
著者は、神経科学者であるとともに「起業家」でもある点で、この本の大きな特徴がある。
その「起業家」な部分は何と「 A I 」の研究を行なう企業の共同創業者。
その結果か、この本の構造は、
前半:本のタイトル通り、脳は世界をどう見ているのか、の考察
後半:脳は世界をどう見ているのか、を踏まえた上で、 A I ができること・限界 を論ずる!
まず前半部分。
脳の基幹を成すのは、あくまでも「物体の位置」とその「変化」を記述する「座標系」
あらゆる皮質コラムに座標系をつくる細胞があり、あらゆる皮質コラムがモデルを持つ。
わかりやすくするために本から少し引用。
「いま、あなたの目の前にコーヒーカップがあるとする。
それをつかもうと手を伸ばすとき、コーヒーカップのモデルを持つ何千ものコラムが、
次にどんな入力があるかを予測している。
手ざわり、重さ、温度、机にもどしたときに立てる音……
あなたの知覚とは、コラム間の「投票」によってたどり着いた合意である。
思考とは、座標系内を動きまわることに他ならない」
つまり簡単にいうと、ヒトの脳が記憶するコトは基本「座標軸系」
後半の A I ができること・限界 については、実際に本をお読みいただければと思う!
結論:難解な「脳のメカニズム」に迫ろうとするだけでなく、 A I にまで展開される点で、この夏おすすめの一冊。