今朝の僕の即興詩 「いいねの天才」 薬王華蔵
おお いいね
いいね いいね つくづくいいね
いいねの天才がいて
朝が来るとこう言う
日が昇って来るとこう言う
日が陰ってやがて夕暮れになる
夕暮れになるとまた言う
おお いいね
いいね いいね つくづくいいね
何がそんなにいいのか
それはあまり大事なことじゃないらしい
いいねの天才は
そこらへんの理屈をあまり好まないらしい
今朝の僕の即興詩 「いいねの天才」 薬王華蔵
おお いいね
いいね いいね つくづくいいね
いいねの天才がいて
朝が来るとこう言う
日が昇って来るとこう言う
日が陰ってやがて夕暮れになる
夕暮れになるとまた言う
おお いいね
いいね いいね つくづくいいね
何がそんなにいいのか
それはあまり大事なことじゃないらしい
いいねの天才は
そこらへんの理屈をあまり好まないらしい
今朝の僕の即興詩 「兜率天のおばば様」
僕はおばば様に逢う
おばば様はふっくらとしている
おばば様は僕に手を置く
えいやあああ、おお えいっ
大声を発した
此処は大空の上の上の上の
そのまた上の高いところにある兜率天
やがてもうすぐ弥勒菩薩が此処を降りて来る
おんぼろの殻を被っていた蝸牛の僕は
百年かけて長い長い階段を上って来たのだ
おんぼろの殻はすぐに弾け飛んだ
これでいっきに人間になった
僕は急激に太陽の温度に達した
さあ お行き おばば様が言った
あとはもう何が何だか分からなくなった
「春の石竜子」 山鳩暮風
ははーん
僕と友達になりたいんだな
石竜子(とかげ)が
僕を見ている
石垣を出て薺(なずな)の林に遊んで
いっとき にとき さんとき
まだ立ち去って行かない
「川床の小石と春の光」 山鳩暮風
いっしょに愉快にしていませうよ/川床の小石がそう言うから/すなおに受け入れてみる/僕は彼の愉快をこころみる/
小石に春の光が降り注ぐ/それだけのことで/川床の小石はふんわりして愉快になっている/
なんだそれだけのことだったのか/ふんわりとしてみるだけだったのか/と僕はちょっぴり口を尖らせるが/これがなかなかいいのだ
なかなかいいと思うと/いよいよ/なかなかよくなる/川床の小石と春の光/そこに僕が割って入る/登場人物はこの三者だ
理屈はいらない/蓋をしておく/川床の小石と僕に/春の光がそれからそれへと絶え間なく降り注ぐ/
「蟇蛙(ヒキガエル)」 山鳩暮風
ピョンピョンと跳びたくなるのです/嬉しいときにはピョンピョンと跳びたくなるのです/するとわたしは蟇蛙になります/大地と平行するために四つん這いになります/四本足になります/こうすると見えてなかったものがふしぎと見えてくるようになります/それでそわそわして来るのです
四つん這いしていると草が匂います/土が匂います/蟇蛙の鼻が大きく開きます
オオイヌノフグリの白い小さな花が俄然大きく見えます/ホトケノザの赤紫の花が大空に透けて見えます/蟇蛙の目の玉がいきなり落ちそうになります
ピョンピョンと跳びたくなるのです/跳んでいると嬉しくなるのです/何だか訳が分からないのですが/とにかくそうなるのです/そうなったらそれに身を任せたらいいのです/四つん這いになればいいのです/簡単です/こうなれば大地と大空は友人です/あれこれあれこれ春のお喋りをして聞かせてくれます
「耳」 薬王華蔵
わたしに耳があります/これはあなたを聞く耳です/これはあなたを受け入れる器官です/この器官は時折ふっと春を装って/遠く美しいあなたを夢見ます/というのに/指に触ると冷たい石/その石の耳が/吹き荒ぶ北風の中で/あなたをいっしんに聞いています
人は死んで死んで/そして生まれて生まれて来ます/ご存じでしたか/耳はしかし死なないのです/宇宙誕生以来の百億年/耳はいっしんに聞いているのです/聞いていると死なないのです
やっと丹沢の雪が解けました/おぼろおぼろしていますが/今日は霞立つあの大空が/わたしの耳/耳が春をしてふくらんでいます
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この詩がS新聞の詩壇で入賞していた。久しぶりの入賞だった。
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にんげんはいのちだから、死なないと僕は思っています。いのちは死なないのです。いのちは個人所有ではありませんから、永久なのです。続いて続いているのです。いのちの一環の耳がこれを実証しているのではないか。そういう仮定想像でこの作品を編み上げてみました。耳は、僕には、僕を離れたようにして、いつも何かをいっしんに聞いているように思えます。
今日はお天気が機嫌斜め。曇っている。寒い。これじゃ、労働意欲が削がれてしまう。家の中にいる方がよさそうだなあ。しかし、何かをしなくちゃならない。そうしないと手持ち無沙汰になる。退屈になる。時間がギクシャクするばかりで、ここちよく過ぎて行ってくれない。
昨日裏手の日陰に育っている都忘れの歌壇に行ってみたら、もう花を着けていた。濃紫の可憐な花を。
昨日はほとんど終日草取りをして過ごした。散歩に出掛けたほかは。おかげで、農具を持つ右手の指が腱鞘炎を起こして、今日は痛い。冬野菜はもう終わり。片付ける段階を迎えている。花を着けたらそれでおしまい。次の季節に移る準備をしなくてはならない。6時近くまでよく働いた。
散歩は集落一周。ゆっくりゆっくり。両手に登山用のピッケルをついていると倒れずに済むので、安心して歩けた。あちらこちらの家の庭に春の花が咲いていた。立ち止まって眺めて楽しんだ。