川のトンボという意味かと思います。畑沢では、胴体が細くて止まっている時に羽が上の方に畳まれているトンボの種類は、全て「神様トンボ」と読んでいました。「普通のトンボ」は、神様トンボと全く逆になります。胴体は細くなく、止まっている時の羽は水平に開いたままです。こちらは総称して、「アッケ」と読んでいました。畑沢の正しい悪がきどもは、普通のトンボ採りは「アッケシェメ」と言いました。
通称「神様トンボ」には、実は何種類も含まれていますが、普通のトンボと比べて悪がきに役に立たないものとして「神様トンボ」として相手にしていませんでした。それでは、普通のトンボはどんな役に立っていたのでしょう。まずは、魚釣りの餌です。小さいアキアカネなどの通称「赤とんぼ」は、ハヤ釣りに最適です。もちろん、赤とんぼに食らいつく魚ですから大物です。中ぐらいのギンヤンマには、残虐なことをしていました。尻尾を途中から手でちぎりとり、中に「わらみご」を差し込んで飛ばして遊びます。動物虐待そのものです。現在のいい子は絶対いたしません。ところで、「わらみご」とは、稲わらの一番穂先部分です。大きなオニヤンマは、ただ「ハンティング」の面白さだけです。中々捕まらず、捕まえると大きな顎で逆襲もされます。捕まえたオニヤンマは、仲間に自慢します。
話がどこかへ反れてしまいました。カワトンボは、畑沢の千鳥川と全ての沢にいます。畑沢のカワトンボは写真のように赤茶色ですが、もう少し大きな川の河原で見かけるカワトンボの羽はほとんど黒いものです。どちらも同種とのことですが、まるで別種のようです。本では、地域的な差と説明しているようですが、同一流域内での地域差などというのは考えられません。何しろ羽がありますので、広範囲に交雑します。地域差が生じる遺伝的な違いが生じるとはとても思えません。考えられるのは、大きな川と小さな川の環境的な違いが形態的な違いを生じさせているのか、それとも全くの別種かもしれません。私たちが若い頃は、日本に棲んでいるアユは一種類と言われていましたが、今や三種類にまで分類されています。タナゴの種類でもそうです。アカヒレタビラも、現在は三種になっています。カワトンボだってあり得ない話ではないかもしれません。