即興詩 「平凡すぎるかなあ?」
便秘薬を8錠飲んだ。規定の半分だけ。夜寝るときに。
お腹がグジグジ言い出してきたのは、次の朝の8時だった。
10時になって、万事終了した。
お爺さんがにこにこした。にこにこしてそこらを跳ね回った。
お婆さんが「そんなことがそんなに嬉しいんですか?」と聞いた。
お爺さんは「そうだ」と答えた。
まあ、たいしたことじゃないんだけど、そんなことがそんなに嬉しかったのである。
平凡すぎるかなあ? 平凡すぎるかなあ?
即興詩 「平凡すぎるかなあ?」
便秘薬を8錠飲んだ。規定の半分だけ。夜寝るときに。
お腹がグジグジ言い出してきたのは、次の朝の8時だった。
10時になって、万事終了した。
お爺さんがにこにこした。にこにこしてそこらを跳ね回った。
お婆さんが「そんなことがそんなに嬉しいんですか?」と聞いた。
お爺さんは「そうだ」と答えた。
まあ、たいしたことじゃないんだけど、そんなことがそんなに嬉しかったのである。
平凡すぎるかなあ? 平凡すぎるかなあ?
即興詩 「野原の会話」
どんな暮らしだってあるよ
うん
石竜子(とかげ)と鼬(いたち)の会話だ
どんな暮らしだっていいんだよね
うん
どんな暮らしにもいいところがあるんだよ
うん
鼬がうんとしか言わなかったが
野原のふたりの会話はそれで成り立っていた
即興詩 「森の感想」
森に/樫の団栗が/落ちて/転がっていた
栗鼠が/それを拾った
樫の木が/「頼んだよ」と言って/頭を下げた
栗鼠が/「了解」と答えて/尻尾を揺すった
森は/いいところだった/実にいいところだった
風が/空に/住んでいた森の感想を述べた
即興詩 「結論」
いいんだよ/いいんだよ/と片方が片方を
慰めた
妻と夫を取り巻いていた時間が/やがてそこを
静かに/去って行った
世の中には/どうしようもないことだって
起きる
起きていいんだ/起きたら
それを受け止めたらいいんだ
そんな結論に達した
オニヤンマが来て/ふたりの上空を/二度三度
飛び回った
夕暮れが訪れた
即興詩 「美しい目」
目が/目を/見ている
美しい目を/見ている
目は/いよいよ美しくなった
いよいよ美しくなった目を/目が
口を固く閉じて/見つめていた
即興詩 「抱擁」
手を握るための手がある/しばらくその手を見ていたが/勇気を出した/おそるおそる手を伸ばした/
手が/相手の手に触れた/相手の手が/手を握った/手と手が/一つになった
どちらからともなく/あたたかい体温が伝わって来た/電流が走った/電流が/体の奥の奥まで/芯の芯まで/突き抜けて行った
ふたりは/抱擁をした/もう泣かないでもいいと/ふたりともそう思った
キツネノカミソリの花の/群落が/谷川の両岸の/藪に広がっていた/夕日が/さささささっと落ちた
即興詩 「泣いた幼女」
怒られた幼女が/ぺこんとお辞儀して/「ごめんなさい」を/言って謝った。
目に悔し涙が出ていた/つるつるると/涙が落ちていった/あとからあとから
おばば様が/「はい、これでおしまい」/「もう泣かなくていいのよ」/と言って/震えている幼女の肩に/手を置いた
黙っていられなくなった夕日が/すすっとあらわれて来て/大きい影と小さい影の/ふたりを照らした
影は/彼岸花の咲いている小径を/ほんのり明るい小径を/静かに/大川の橋を越えて/帰って行った
前に、書道の大家が、わたしの書いた詩を、数点、展覧会に書いて下さったことがあった。お頼みしたわけではなかった。見てきましたよと言って、わたしにそれを知らせて下さった方があった。で、見に行ったことがあった。
さすがさすがに仕上がっていた。
書いてもらえるような詩を、これからも書けたらいいなあ。
赤トンボが飛んでいる。すういすういと飛んでいる。
ふわりふわり軽々と飛んでいる。
こういう生き方もある。
秋の空が一面、鰯雲の鰯を泳がせている。
ヤクルトの4番村上宗隆選手52号ホームランを放つ。大偉業だ。
いいニュースだなあ。明るいニュースだなあ。さわやかなニュースだなあ。
ウクライナ侵略戦争、金せびり脅し宗教問題、国葬問題、オリンピック詐欺問題、などなど暗いニュースばかりでうんざりしているところへ、このニュース。世の中をぱっと明るくするニュース。
スポーツ音痴の田舎のお爺さんまで興奮させている。