昨年の12月26日、内閣府が港区南麻布にある米軍基地周辺を注視区域指定候補(23年12月26日)に上げました。指定確定にむけて、約一か月間の地域自治体との意見徴収や調整を経て、正式に指定され、周囲1キロの範囲にわたって住んでいる住民やその地域で働いている方々が調査されるというものです。安全保障上、「機能阻害行為」の基地被害を防ぐという名目で調査されるものだが「関連する人」まで調査がおよび、国の調査機関によって果てしなく広がることが懸念されています。なにしろ「機能阻害行為」とはなにかわかりません。沖縄の米軍基地や自衛隊基地など全国で583箇所、特別注視区域・注視区域に年内で指定されます。
私たちは、この注視区域指定で「調査される」ことによって、表現の自由や人権への調査によって市民の暮らしに悪影響を及ぼしてはならないと、港区に要請文を1月19日に提出しました。「注視区域」の指定候補になったことを住んでいる住民に知らせるための「住民説明会の開催と要求してください」」や「住民の暮らしが萎縮しないよう内閣府にもとめて下さい」などが要請内容です。お正月をはさみ約1週間ほどの短期間ではありましたが、地域の仲間によびかけて7団体の賛同をえて、港区男女平等人権科を通して港区長に提出。防衛予算の増額や軍事要塞化が進み、トマホークまで買うという平和憲法がないがしろにされいる状況のなか、戦争法といわれる土地規制法をみんなで監視し、人権や表現の自由を守りぬいていきましょう。以下が、港区に出した要請書です。
2024年1月19日
港区長 武井雅昭 様
全国一般東京南部労働組合/人権の21世紀をつくる文化の集い実行委員会
戦争させない1000人委員会東京・南部/全芝浦屠場労働組合
部落解放同盟東京都連品川支部/東京都退職教職員協議会
沖縄のたたかいと連帯する東京南部の会
港区民の安心・安全の暮らしや人権・平和などへの取り組み、また、六本木の米軍基地被害から区民をまもるために基地の早期撤去をもとめていることに敬意を表します。
多くの市民が思想や良心の自由が侵害されるのではないかと懸念するなかで重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(以下、重要土地等調査法)が、2022年9月に全面施行されました。自衛隊基地や米軍基地、原発・空港・海上保安庁などが指定され周囲1キロの範囲に住む市民や働く人などが機能阻害行為を起こさないようにと土地や建物の所有者の名前や国籍など個人情報が収集され監視されるというものです。機能阻害を起こすと罰金や刑事罰も科せられます。家族や友人など「関連する人」まで情報収集されます。「情報の受付窓口」も設置され、自分のしらないところで自分の情報が収集され、思想・良心の自由やプライバシー権が侵害される恐れがあります。そして、何よりも罪に問われる「機能阻害行為」とはなにかが不明です。
12月26日、港区南麻布にある米軍基地の周りも第4回の注視区域の指定候補になりました。約1か月の「意見聴取期間」での情報収集を経て、協議し、調整を経て指定されます。2月か3月の早い時期に告示されるそうです。すでに指定された区域と合せて、全国で583箇所が注視区域・特別注視区域になります。
重要土地等調査法は、憲法で保障された思想信条の自由や表現の自由、さらには財産権を侵害する恐れの大きい法律です。私たちは政府のこの法律の運用において基本的人権を侵害し、平和主義を逸脱し、地方自治の本旨を蹂躙することのないよう意見を上げていくことが必要だと思っています。国は、地方公共団体の関与を排除して一方的に決めるのではなく、関係地方公共団体の意見を聴取し、協議し、調整を行って注視区域の指定をすると国会で答弁しています。
港区として南麻布の注視区域指定にあたって、区民の福祉や暮らし、基本的人権やプライバシー権を侵害されないよう、重要土地等調査法の注視区域指定にあたって以下の件について、意見を述べて下さるよう要請します。
1.重要土地等調査法について区民が知らないまま「注視区域」に指定されるようなことがあってはならないと思います。懸念や混乱を招かいないためにも、国による住民への説明会の開催を要求して下さい。
2.機能阻害行為をふせぐために、土地や建物などの所有者などはじめ、区民の情報収集などがうたわれています。情報収集の内容・実施状況など個人情報に配慮した上で、広く公表するよう要求して下さい。
3.重要土地等調査法の基本方針には「日本国憲法の保障する国民の権利を不当に制限することのないよう留意する」「思想・信条等に係る情報を含め、その土地等の利用に関連しない情報を収集することはないこと」と記されています。港区として、住民の暮らしが不安にならないよう、萎縮しないように法の運用を厳格に順守するよう求めて下さい。