フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

ロング・グッドバイ レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳

2020年07月13日 07時00分00秒 | 日々の出来事・雑記

本の朗読って聴く機会ありますか。

僕はAmazonのオーディブルの会員になっています。

オーディブルとは、プロのナレーターが朗読した本をアプリで聴けるサービスです。

会員は月1500円で、毎月一冊もらえる。気にいらなければ返品や交換が可能です。

Amazonの回し者みたいになってきたので、やめます(笑)。

僕は、車の運転中や歩きながら聴いています。朗読で本を聴くというのはすごくいいですよ。

これから朗読はトレンドになっていくと思います。

2年くらい会員になっているので、かなりの量の本があって、まだ聴いていないのもある。

今回は、ロング・グッドバイの朗読を聴きました。19時間18分。かなり長い。

聴き終わるまで、2週間くらいかかりました。

朗読をしているのは、早乙女太一さんです。

朗読の良し悪しについて詳しく書きたいけど、長くなるのでやめます。

点数をつけると、前半60点・後半80点。途中から、だんだん上手くなっていきます。


そうそう、本の感想でしたね。

ロング・グッドバイを昔読んだことがありました。しかし、内容を全く忘れていました。

たぶん、よく読んでいなかったんでしょう。ほとんど初めて読んだようなものでした。

簡単にいうと、傑作でした。やっぱり、すごい小説だと思いました。

話にどんどん引き込まれていきました。

主人公の私立探偵フィリップ・マーロウは、友人の無罪を証明するために、真犯人を探り当てていきます。

マーロウは、もっと暴力的でマッチョなタイプだと思っていました。

まあ、マッチョはマッチョなんですが、思っていたのとは、ちょっと違う。

暴力はほとんど使わない。むしろ暴力を振るわれ、痛めつけられる。

それでも、マーロウは、自分の信念を絶対曲げない。そういうタフさです。

警察に脅される。ヤクザに脅される。大富豪に脅される。しかし、折れない。絶対、折れない。

身の危険を示唆されても、折れないんです。

このタフさは何なのだろうか?と考えました。

身の危険や人生を台無しにされる可能性があっても、折れないというのはどういうことなのか?

それは、命より大事なものがあるということです。

たとえば、親なら自分の子供は、命より大事かもしれない。

宗教を持っている人は、自分の信仰が命より大事かもしれない。

じゃあ、マーロウの大事なものはなんだ?ということです。

思うに、これ自体が謎になっています。

マーロウはなんでそんなに意固地になって頑張っているんだ、それが知りたいと。

最後のページを読み終わります(朗読が終わる)。事件のすべての謎は解けました。

すべてが一件落着すると、スッキリする。これが普通の小説ですよね。

しかし、この小説は、なんとも言えない余韻が残る。読み終わったあとも、何か後ろ髪を引かれるものがある。

この余韻は何なのだろうか?

それは、マーロウの内面の謎が解けないままだからです。

わかったようなわからないような、不思議な感覚に襲われます。

金よりも、楽しい生活よりも、愛よりも、守らなくてはいけないものは何なのか。

男の矜持、個人的な規範、男の生き方。

全部当たってるようで、全部見当違いにも思える。

ほんとお酒が飲みたくなります。全くお酒を飲まない僕でさえ。

コメント (2)
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