[生活保護額を下回る最低賃金]
昨日のテレビと今朝の新聞で
地域別の最低賃金(時給)を労使代表が議論する厚生労働相の諮問機関・中央最低賃金審議会の小委員会は5日、今年度の引き上げ額の目安を15~7円とすることを決めた。
生活保護の水準まで最低賃金を引き上げることを目指した改正最低賃金法が7月に施行されたことを受け、生活保護の水準を下回る12都道府県については、目安を上回る引き上げを求めた。6日の同審議会で正式決定した後、各都道府県の審議会での議論を経て、10月中に新基準が適用される予定だ。 (読売新聞より)
と言うニュースが流れた。
最低賃金が生活保護額を下回っている地域は北海道、東北、首都圏、阪神工業地域、広島など全国に亙っている。
これに対して労働側が生活困難や格差の発生などさらなる賃上げを求めたのに対して、経営側は「原油高などで、特に中小企業の経営が厳しい」と反発すると言う難しい経済情勢だ。
今の厳しい日本の経済問題解決について、多くの政治家、学者、評論家がそれぞれの持論を述べているが、彼らはその主張に都合の悪いことには触れないので、問題がいよいよこんがらかって私などの一般人を混乱させるばかりだ。
[全般的に避けられている問題]
・超低賃金と膨大な人口を抱える中国の台頭→日本の相対的な競争力の低下の事実には触れない。
・経営者や従業員は情勢の変化に応じて自分で適切に対処することの出来ない人もいる。
例:タクシーの自由化→無秩序な増車→生活保護費以下の収入の運転手の発生
(市場経済中心主義者はこのような敗者(ここでは経営者と運転手)は撤退すべきだと割り切っているが日本としてはそれだけでは済まされない)
例:経済活性化のための公共投資に増大というが、財政悪化やいつかは飽和状態になる公共投資の限度を知って自主的に廃業する業者は殆どない。
・経営者は必ずしも企業活動による社会貢献の考えとか倫理観を持っていない。
例:数々の偽造事件の発生は論外としても、前記のような非正規労働者の採用→賃金格差の発生→通り魔事件など社会不安の発生は他人事のように考えている。
だから自社の為だけを考えて簡単にコストカット出来る非正規労働者をどんどん採用する。
・日本の消費税率は先進国では最低、それも飛び抜けて低い。
バブル崩壊後の日本経済の停滞の原因は消費税制度発足だと言われているが、バブル破綻による金融破綻や前記の中国の台頭などの要因が大きく、消費税が経済沈滞の引き金を引いだけに過ぎない。
・先進国で膨大な債務残高を持ちしかもそれが継続的な増大傾向にあるのは、日本だけだ。
・全体的な政府予算の25%を占める国債費のために政府は経済振興などを含むやりたい事もやれない。(何故かこのことに言及した話は聞いたことがない。)
・少子化は避けられないとして無視する(殆ど全ての人達)
少子化が経済停滞とその傾向増大の大きな要因であることは誰でも認めている。
少子化は天然現象でなく公害問題と同様人が起こした問題だから、その防止策は難しいかも知れないがあるはずだ。
[自説を主張する人が言わない点]
・日銀の貸し出し金利を上げるべき
→円高→国民の収入増加(預金利率上昇も含む)→国内消費の増加→経済の活性化
→円安を利用した投機資金が原油や食糧の相場に廻るのを防ぐ
国内の中小企業への資金調達困難、ドル安に伴う米国の景気の低下の日本への影響には触れず。
・消費税増税
家計への影響は言わないでも判るが、それが日本経済にどの程度の影響を与えるかには触れず。
・法人税減税とう企業の優遇の税制をすれば、企業が海外で眠られせている資金が日本に帰って来る→産業の活性化になる。
今の財政が厳しい時期に余程の政府に対する国民の支持が無い限りこの様なことは絶対に出来ない。
・輸出中心から国内消費に重点を移すべきだ
非正規従業員の増加による平均収入の低下や少子化による国内の経済の縮小のことは言わない。
・単純労働者を大量に導入すべきだ。
国内の物心両面の受け入れ体制の準備不足、新たな社会格差の発生に伴う諸問題については触れず。
・優秀な学生を海外から導入すべきだ。
日本の大学にその受け入れ態勢が出来ているか、米国の大学のように魅力的な大学があるか、その結果余り優秀でない学生が入って単純労働者と受け入れと同じ事にならないかなどは触れず。
・外国から高い原料を仕入れて、加工して輸出するなどマージンの少ない自動車などを中心とする輸出から、環境機器など日本得意のものを輸出すべきだ。
環境機器の輸出額は自動車やその他の従来の工業製品に比べれば、数十分の一から数百分の一と言えるほど小さい。
・政府はどんどん国債を発行して積極的に投資し、経済活性化による収入を増やすべき。(これから先は私の考えだが、それでインフレが進み、国債の相対的な価格が下がれば、ただ同然で国債の償還ができる。)
大量の国債に伴うインフレの進行の生活への悪影響や、日本の国債の信用低下や国債を持っている人達の損失などの犠牲を伴うことは触れていない。
・技術立国を進めるべきだ。
ゆとり教育に見られるように依然として残っている日教組の影響をうけている日本の教育現状や、旧態依然とした大学の現状、技術離れの傾向が強い生徒の現状についてどうするかは余り語られない。
全般を通じて言えば、今のように厳しい環境にある日本に取って、これと言う特効薬はないようだ。
従ってそれぞれの主張を単独で実行するか、いくつか組み合わせを考えるか、であるがいずれにしても、その内容についての国民の理解と支援を得るしかないと思う。
[将来の希望の持てる経済政策へ]
私は超前向きな増税論 素人臭い消費税増税案を提案した。
その増税で得た資金は当面の年金、福祉などの懸案の解決に当てると共に、将来の明るい展望が見える国債費の減少へ向けて赤字財政からの脱却(小泉さん時代でさえ赤字財政で債務残高を増やした)、少子化問題解決のための諸施策に当てることを提案した。
私の案は暴論かも知れないが、いずれの政策を取るにしても、将来の明るい展望のない諸施策は今のように閉塞感に満ちた日本では避けるべきだと思う。
特に対症療法的な施策、ばら蒔きと称される様な諸施策だけの経済政策(と言えるのかな?)は絶対に避けるべきだ。
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これは、日本の消費税が消費に対して網羅的に課税しているのに対し、欧州各国の付加価値税は、医療・教育から住宅取得・不動産・金融など幅広い非課税項目があり、食料品や医薬品など生活必需品は軽減税率やゼロ税率を採用しているからだと思います。
したがって、日本の消費税率は低いから上げるべきとは単純には言えないような気がします。
また、日本の消費税は仕入や必要経費に掛かった消費税は控除されますが、人件費は控除されません(ただし、派遣会社から派遣社員を雇う場合の派遣料は控除可能なようです)。
デフレで利益のでないサービス業にとって、消費税の増税は死活問題であり、しいては賃金デフレを引き起こすのではないかと思います。