ヨーロッパでは、今再び公営化へ
「水道民営化は組織的な詐欺に近い」と書いたのは、イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」。イングランドとウェールズの水道公社10社を株式会社化し、民間に売却し、イギリス政府は52億2500万ポンド(約7315億円)の株式売却益を手にした。が、28年後10の水道会社は合計510億ポンド(約7兆1400億円)の債務を持つに至った。だが、この借金は必要のない借金だった。税金の支払いを少なくしたり、必要なインフラ整備をサボタージュするためなどのためであった。事実、2007年以降の株主配当金は年間平均18億1200万ポンド(約2537年億円)、民営化以降の30年間では総額、560億ポンド(約7兆8000億円)という巨額になる。
隣国アイルランドでは、水道運営を税金で出まかなっている。各家庭には水道使用量をはかるメーターはなく、水道料金の請求書が来ることがない。水は生きていくために絶対必要だということである。
(「水道。再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと」集英社新書 岸本聡子・著)