わかりやすくするために、細かいことは省きます。
ペルーのアンデス山脈に、南半球最大の山、シウラグランデ峰(6344m)がある。
1985年に、ジョーとサイモンが世界で初めて登頂に成功した。
しかし、下山のときに、ジョーがつまずいて足を骨折した。
このレベルの山で、足を骨折したらほとんど死の宣告に近い。
しかし、二人はあきらめなかった。
二人をロープにつなぎ、骨を折ったジョーを先に滑らせて、サイモンは足で踏ん張って止める。
そして、サイモンはジョーのところまで降りる。それを何回も繰り返し、下山する作戦をとった。
この作戦は、まあまあうまく行っていた。
しかし、ついに運命の時が来る。
ジョーの降りた先が、クレバス(雪の割れ目)だったのだ。
サイモンのロープが、ピンと張り詰めた。ジョーの体重のすべてがロープにかかっていた。
サイモンは二つの選択を強いられる。
このまま力尽きて一緒にクレバスに落ちていくか、ロープをナイフで切るかだ。
サイモンはロープを切った。そして、ジョーはクレバスの闇に落下していった。
しかし、落下したジョーは死ななかった。
クレバスの底は、地上へつながっていたのだった。
ジョーはここで二つの選択があった。ゆっくり休んで死を待つか、クラバスの出口へ向かうか。
ジョーは出口に向かい、闘う道を選んだ。そして、これをゲームだと考えることにした。
「20分であそこの場所までいく」というゲームに。
骨折して歩けないから、ほふく前進で進んでいった。
決めた時間に間に合わなそうなときには、ピッケル(雪に刺して使う道具)を杖代わりにして歩いた。
このゲームをクリアできたとき、ジョーは高揚感でゾクゾクしたそうだ。
そういうふうに、小さい目標を決めて、困難をひとつひとつクリアしていった。
このゲームを4日間続けた。そして、ついにベースキャンプにまで、たどり着いた。
しかし、力尽きて、そこで眠ってしまう。
しばらくして、あまりの臭さに目をさます。自分の顔の付近に排泄物があったのだ。
そこはベースキャンプのトイレだった。
ジョーが大声でサイモンを呼ぶと、サイモンがやってきてジョーを抱きしめた。
ジョーは奇跡的に助かった。
この話は、僕たちに何か重要なことを教えてくれます。
どんな過酷な状況でも、それを楽しめるということです。
ジョーは最悪な状況をゲームにして楽しんだ。
結局、それが生きることにつながったのです。
運命を分けたザイル 予告編 -Touching The Void-