ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

伊豆「子ども創作能」の公開稽古

2020-10-10 08:01:50 | 能楽
コロナ禍のために出演機会がなくなってしまったのは伊豆の子どもたちも同様でして、彼らは2月に地元の「梅まつり」で市民の前で上演して以来、発表の場を失っています。

まずは4月に予定されていた恒例の「鎌倉まつり」公演。東京からお囃子方の先生の来演も願って、子どもたちにとっては1年で一番大きな上演機会ですけれども、「鎌倉まつり」自体が中止になりました。

夏は伊豆の国市の花火大会に合わせて開かれていたイベントに出演していましたが、これは一昨年に中止になってしまって、今年はその代わりに箱根での上演の計画を進めていたのですけれども、これも中止になってしまいました。

さらには秋10月に、こちらも恒例となっていた市内の「守山八幡宮」の祭礼での奉納上演。こちらは伊豆に流された源頼朝が崇拝していた由緒ある神社で、頼朝の創作能を演じる子どもたちにとっても意味ある上演だったのですが、こちらも祭礼自体が中止に。。 しかもこの神社の祭礼は去年は台風の直撃を受けて中止になっていて、2年連続しての中止となってしまいました。

神社には江戸期に大久保長安が当地に伝えた能が郷土芸能化した「三番叟」が残されていて、これと子ども能の競演も毎年意義深いと思っていたのですが残念です。

こうして2月の上演以来、子どもたちはもう8カ月も上演の機会を奪われてしまっています。仕方なく、上演の目標もないまま、せめて上演曲を忘れないために毎回配役を替えて稽古だけは続けています。

が、これが意外な盛り上がりを見せていまして、毎度みんな楽しそうにお稽古していますw

でも、ここで我慢できなくなったのが ぬえでして。とにもかくにも、子どもたちの上演に機会を与えてあげたい! しかも新規参加の児童もいるから、彼らにとっては参加はしたけれど、一度も舞台に立つチャンスがないのです。これではいけない。

要するに、人が集まるイベントは密を避けるために軒並み中止になっているので、これらのイベントに参加することを期待してはいけない。密を避けて、宣伝もなし、保護者のママさんたちだけが見る程度の無観客での自主上演をすれば良いのだ、と ぬえは思い当たりまして、市内にいくつかあるちょっとした野外ステージでのゲリラライブを行うことを考えつきました! これなら保護者以外にも、たまたま通りかかった市民の方にも見て頂けるかもしれない!

。。が。保護者からは慎重な意見が相次ぎ。。いわく「やはりこの時期に行うのは不安」「わざわざ上演して、かえって批判の目で見られるのではないか」。。なるほどごもっとも。。(-_-;)

で、またまた ぬえは考えまして、「公開稽古」というのを提案しました。これならどうだ。
つまり、毎々続けているお稽古をもっと拡充しまして、お囃子方はナシで普段の稽古通りに ぬえが拍子盤を打ちますが、子どもたちは装束を着けて本番のつもりで稽古をする。要するに「公開リハーサル」のようなものを行うのです。

これは保護者も賛成してくださって、「会場は室内なので換気に気を付けましょう」「椅子を離して並べて密を避ける工夫を」「受付を設けて見学者の名簿を作る」「保護者はスタッフなのでマスク着用。見学者にもマスク着用をお願いする」「検温器は私が用意できます」。。と次々にアイデアが出ました。

これなら最小限度の宣伝をして市民に見て頂くこともできるかも、という所まで来ましたので ぬえがチラシを作って、これは参加者だけに配布を任せて、参加児童のお友だちなどに配ってもらうようにしました。

こうしたわけで、このブログでも簡単に宣伝させて頂きます。子ども能の上演時間は20分程度しかないので、当日は ぬえも面や扇などを展示して開演時に簡単に説明などしてみようと思っています。お近くの方はぜひお出ましください!

【期 日】令和2年11月8日(日)14:00~15:00
【会 場】あやめ会館(長岡中央公民館)3F多目的ホール(静岡県伊豆の国市長岡346−1)
※観覧無料
※新型コロナウイルス感染予防のためマスク着用でご来場ください