ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

子ども創作能、久しぶりのお稽古

2012-06-11 02:39:26 | 能楽
週末は子ども創作能のお稽古で伊豆に行っておりました。なんか久しぶり~。

いや、お稽古はコンスタントに続けているんですが、たまたま前回のお稽古のとき、学校行事やらといろいろ重なってしまって、ほとんど子どもたちが集まれない、という状況になり、当日になってからお稽古が中止になってしまったのでした。子どもたちが集まらなかったためにお稽古が中止になったのは、13年間続けてきたお稽古の中で初めてでした! こんなこともあるのねえ。

んで、たまたまその中止になったお稽古日とその次の…つまり今回のお稽古の間に3週間も間隔が開いてしまっていまして。だからもう伊豆の子どもたちとは1ヶ月くらい会っていない計算になります。

そんな事もあって、この日のお稽古は一人もお休みの子がなく(ま、大概のお稽古日は欠席する子はいないんですが)、午後1時から5時まで みっちりのお稽古になりました。ぬえも汗だくでお稽古~。ん~このお稽古のブランクでちょっと忘れちゃった感じもあった子どもたちでしたが、そのうち思い出してきて、まずはひと安心しました。8月に大きな舞台を控えているので、そろそろスパートを掛けてお稽古しなきゃなりません。



おや? お稽古しながら笑ってるね~。それもそのはず、お稽古途中で「はい!そこでストップ!」と大声を発した ぬえに間違いを注意されるのかと ギョッとフリーズした子どもたち。続けて ぬえが「は~い、そのまま、そのままぁぁぁ」と言いながらデジカメを取り出して撮影を始めたので。。これは困っている苦笑の笑いですね。だって姿が良く決まってたんだも~ん。

さてお稽古が終わってから、伊豆のある方のお宅にお邪魔して被災地への支援物資をお預かり。じつはちょっと以前にふとしたキッカケから ぬえは伊豆で人の窮地を助けるようなことになりまして、その折に なんとなく子ども創作能のことや被災地支援活動のことに話題が及び、それならば、と支援物資を頂くお約束をして頂いたのでした。それをこの日になって思い出して。。ちょうど来週、8度目になる被災地支援活動として石巻と女川町に行く予定ですんで、突然のことながら物資を受け取りに行くことに。もっとちゃんと計画を立てていれば、ご知友の方にも声を掛けて物資を集めてくださったのですのに、思いつきでお伺いした ぬえはご迷惑お掛けしてしまいましたよねえ。。でも仮設住宅の集会所に寄贈する本を箱いっぱいにご用意くださいました。ああ、ありがたや~

それからまた引き返して韮山へ。じつは毎年この季節を ぬえは心待ちにしていたんですが、伊豆ではこの頃に野生の蛍(!)が見れるんです。とくに有名な場所が韮山にありまして、ここには付近に大きな駐車場もあるし、蛍の飛ぶ頃に合わせてコンサートなども開かれています。蛍を観察できる小川はこれらの施設から徒歩でほんの2~3分のところにありまして、こちらはもちろん街灯もない静かなところ。そこに。。まあ、たくさんの蛍が飛んでいるんです。毎年見ているけれど、やっぱり感動してしまいますね。

子ども創作能のお稽古の際に、一緒に蛍を見に行こうよ~、と子どもたちに呼び掛けてはあったのですが、集合時刻は夜8時。。おねむの子もある時間帯。。どうかなあ、と思いつつ待っていると、6人の子どもたちがお母さんに連れられてやって来てくれましたよ!

それからは、わあわあ、おっと静かに! 先生、先生! こらこら静かに! こっち来てこっち! 静かにしなさい! ねえねえ見て見て! そこ、走らない! 延々とこんな。

子どもたち、いつの間にかどんどん走り出していて、父兄や ぬえは、もう川に落ちる子が出るんじゃないかと冷や冷やしていましたが。。ところが!

子どもたちのあとを追っていくと、なんと今まで ぬえが知らなかった蛍鑑賞の穴場を子どもたちが見つけていました! これは。。

もう先にそこに到着していた子どもたちが ぬえに寄ってきて、重ねた両手をそっと開いて見せてくれました。その手の中には。。蛍。つかまえていたんです。。驚いた。。 蛍はゆっくりとこの子の手の中から舞い上がりました。

この観察場所は有名で、旅館からバスでお客さまを送迎して見せていたりする場所なんですが、そこからちょっと離れたところに自分たちのまわりに蛍が舞い飛ぶような場所があることを ぬえは知らなかった。。というより、この日来てくれたご家族の中でも「初めてここに来ました」という人が多かったのに、子どもたちは柔軟で行動力があるから、大人が気がつかない発見をするんですね~。

この穴場の場所は ぬえと子どもたちの秘密にしておこうと思っています。なんにせよ、驚かせてくれるよね。この子たちは、いつも。

あ、説明が遅くなりましたがタイトル画像は伊豆の国市の中で発行されている「能のまち伊豆の国新聞」です。

年1回発行の新聞で今回が第2号なんですが、なんと今回は 子ども創作能がメイン記事に! ユイちゃんが新聞の「顔」として大きく取り上げられていますね~



そのほか8月の舞台の主要メンバーの子も舞台に向けての抱負まで入れて取り上げてくださっています。ん~! 子ども創作能、愛されてるう!