神戸バイブルハウス主催ギリシャ語セミナーに出席して

[神戸三宮にある会場。右はアルファ、オメガをあしらったステンドグラス。北広島山手教会。]

4月5日、神戸バイブルハウスで行われた「ギリシア語から読み解く新約聖書」（講師正木うらら）を聞きに行った。講師は新約聖書がギリシャ語で書かれたことを、新約にふさわしい言語であった、ギリシャ語は用意された言語であった、とやや美化した一面的に見える見方をしていた。加藤隆の批判的分析とは大きく相違していた（「新約聖書はなぜギリシャ語で書かれたか」）。また、講演中ギリシャ語の表現や文に触れることなく、案内文から予測していたとは言え、その点私には物足りなく感じられた。

ただ、難しいと思われる言語も「なかなか身についていないと思う時期がある。しかし、気がついたら身についている」、ちょうどトーストを焼いていて、ずっと白いままに見えても時間がたつと急に茶色に焼けているのに似ている、と語った。私も忍耐してそのように言えるよう目指したい。

「欄外に註のあるギリシャ語新約聖書が最も身近な注解書」と言ったのには同感である。聖書を原語で読むことは数冊の注解著を読むことに匹敵する、あるいはそれに優るからである。講師はギリシャ語で新約聖書を読むことにひとかたならぬ喜びと情熱をいだいていることがうかがえた。

それほど重要というわけではないが、次のような事を知った。１）ギリシャ語アルファベットの解説で、エプシロン、イプシロン、オミクロン、オメガはプシロン（飾らない、そのままの）、ミクロ（小さい）、メガ（大きい）が加わったものという説明を聞いてなるほどと賢くなった。

２）アルファベットの変遷で、ギリシャ語、ラテン語の段階である文字が消えたり、回復されたり、置かれる位置が変わったりした話も興味深かった。ギリシャ語のゼータが前の方にあったのが、ラテン語でZとなって最後に置かれたり、ラテン語にガンマが変わってCになって現れたり、要らないとされた[g]ガンマ（cになった）が足をつけてGとなった、など。・・やはり専門家は素人とは違うということか。楽しい一日だった。