pacific0035'写真BBS

文学や史跡で登場するマチを旅しながら、折々、紹介することを心がけています。

松村由利子著「『本』の魅力と未来」

2014年04月20日 09時38分48秒 | 書評
 松村由利子著「『本』の魅力と未来」.『婦人之友』2014年5月号掲載のBOOK REVIEW.

人は、本が好き、活字が好きとはいうけれども、「何を『本』ととして考えるのか、『活字』のどこをみているかは、案外意識していない」と、書き始める.
 正木香子著『文字の食卓』、坂川栄治著『本の顔』、内沼晋大著『本の逆襲』の順に、紹介される.

 冒頭の正木著は、活字の書体の話.
 教科書体、明朝体、新聞特太ゴシックらの書体.それら書体にこめられた、人類の工夫にくわえ、「明瞭な美意識と意図をもって選ばれた」と、する.

 他方で出版や本が、本をとりまくデジカル化のすすむ現代をとりあげる内沼著に注目する.
 そこで内沼著の「本のコンセプトが広がりを増す」「本は形を変えながら、これからもぼくたちの人生を豊かにしてくれる存在」、と引用して紹介する.

 さて、冒頭の書体のもつ蘊蓄と美意識の提示.
 それにくらべて、デジタル化がもたらすカラー化、ビジュアル化は、ひとびとの理解を容易にうながす.
 ところでそのことが、ひとびとに働きかける<繊細><奥行>の感性、<稼働する脳細胞>への影響を、果たして過小評価してよいものかと思い巡らした、が.
 著者の松村氏は歌人という(『婦人之友』 2014年5月号).
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする