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見習い百姓のつぶやき

宮仕えも一段落、半農半Ⅹを本格化。農的暮らしとさまざまなⅩを悩んで、楽しんで一歩づつ。

「菊と刀」~「恥の文化」とは?

2025-04-12 20:12:54 | 本や図書館

知らないって恐ろしい!ルース・ベネディクトの「菊と刀」に記された「恥の文化」って、武士道文化の分析書だとばかり思っていました。
だって、僕の耳に届いてくるくらい、評判が高いのに。

山折哲雄著「さまよえる日本宗教」には、「菊と刀」は完全に論破されていると書かれていて、、、
紹介されていた一冊は「『恥の文化』という神話」だったので、早速借りようとしましたが、、、
県図書には蔵書がなくて💦市立図書館では貸し出し中、予約をしてやっと手にして読みました。

えっ!ルース・ベネディクトの言う「恥の文化」とは、「日本人は恐ろしい良心を持っている」「自分の行動を他人がどう思うだろうかを恐ろしく気にかけ、他人に自分の不行跡が知られない時には罪の誘惑に負かされる」、道徳の絶対基準を持たず、罪の意識を持たない故に、「悪い行いが『世人の前に露頭』しない限り思い煩う必要ないという文化」だと書いているんです!!
その「菊と刀」は、1946年、終戦直後に出版されているのですが、コロンビア大学の助教授だったルース・ベネディクトは、共産主義者の疑いをかけられ、LTP、HAUC、さらにFBIなどの審査の対象で取り調べを受けたというのです。
しかも大学では育ててくれた恩師を失い、全く先がない中で出版したのだとか。

ベネディクトは1940年の「人種―科学と政治」で、白人優越主義を自己批判を込めて執筆しているそうですが、いつの間に路線変更したのか?
その後、彼女はUNESCO設立に関わるなどの活動を続け、1948年にコロンビア大学正教授に任じられるのですが、二か月後、ニューヨークで急死する。
これだけの大ベストセラーを生み出しながら、、、、

日本人は罪の意識を持たない、良心を持たない、恐ろしい良心を持つと断言したベネディクトは、アメリカ人は道徳意識にもとづく罪の文化を有しているとしていますが、、、
アメリカ社会の犯罪率、先住民族を蹴散らしながら建国した歴史、正義の民主主義を掲げて世界に戦争を拡散した歴史などなど、現実は真反対!?

アメリカの社会学者ダグラス・ラミスは「内なる外国~「菊と刀」再考」で「ベネディクトが書いたのは「文化の型」でも何でもなく、国家が後押しするイデオロギーだったと。
イギリスの歴史学者のニール・ファーガソンは、大戦前から「アメリカはアジアに於いて自国利益を追い求める半面、他国には(ヨーロッパを含む)侵略反対を主張する姿勢を築き上げていた」と記し、イギリスの政治家チェンバレンは「下劣な国でいつもいいとこどりばかりしている」と見下していたと書いていると。

アメリカの人類学者クリフォード・ギアツは、「菊と刀」は異文化研究、文化人類学研究ではなく、「ガリバー旅行記」やモンテスキュー、ヴェブレン等の著作と同等のものとして読むべきだとしている。
それは日本にも紹介されているのに、いまだ「菊と刀」を優れた日本人論、文化人類学の名著として担ぎ上げる人がいるのだとか、確かに!レビューはそうかな?

紹介するときりがないのですが、仏人人類学者エマニュエル・トッドは「米は至る所で悪を告発するが、それは米が思わしからぬ行動をしているから」という至言。
ベネディクトの日本の独善性批判は「東アジア、東南アジアの白人支配に異を唱え、それを脅かす日本はけしからん」と言っているに過ぎないと、そうかも。

最後に、イギリス人のロイター記者ヒュー・バイアスは、戦時の日本と日本兵の所業を断罪する一方、日本人は親切で礼儀正しく、社会的平等の作法を持つ、そして日常生活では正直であると書いているのだとか。
見る人は見ている、評価している、嬉しいですね。清く生きたいものだと思いました。

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歴史学の3つの欠陥

2024-12-29 21:14:48 | 本や図書館

面白そうな本だなあと思い、図書館に行って検索したら、あるわあるわ・・・
全部で24巻、ビジュアル版なども含めると29巻、まあよくぞ!
どれを借りるか迷いましたが、取り合えず最初からと借りた1巻を読み始めると、、、

古代の歴史に関わる本ならある意味ジャンルを問わず、目に付いたものから手に取る昨今ですが、日頃感じていることをズバリ!
著者は、いわゆる専門家ではなく元TVマン、だからなのかなあ?僕には、切り込み方が鋭くとても分かり易く書かれているように思う。
この本、週刊ポストに連載したものを単行本化した井沢元彦著「逆説の日本史」。

著者は、日本の歴史学には3つの大きな欠陥があると思うと。
第一は、日本の呪術的側面の無視ないし軽視、第二に滑稽ともいうべき史料至上主義、第三に権威主義だと!!
まさに、ある意味歯がゆく思うこともままある位、日頃感じていることをズバリ!!!

呪術的側面って、捉え方によっては迷信で切り捨てられるんだろうなあ、それと、
史料至上主義って考古資料も一緒?道を踏み外すまいという態度は凄いかもしれんけど、権威主義、あるよなあ、大先生の学説は三宝に載せている感じ。
言い方は悪いけど、素人には業界で乳繰り合ってる?って思えてしまう。
勿論、一生懸命にやっていらっしゃることはわかるけど、、、

作家の関裕二氏は島根と深いご縁で結ばれていたそうですが、犬猿の仲だった学術界の方があったとか。
それも、そういう肌合いの決定的違いがあったんでしょうね。
彼岸に旅立たれたと聞く関氏ですが、こんなお話を聞いてみたかった。

あっ、第2章の大国主命編~「わ」の精神で解く出雲神話の“真実”、面白い視点でガッテンが多かったので、さわりだけでも紹介したかったけど、歴史学の大きな欠陥の話で終わってしまった💦
本論は、次回ということで。

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善兵衛さんが鬼籍に、どうぞ安らかに

2024-08-30 14:10:40 | 本や図書館

先日、地元紙に元島根県知事・溝口善兵衛さんが鬼籍に入られたと報道されていました。
その記事には、子どもたちで賑わう揖屋小学校図書館を溝口知事が視察している写真が。

僕の議員時代のライフワークの一つが学校図書館。
千葉県市川市の小学校図書館での授業を見せていただき、子どもたちの瞳がキラキラと輝く様子に驚きました。
帰って県内の学校の授業の様子を見て、子どもたちの様子が大きく違うことに衝撃を受けました。

子どもたちの瞳を輝かせたい
あの市川の子どもたちのような授業を受けさせてあげたいと各地への視察を繰り返し、議会の度ごとと言っていいほど議会で取り上げました。
ある時、知事に、是非学校図書館での子どもたちの様子を見て欲しいとお願いしたところ、毎朝子どもたちで賑わう市内の小学校に出かけてくださいました。
それからです、県の直接の所掌でもない義務教育学校図書館への人配置に取り組んでいただいたのは。

そのお陰で、どれだけの子どもたちの瞳が輝いたかと思うと、善兵衛さんには、感謝しても感謝しても仕切れるものではありません。
僕自身も、全国の300を超える学校図書館と活用した授業の様子を視察し、向上策などを提案させていただいたことは、議員時代の一番の思い出です。

溝口善兵衛さん、本当にありがとうございました。
安らかにお眠りください、そして、またいつか、素敵な仕事でご一緒できたら、、、

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全国高等学校ビブリオバトル2023島根県大会

2023-12-01 13:50:50 | 本や図書館

うわぁ~~、懐かしい!
そして、今も続いていることがとても嬉しく思えました。

今日、県立図書館に行き、普段目にとめることがないのに、たまたま張り出してあるポスターを見るていると、最後にビブリオバトルの文字。
それは、「全国高等学校ビブリオバトル2023島根県大会」の案内ポスターでした。
現職時代、学生たちのビブリオバトルや高校生のビブリオバトルを仕掛けて開催したり、全国大会に京都大学や東京などに足を運んだ記憶がよみがえりました。

??ビブリオバトルって?
どこでも手軽に楽しめる書評ゲームで、2007年、京都大学の大学院生が、輪読会で読む本は自分たちで決めようと考案したんですね。
「人を通して本を知る、本を通して人を知る」のキャッチフレーズの通り、思いがけない本に出会うことができると同時に、参加者についても知ることができる。
必要なものは、本、5分のプレゼン時間と2,3分の質疑応答時間を測る時計だけ。ルールは簡単。

ホームページを見てみると、今年の県大会参加校は12校、島根県の発祥は僕の母校の松江南校だったはずで、南校の名もあって、やってるね!
ただ、松江市の普通高校の東と北の名前がなかったのは寂しいなあ、と。
先生だったり、図書館司書がその気になって取り組まないとできない仕組みなので、ぜひ、再びトライして欲しいものです。

ポスターの画像、大きな画像にリンクが張ってあるので、ご覧ください。

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人麻呂没後1300年と本の文化

2023-08-22 19:41:39 | 本や図書館

そういえば、10年ほど前だったかなあ?古事記1300年で列島が随分盛り上がりましたね。

今日の地元紙に、「人麻呂没後1300年でイベント」というローカル記事が掲載されていました。
人麻呂、島根県の益田が生んだ不世出の歌人、“歌聖”とも言われている柿本人麻呂、島根県人でも僕を含めて余り意識したことないですよね。
新聞には、持統天皇に重用されたが、権力闘争に巻き込まれて宮廷を去り、最後は益田で亡くなったと言われているとありました。

その人麻呂、ほぼそういう角度で言われていることはないと思いますが、天武天皇のご落胤で、古事記の実質上の作者と言うか、編者と言うか、、、
出雲に伝わる口伝をベースに、人麻呂の歌を読み解き、人麻呂の生涯も書いた本では、歌の才が認められて持統天皇に重用されたが、古事記編纂の全容を知っていることと、ついつい本音を歌にしてしまう率直さが災いしてか、左遷や遠流の憂き目に遭い、愛する女性たちとも断腸の別れを重ねたという人麻呂像が語られています。
どうあれ、郷土が生んだ歴史に名を刻む偉人、鎮魂の祈りを捧げたいものです。

本を読もうと思っても読めない
という記事を読み、今読んでいる本に書かれていることがやけにリンク。
それは、言語学者の大野晋氏の「戦後の教育漢字改革で教える漢字を881字と決めた。それしか基礎を持たないと、大学に行って本を読もうと思っても読めないのです」との言葉。
そりゃあ、万葉集や記紀の歌を理解することや、敷衍して人麻呂の生涯を知ろうとすることってあり得ないよなあ、、、

一昨日、ブログに「本屋は文化?」と書きましたが、ネットの利便性や語学力からも面倒な本は手に取らなくなるよなあ(><)
本屋って、まさに文化の象徴のように感じていて、後退感の否めない今の本屋業界の姿は、日本の庶民文化の行く末を暗示しているように感じられます。
本が売れなくなると、図書館機能だって先細り、本好きにはちょっぴり寂しい。

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