
今の日本の若い人で泉鏡花だとか二葉亭四迷なんかを読んだことがあるという人はどれほどいるだろうか。
10年ほど前に中国に旅行した時、ガイド・通訳についた人は北京大学を出たという人で、日本には来たことがないというのに本当にきれいな日本語を話す。その彼の研究は二葉亭四迷だというのだから、これまた驚きである。
それはともかく、鏡花の代表作「高野聖」と「歌行燈」の豆本である。いずれも豆本にするにはしんどい作品で、拙作の豆本では厚い本の大関・関脇クラスである。(因みに横綱は「銀河鉄道の夜」)。それでも大きい方のA8版(74×52ミリ)だとその厚さがあまり感じられないのだが、小さい方のB10版(45×32ミリ)にすると、ずんぐりとした辞書のような感じになってしまう。もちろん縮刷して大きさは小さくしても紙の厚さはすべて同じだから同じ作り方ならば本の厚さはみな同じになるのは当然の話である。
見ただけでうんざりしそうな厚さで、誰でも読む気を失う感じである。