「ひろっこ」
【産地】最上地域>管内全域
【特徴】あさつき。太陽の光を当てないよう雪の下から収穫したものを「ひろっこ」と呼び出荷している。雪の下から掘り出して芽出しするため、雪の多い時期は掘り出すのに労力を要する。きれいに洗い、細かい芽をひとつひとつ切るなど、出荷までの手間が多い。
【食味】野山から採取したものより、芽が黄色く柔らかで甘味がある。おひたし、天ぷら、酢の物、和え物、玉子とじなど。
【来歴】元々自生していたあさつきを栽培したもの。
【時期】1月~3月下旬
*https://tradveggie.or.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E9%87%8E%E8%8F%9C%E2%80%9506-%E5%B1%B1%E5%BD%A2/#i-48 より
冬の伝統野菜「ひろっこ」
「ひろっこ」は「あさつき」の新芽を雪の下から掘り出して収穫する、最上地方の冬の伝統野菜です。最上地方は山形県の内陸北部に位置しており、雪雲が日本海から最上川に沿うように流れてきて奥羽山脈にぶつかり多くの雪が降る豪雪地帯です。今回は、その最上地方の戸沢村でひろっこの栽培を行っている加藤千代治さんに取材を行いました。
寒い地域だからこそできる「ひろっこ」
「今年は雪が多くて大変だ」と畑に向かう途中の農道で加藤さん。農道の両脇には人の背丈以上に積もった雪があり、だいぶ解けて無くなったということですが、まさに雪の壁です。農道は徒歩で1~2分程度の距離ですが、雪が降るたびの除雪を考えると、非常に長く感じてしまいます。
畑に着くときれいに除雪された畑の1区画が用意されていました。注文にあわせて除雪しながら収穫していくということで、今回見せていただいた区画のすぐそばには、農道と同じように雪の壁があります。農道と違い、雪の下にはひろっこが眠っているわけですから、さらに除雪の手間はかかるでしょう。
さて、ひろっこはどこにあるのでしょうか、土の表面を見ても見当たりません。「土の中だよ」とピッチフォークで土を掘り起こすと、白い根に包まれるようにひろっこが出てきました。良い土のにおいと一緒に、ねぎのような独特の香りがします。雪のせいで他のにおいが無いので、そこだけ春が来たようです。
掘り出したひろっこを持って事務所にもどり、出荷の方法について説明してもらいました。「普段は"女子"がきれいにやってるんだけどね」と専用のカッターを人差し指につけて根の切り方を説明してもらいました。一つ一つ丁寧に手作業で根を切り分けます。切り分けたひろっこをパックして出荷するわけです。「掘り出してから2~3日たつと先端の黄色い部分が全部緑色になるんだよ。寒さに強く掘り出してからも成長するんだな。だから、出荷されたひろっこが店頭に並ぶときに黄色いということは、収穫してすぐ出荷しているという証拠だよ。新鮮だということだね」と加藤さんが出荷しているひろっこの新鮮さをさりげなくPRしていただきました。
降り積もる雪を除雪し、やっと食べられる「ひろっこ」。なぜこれだけ収穫が大変な、ひろっこは地域に伝えられてきたのでしょうか。
加藤さんは「ここらは冬になると雪のせいで、野菜は保存しているものしか無くなるわけだ。野菜は何ヶ月ももたないから、2月とか3月になると野菜が欲しくなる。そこで、野山に行ってみると湧き水なんかで雪が解けた辺りに、あさつきの新芽が出てたんだろうね。食べてみたらおいしい。そこで里に植えて冬に雪から掘り出して食べる。昔の人の知恵だろうね。」と豪雪地域の特徴から説明していただいきました。また、おいしさの点で豪雪地域の気候が関係しているとも「ひろっこは生で食べると独特の強い辛味があるんだよ。この辛味はひろっこが寒さから体を守るために作りだすんだけど、加熱するとこの辛味が甘味に変わって格別においしいんだ。寒い地域だからこそ出来る、普通のあさつきとは違うところだろうな。」
土にもこだわっているという加藤さんのひろっこは「雪ん中ひろっこ」として山形県アンテナショップおいしい山形プラザで販売しています。収穫時期1月~3月下旬。
*https://www.nmai.org/perorinshun/vol19_hirokko.html より
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