○仕事の帰りに午後、快速佐世保行きに乗って、ハウステンボスのガーデニングワールドカップフラワーショー2012を見てきた。初めて2010年の秋に行ってから、去年の2011と、不思議なご縁で幸運にも毎年一度は寄れていることになる…と、同じ会場の入口に立つと、ふと、この3年の間の記憶と憂愁と追悼の思いとが、人知れず個人的には脳内に一瞬蘇り、また過ぎていく。既に紅葉し始めていた去年より、今年の方が季節は早い感じ。たまたま長崎県方向に来たついでの帰りだからこの時期に来れたのだけれど、何か年々、賑やかになっているような気がする。連休の土曜のためか、まず人が多いなという印象はあったが、それだけではなく。
今年は、会場のパレステンボスの正面階段をステージにして、地元の高校生の合唱やソロ歌手の演奏会やら花苗オークションやらを行ったりと、まず視覚的・音響的にイベント感をもたせている。さらに、パレス正面に並ぶテントブースの少し小洒落たグリーンの即売場もあって、がやがやとしている。むすび丸「なんか、お祭りっぽいですね」。という雰囲気だ。というより、今年は「パレス前」の空間にガーデン作品とテントとイベントステージとが一緒に詰め込まれているから、なおさら混み方を感じるのかも。
自分はGWC以外の時期に実はハウステンボスに来たことがないが、2010年の最初の時は、パレスの正面のショーガーデンスペースのみが会期内展示で、裏はいじられていなかった。入ってみると「通常のパレステンボス」の幾何学的な対称形のデザインのバロック式庭園に、「去年マリエンバードで」みたいな「静謐な」雰囲気を味わえたと思う。
ところが、今年はそういう雰囲気ではない。今年はスモールガーデン部門を、会場を分けて遠く離れた有料のエリア(※昨年は広大なローズガーデン内だった)に置くのではなく、この裏手の庭園内に設置している。すなわち、今年はパレステンボス周辺を集中的にフル活用して展開しているのである。ちなみに、キイロイトリが見ているパレス裏側の庭園である。会場の一部だから区域内に小ぶりのガーデンやバスケットなど各出品者の作品がたくさん作られていて、それを見てあれがいいこれがいいと評しながら通る多くの人の話し声も、とても賑やかだ。(※2010年と比べるとわかりやすい)
求める方針が「静謐な景観の美」より「フェスティバルとしての活気、親しみやすさ」になってきているのだろうか。「いつもは、つんとおすまししていそうな」「王宮の庭」の元の形が、ところどころちょっとずつ改造されていて、もともと設計されている通りの「かっちりと整った美しい景観」とは違うものになっている(何せパレスの正面にも「花苗・植木市か花材まつりのテント」が立っちゃってるほどだから)。
であるから、これはそれぞれの好みの問題ではあるが、本当の「一糸乱れぬ」パレスの完全に整然とした庭園の趣を見たい人、そういう写真をとりたい人は、このGWC会期内ではない時に来た方がよいようだ。逆に言えば、通常と違ったこんな「お祭り」な、とりすましていないパレスの雰囲気を味わいたい人は、この期間がチャンスでよい、ということか(もちろんHTBが目指す集客の営業戦略のようなものによるかもしれないが)。一昨年や昨年と比べて、なんとなくそういうことを感じながら、3年目のGWCをお散歩してみた。
※そんなガーデニングワールドカップ2012は、9日までとは随分会期が短いなと思ったら、またもや「好評につき延長決定!」のお知らせがHPに出ている(21日までとあるのでご確認を。去年もたぶん延長期間があって、自分は後ろの方で行ったので紅葉だったような記憶が)。
今回はたまたま長崎に仕事があり通ったので、まず機会があるうちにということで取り急ぎ、やや曇り空の下でのお散歩とあいなったが、これからは秋の深まりとともにまた変化もあることだろう。さてまたこれから今日も仕事のため出勤である。各ガーデンについては、後日の時間のある時に追って記すことにしたい。
お散歩のBGM:
Le Cercle Rouge / Eric Demarsan(「Le Cercle Rouge :original soundtrack」)
2010年に来た時はパレスの裏の庭園は静かだったので、すっかり「主任警部モース」の事件の起こりそうなカントリーハウスごっこをして遊んだキイロイトリたちであった。しかし、今日のような趣向で会場に使用されていると、人がいっぱいなので遊ぶのは自粛(笑)して、ともかく歩いていろいろな出品作を見る。散策中、映画「仁義」(1970)のエリック・ドマルサンのテーマがwalkmanのシャッフル君から流れてきた。イブ・モンタンがなんか、いいな、と思い出す。秋の並木と庭園の散策は、ちょっとピアノとビブラフォンとウッドベースの気分。(20121007)