亙って細かい設備まで目が届く訳はありません。
前にも書きましたが、第一種圧力容器の監督責任のある厚労省は係官がその容器単体までもぐり込んで検査します。
一方高圧ガス設備、今回の場合は原発設備すべての監督責任のある経産省は厚労省並みの検査を使用とすれば、定期検査毎に数十名の検査官が要るでしょうがそんなことは無理なことは判っています。
だから検査と言えば高圧ガスの場合はお座なりの1名の検査官が対象の設備を現場の係員の案内で見て回るだけです。
要するに政府は何らかの規則を出して、対象の会社・工場がそれに従って忠実に運転・検査・整備をやっていると言う性善説に立っているのです。
私自身も高温高圧の石油化学設備のメンテナンスに当たった経験から、また東電の原発トラブルの隠匿件数が他の電力会社に比して際立って多いことからも、東電が今回の事故に就いては98%近くの責任があると思います。
菅さんが政府に責任があると言い、マスコミも権力側の批判をした習慣から、何でも政府に責任があるとしたのが、全国的なムードになり、最近の原発問題の解決が遅れている原因になっています。
・このボタンのかけ違いが起こす問題
たまたま昨夜「たけしのTVタックル」を見ていましたが、国会議員を含む出演者は猪瀬さんを除いて何故東電を破産処理をしなかったかと言って居ましたが、菅さんが言うように国にも責任があると言い、国会議員もマスコミもみな皆それ乗ったから、思い切った破産処理が出来なかったと思います。
もし私の意見のように原発の事故の殆ど総ての責任は電力会社にあるとすれば、政府がほんど口を出さなくても経営者は勿論授業員たちも必死になって安全運転と、設備の改善と増強に取り組むはずです。
なぜなら原発事故→会社破産→役員・従業員の大量解雇に繋がるからです。
・政府・国会の原発事故調査委員会は事故の調査を優先すべき
政府・国会の事故調査委員会が事故後の処理の拙さを追求しています。
私は世界でも確率1%に満たない原発事故の後始末で政府の関係者が慌てふためくのは当然と思います。
事故後の処理の問題点を整理をして後世や世界に残すのも重要な仕事だと思います。
然し事故後の処理の追求と、事故発生の直接原因の追求の順番が違います。 (まさか後者はまるきりしないのかも知れませんが。)
非常にまれにしか起こらない原発事故防止のために運転・保全・設備の改良強化に取り組める原発の現場と東電の経営陣に焦点を当てて取り組むべきです。
当面の大飯原発を始めとして、どこの関係地方自治体の首長も、事故原因もはっきりして居ず、それに基づく安全基準もないと言うのが反対の大きな理由になっていること。
そして野田政権は原発漸減、海外の輸出は許可方針を取っているのですから。
その一方政府と国会の事故調査委員会も政府の方に大きな責任があると言う政府追求のムードに載って、緊急性の少ない事故後の政府の後処理の追求を先にしているとしか思えません。
Wikipediaの「福島第一事故」に依りますと、建設の経緯から事故発生に到るまで可なり詳細に書いてありました。
設備保全に関係した私の興味を引き、ブログにも書いた応力腐食割れやSUS304から低炭素ステンリス鋼への変化の経緯も書いてありました。 (金を掛けて調査している政府・国会の事故調査委員会の報告と、ボランティアでやっているWikipediaの報告のレベルの大きな差。)
・現場の意見が経営陣に反映されたか
その中で福島第一にも保全のやり方としてTPM(Total Productive Maintenance、全員参加型の生産性向上のための保全)の導入の経緯が書いてありました。
詰まり自主管理活動・改善活動の保全への適用です。
その中では当然原発の設備の改善の意見が従業員から出た筈です。
日本でもオンボロの福島第一では原発技術の進歩に伴う数多くの改善意見がでるのは当然です。
特に東電内の津波高さの見直しの先送り、女川が福島第一より高地に建てられこと、福島第二で緊急電源装置を水密性の高い原子炉建屋に設けられてことなどの情報が入ったとき当然にTPMに参加している従業員から福島第一も何とかしないとの意見が出ない訳がありません。
その様な意見が何故採用されなかったのか政府・国会の事故調査委員会は是非調べるべきです。
それにしては両者とも素人ばかり、学者も極端に専門化した現在、金属材料・材料力学、流体力学・計装・電機などなどに到る広範囲の知識を必要とする原発の調査には、素人も同然です。それに本物のずぶの素人も交えた調査団のできることは知れて居ます。
まして保全に付き物の現場の要求と経営方針の関わり合いの問題など気もつきもしなでしょう。
・難しく微妙な日本の経済環境と原発問題
昨夜のNHKでは「中東発のエネルギー危機」の問題で、原発停止に伴う代替え燃料の増加、日本の原油の8割が通るペルシャ湾で戦争の危機に対して、石油の備蓄は半年、液化天然ガスの備蓄は殆どゼロ、ペルシャ湾で戦争の危機で産油国から足元を見られての価格の高騰などの問題がでていました。
読売新聞ではIEAのチーフエコノミストも上記のエネルギーの安全保障の指摘の他に次のようなことをを開設記事に載せていました。
・全原発が止まっている現状に就いて「日本は経済的な面で二次大戦以来の最も危機的な分岐点に達している。
・日本が脱原発の方向を強めれば、海外輸出で相手国への説得が難しくなる。
・原油価格はイラク以外に増産の余地はなく1バレル100ドルを上回る水準で推移する。
言うまでもなく日本経済は難しく微妙な調整を必要としているそうです。
このような時にこそ日本は経済問題に就いていくらかの安全率を見た運営をすべきですし、エネルギー問題もいくらかの安全率をみるべきです。
そのような時に、政府のいくらかの節電で何とか行きそうだという発表に、良かった良かった、あるいはそれ見ろと喜んでいる時期ではないと思います。
野田内閣の方針も振れていますが、動かせる原発はいずれ動かす方針は間違いないと思います。
そのためには地方自治体の言う、事故発生の原因を調査しそれに基づく安全基準を早急に作ること。
そのために政府・国会の事故調査委員会は事故発生の直接原因の追求を早くするべきと思うのですが、それでも政府や東電の事故後処理の問題ばかりに時間をかけるのでしょうか。
何か日本の実情から浮いている永田町・霞が関。こんなことで日本経済は大丈夫でしょうか。
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菅直人氏のいい分を聞いていると全く自分の責任の重さを感じているようには思えません。言い訳ばかりに終始していたように思われ何ら原因追求には役に立っていないと感じました。
今回の福島原発の被害の拡大の責任は、東電も大きいし、逃れられるものではありません。また見逃してもいけません。
しかし日本においての原発は民間企業のみの管理下で稼動していないことは事実です。今回のような非常事態には政府が指揮権を握って主体的に動くべきであるのは当然のことと考えます。
原発が絶対安全であると考えて何ら事故が起きた時のことを想定していなかった政府の責任は当然、非常に大きなものです。非常事態に対しての備えが全くなされていなかった(「危機管理能力」が全くなかったのは)、厳然たる事実だったと思います。
一国の宰相たる者に想定外などの言い訳は通用しないし、出来ないのではありませんか。
最近、電力会社のみを悪者にしているような風が吹いているようですが、果たしてそれが正しいのでしょうか?疑問が生じるばかりです。