ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆・子ども創作能 明日は本番!

2016-10-08 17:44:38 | 能楽
静岡県 伊豆の国市に来ています。明日は当地の守山八幡宮の祭礼で子ども創作能を上演します。

守山八幡宮はここに流罪になった源頼朝が崇敬し、平家打倒の戦勝祈願をした由緒ある神社で、子どもたちも その平家に対して当地で挙兵した史実を脚色した『伊豆の頼朝』という創作能を演じるのです。

今日は翌日の成功を祈願して、守山八幡宮のお隣にあるお寺・願成就院さまに子どもたちが参詣し、『伊豆の頼朝』の謡を奉納させて頂きました。

願成就院さまは頼朝が鎌倉に幕府を開いたのち、頼朝の奥州討伐の戦勝祈願のために北条時政が建立した、これまた由緒正しいお寺で、ご本尊の阿弥陀如来座像など運慶作の仏像5体が過日 国宝に指定された、まさに伊豆にとどまらず静岡県や中部地方をも代表する名刹です。

ぬえは以前から願成就院の小崎住職さまとは懇意にさせて頂いておりまして、子ども創作能のメンバーの制服であるTシャツ(通称「能T」)の背中に大きく書かれた「能」の字をご住職に揮毫頂いたり、昨年からは白砂の庭園で観月会を催させて頂いたり。それどころか たまたま ぬえ家の宗派と願成就院さまが同じだったところから、両親が他界した際も東京での葬儀にはご住職にお無理をお願いして、わざわざ伊豆からご足労をお願い致しました。

この日願成就院さまに子どもたちを参詣させたのは、ひとつには翌日の舞台の成功祈願のためでもありますが、もうひとつの理由は、なぜ伊豆に住む彼らが頼朝の挙兵を題材にした創作能を演じるのか、彼らの古里で起こった歴史を学ばせるためでもあります。



毎年奉納に伺っておりますが、今日の子どもたちは例年より行儀よく、ご住職のお言葉に耳を傾けていて、とても良い奉納になりました。

また当地を見守る仏さまにご挨拶をしてお舞台を勤める心も大切にしてほしいと願っています。この日は明日の祭礼を挙行する寺家(じけ)地区の区長さまにも参列頂き、子どもたちに激励のお言葉を頂き、また子どもたちにも謝意を表してもらいました。

さらには明日の舞台である守山八幡宮にも参詣して、神さまにご挨拶をしました。

明日は神さまにお尻を向けて舞殿で上演することになるため、ぬえも非礼をお詫びして、子どもたちが立派に上演できるよう、神さまにお願い致しました。



朝から雨が降ったりやんだり、あいにくのお天気で、明日も予報は芳しくないようですが。。子どもたちの熱演はもう秋寒い気候を吹き飛ばしてくれることでしょう。