今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

TNRの本質 ~イエミケの社会復帰プログラム~

2018年02月07日 | リン(旧イエミケ),クウ,キー
イエミケは不妊手術を終えて、当家の保護部屋で養生しています。
あの衝撃の保護から今日で5日目。その間、現実の問題としていろいろ考えさせられ、そして行動した。でも、今一番強く思うことは、これがイエミケ自身にとってどんな意味があるのかということです。

地域猫活動には攻撃的に反対する人たち(「動物愛誤」と書く輩)がいて、彼らの主張は「地域住民のための活動が猫様のためにすり替えられている」というもの。しかし実際にイエミケの保護手術に携わって、一体どこがイエミケのためなのかと正直思った。平穏な子供たちとの生活を突然奪われ、部屋に隔離され、病院では身動きもとれない小さなケージに閉じ込められ、手術という命のリスクを被ってもこの先どうなるかすらわからない。

飼い猫であれば、怖い病院から帰れば慣れた家や保護者に再会して安堵できる。でもイエミケにはそれがない。どんなに怖い思いをしても将来に不安を抱いても、すがるものがないからひたすらに受け止めるしかない。人間だったらそれだけでも耐え難いのに、R(リターン)されれば気が動転してどこかに消えてしまうことも多いそうで、そうなれば"保健所で殺処分"とたいして変わらない仕打ちじゃないか。

それでも殺処分よりはましと、TNRとは苦肉の策であってノラのためでも何でもなかったのだ。言わば人間のための必要悪。だから携わっているボラさんたちはみな空しいに違いない。でも自分は今、地域猫活動のうたい文句でもある「一代限りの終生保護」を確実に実行する方法を、"明確な保護者"として模索しています。もちろん家猫にできればいいのですが、今後のことを考えれば何でもかんでも引き取るわけにはいかないので、Rを前提に考えています。

               
         保護したときのイエミケは、不安そうでも"いい子"だった

さて、イエミケは保護した当日は部屋で怯えていました。唯一の救いは自分と顔見知りだったことで、自分に対しては喉を鳴らして寄ってきた。Rを前提にすれば、保護期間が長くなれば逆効果だ。急いで病院に連絡すると手術は1ヶ月待ちだという。慌てて次々と電話したがどこも同じだった。しかし5回目に電話した先生はボラでノラ手術をやっていて、そういう事情であれば変則だけど明日の夜にもできると言う。ただし夜の手術は、その後に帰宅するため術後のケアができない。「何か起こってしまうリスクは高くなる」と言うのです。

悩みました。相当悩んだ。他にも院内感染やワクチン接種の必要性などいろいろ言われました。まあ、これがインフォームドコンセントの一環だと後でわかるのですが。 さんざん悩んだ挙句、誠実に話す先生を信頼して手術をお願いしました。この先生は何かの協会に所属するボラ先生らしく、結果的に費用が1万2千円と他所の半額で済んだのも助かった。

               
           母親を奪われたチビたちは寂しさに耐えていた

その晩、勝手口の隙間からイエミケとチビたちを対面させました。隙間から身を乗り出して親にすがるチビたち。イエミケはあまり反応せず、静かにしていたがやがてぶるぶると震えだした。外の冷気がきつかったようだ。そうか、失敗した。イエミケを落ち着かせようと部屋を暖めたのがまずかった。イエミケに必要なこと、それは外の環境を忘れないことなのに。

               
          チビたちは交互に身を乗り出して母猫にすがった

次の日、手術は夜だったけど午前中に預けてほしいと言われた。1時間待って、診察の後に預けるとイエミケはとても小さなケージに入れられて、怯えて鳴き通しだった。そりゃ不安だよな。彼女の頼りは、まだ付き合いの浅い自分だけだったから。その夜自分ははよく眠れませんでした。でも手術はうまくいって、翌日の昼に退院してわが家の保護部屋に戻りました。

               
          病院から戻ったイエミケ、少しは安堵できたかな

イエミケを家に置いて自分は店に戻った。残務もあったし、ちび太やテンちゃんが待っていた。20時頃帰宅して、イエミケとチビたちを対面させようと寝床を確認すると、チビたちがいない。最強寒波が抜けたとはいえ氷点下の夜。これまでこの時間帯にいなかった記憶がない。チビたちはその晩、夜半過ぎても戻らなかった。

手術保護の間にチビたちに何かあってはイエミケに申し訳ない。また何かトラブルに遭ったかもしれないし、寒空の下を探しに出ました。しかしどうにも見つからず、結局布団に入って悶々としていると、4時頃になってイエミケが鳴き出した。さすがに寒いのかと少し暖房を入れ、ふと外を確認するとチビたちがいたのです。

               
           自分が部屋に入るとゴロゴロのゴロンゴロン

一昨日の月曜日、家族は朝晩の2度対面しました。術後初めてとなる朝の対面の際、勝手口の隙間からすがりつくチビたちにイエミケが唸った。夜の対面のときも、初めは無関心に見えたイエミケが唸り出し、ついには手を上げた。呆気にとられて遠まわしに見つめるチビたち。この状況はまずいと、早々に対面を打ち切りました。

昨日はイエミケも落ち着いて、子供たちと鼻ツンツンもしたけど何処かよそよそしい。引き離した家族を元に戻そうなんて、果たしてできるのかできないのか、本当に大変なことなんだな。様子を見て昼過ぎに、リードをつけたイエミケを勝手口の外に出しました。まだ落ち着かないイエミケが寝床の前を通ると何と中にチビたちがいて、驚いて一目散に逃げる一幕も。

しかしチビたちはストックヤードの反対側から再び現れて、落ち着きを取り戻したイエミケとのひとときを過ごしました。その時はイエミケもだいぶ調子が戻ったようだ。そして自分(オジン)から逃げようとリードを張ってもがくので、"外慣れ"演習をお開きにしました。

               
           寝床にいたチビたちにはじめはイエミケが驚き
             次にチビたちが一目散に逃げて行った

               
         "いつもの"棚の上で落ち着きを取り戻したイエミケと
               反対側の入口に現れたチビたち

               
                 まず黄チビが近づいてきて

               
                 次に白黒チビが擦り寄った

               
           調子がでてきたイエミケはいつもの場所で食事
                   (チビたちの残り)

先生からは術後2週間は安静にしてほしいと言われています。その間は抗生物質を与え続け、自分の本拠地である家裏やチビたち、そして同居猫のソトチビを忘れないように努めます。喧嘩してどこかに逃げてしまうようなことがあれば元も子もない。自分の目標としては、チビたちと寝床を共にするまでに戻れば、家裏に放っても大丈夫かなと思っています。でも、あくまでもそのときの判断。今朝イエミケを出したときは、チビたちがイエミケを避けて消えてしまった。まだまだ予断を許しません。

               
                  昨日の晩もスキンシップ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする