うまいッ! 「濃厚な脂とプリプリ食感 明石鯛~兵庫・明石市~」 2016年11月20日
番組内容
全国的にも名高い兵庫県明石市の鯛(たい)。春に獲れる桜鯛に比べ、秋に水揚げされる紅葉鯛は、より脂が乗っていて濃厚な甘みを味わうことが出来ます。春に産卵を終えた鯛は、夏から秋にかけてエビやカニなどの豊富なエサを食べて、秋に最高の状態を迎えるからです。産地を訪ね、おいしさの秘密を探ります。さらに、秋の鯛をおいしく味わう、地元ならではの料理法も紹介します。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201611200615001302100 より
詳細不明につき、勝手に調べてみました。
「明石鯛」
兵庫県明石市周辺で水揚げされる、日本有数の高級魚である明石鯛。その魅力について明石浦漁業協同組合の土井祐介(どいゆうすけ)さんに教えてもらった。
明石鯛とは、兵庫県明石市周辺で水揚げされている真鯛を指す。明石鯛が高級魚として人気なのは、明石の眼前の明石海峡*の地の利にあるという。
明石海峡は、潮の流れが急であり、特別な海の流れ(イヤニチ)を起こして、海の深みに沈む栄養源を海面に届け、鯛のエサとなるエビやカニなどの甲殻類が豊富に育ち、浅い所は魚介類が豊富な天然の生簀(いけす)となっている。明石鯛は、それらを食べて育ち、かつ、早い潮流を泳ぐことから身が引き締まり、旨味が強くなることで、真鯛の中でも格別のおいしさを持つと言われている。
特に明石港で水揚げされた鯛は、1尾1尾丁寧に扱い、独自の処理を施すことで個体の鮮度を保持したまま消費者の手元に届けることを実現しているという。
明石鯛は、その風味、食感の素晴らしさから、一流料亭や高級レストランなどで提供されることが多く、お造り(刺身)や寿司を始め、さまざまな料理に使われている。
また、その人気の理由は、外観の美しさにもある。アイシャドウと呼ばれる目の上に青く化粧を施したような模様があることや、青い斑点を散りばめた薄ピンク色の身体をしていることから、「磯の女王」と形容されることも。特に春頃に水揚げされる明石鯛は、春に咲く桜の花の色に似た美しい桜色であることから「桜鯛」とも呼ばれ、縁起物として重宝されている。
明石は、鯛のみならず、タコ(明石蛸)も有名だ。また、世界屈指の長さ(3911メートル)を誇る明石海峡大橋も臨める。機会があれば、明石をぜひ訪ねて、明石鯛を始めとする海産物や海を臨む美しい景色を堪能してほしい。
* 兵庫県明石市と淡路島(あわじしま)に挟まれた幅約4キロメートルの海峡。
*https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/html/202305/202305_02_jp.html より
「食べるだけでなぜかめでたい"桜鯛"」
春になると、気候のせいか、なぜか街が華やいで見えます。街を闊歩する人達も春の陽気とともに行動的になるようにさえ思えるのです。何はともあれ、春はめでたいと言いたくなりそうなので、今月は"桜鯛"を旨いもんとして取り挙げることにしました。日本人は昔から語呂合わせが好きなようで「めでたい」と称し、祝い事に鯛を用いてきました。鯛は、スズキ目タイ科の総称で、クロダイ・キダイ・アカレンコなどがありますが、一般的には真鯛を指すことが多く、「真鯛こそ、魚の王様」と言う人が多いのも我が国の特徴でしょう。鯛を魚の王様とみなすのは日本独自のようで、フランスでは釣れた場合は外道と言われ、あまり評価が高くないからです。ところが、日本では赤い色がめでたいとされ、七福神の恵比須様は鯛を釣り上げた姿になっているのです。江戸時代には、将軍家では"大位"とし、宮中でも"高位"と書いてそれを持て囃して来ました。
春になると、日本人は桜の花見をしてきた歴史がありますが、その頃に貴ばれるのが"桜鯛"です。桜鯛を調べてみると、「桜の花が盛りの頃に産卵のため内湾に群集する鯛」と記されています。瀬戸内海では、特にこの季節の鯛を好むようで、花見鯛とも呼んで日本代表の花・桜を重ね合わせていいイメージで伝えています。産卵期を迎える前の真鯛は、ピンク色に色づくため、その色合いが"桜"を連想させるとの説もありますが、私は春=気候の良さ=桜の三つのイメージを重ねて名づけているように思えます。
真鯛は雌雄同体の魚で、温かい地域では2月頃から産卵期を迎えます。瀬戸内で"桜鯛"とも"花見鯛"ともいい、春の真鯛を持て囃すのは、4~5月頃が産卵期で、美味しいとされているからでしょう。魚は産卵が終わるとエネルギーを使い果たし、栄養も子に与えてしまった後なので身が痩せてしまいます。その後、沢山食べて徐々に太って行き、秋を迎えるのです。鯛には旬が二回あるといわれ、もう一つの旬が太って脂が乗った秋、つまり"紅葉鯛"と呼ばれる季節がそれにあたります。実は、紅葉鯛の方が旨いという美食家は多いようで、この季節の鯛はどんな料理にも向くとされ、色々な調理法で食されます。一方、桜鯛は卵や白子が入っていることがあり、それがこの時季の特徴ともいわれ、卵や白子を好む人もいます。紅葉鯛に比べると、脂が少ないので蒸し物や煮物、汁物に向いているようです。
一嘗三嘆(いっしょうさんたん)なる言葉は、俳人・正岡子規が清水則遠に宛てた手紙の中に出てくるもので、彼は「松山の鯛料理を一口食べると、何度も感動するほど美味しい」との意味をこめてそう表現していたのです。松山も神戸も瀬戸内海地域には違いありません。瀬戸内の東側で獲れた播磨灘の鯛をこの時季に味わい、我々も"一嘗三嘆"と誰かに伝えたいものです。
さて「さかばやし」では、4月に播磨灘や瀬戸内で獲れる"桜鯛"を今月の旨いもんとして献立に用いることにしました。会席料理の一部にもそれを用いますし、一品料理としても提供する予定となっています。ぜひこの機会に、「何はともあれめでたい」という桜鯛をご賞味ください。
*https://www.shushinkan.co.jp/news/4%E6%9C%88%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%84%E3%82%82%E3%82%93%EF%BC%8F%E6%A1%9C%E9%AF%9B.html より