これまで、「原発は火力・水力・自然エネルギー発電に比べ、きわめて安い」と、宣伝されてきた。原発の立地費や、廃棄物処理費用が、まともに経常されず、原発推進のための作り話が、当の電力会社や政府とマスコミあげての宣伝だった。
これが、今回の原発事故で、ようやくマスメディアの一角で、風穴が少し、あいてきた。
6月11日発行の『週刊東洋経済』に、「今や経済合理性『ゼロ』 強弁と楽観で作り上げた『原発安価神話』のウソ」がそのひとつ。
これまで、「原発は5円、水力は約12円、石油11円」と主張されてきた。原子力発電のコストは3つの要素から成り立つという。①燃料費や人件費などの「発電費用」②使用済み燃料の再加工や処理する「バックエンド費用」③「立地費用」。
ところが、この5円には、原発の立地費用が全く入っていな。しかも、「発電費用」には、原子量発電のために使われる揚水発電のコスト(夜間電力で水をくみ上げて貯水池にためるコスト)で、これは原発のために存在する費用という。この揚水に要する費用をプラスすると、発電コストは、「9円」になるという。その結果、用水を除いた水力は「4円」となり、もっとも安くなる。
電力会社の計算
原発は5円、水力は約12円、石油11円
揚水費を加味すると
原発は9円、水力は約4円、石油11円
しかも国が試算したバックエンド費用は、少なく計算されている。
政府の計算では、18兆8800億円だが、立命館大学の大島賢一教授によると、約74兆円になる。
(東洋経済試算) |
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バックエンド費用 |
政府推計 |
実際に必要と思われる金額 |
再処理(六ヶ所村) |
11兆円 |
47兆円 |
返還高レベル放射性廃棄物管理 |
3000億円 |
6000億円 |
返還低レベル放射性廃棄物管理 |
5700億円 |
1兆1400億円 |
高レベル放射性廃棄物輸送 |
1900億円 |
3800億円 |
高レベル放射性廃棄物処分 |
2兆5500億円 |
17兆8500億円 |
TRU廃棄物地層処分(*1) |
8100億円 |
1兆6200億円 |
使用済み燃料輸送 |
9200億円 |
1兆8400億円 |
使用済み燃料中間貯蔵 |
1兆0100億円 |
2兆0200億円 |
MOX燃料加工(*2) |
1兆1900億円 |
1兆1900億円 |
ウラン濃縮工場バックエンド |
2400億円 |
2400億円 |
合計 |
18兆8800億円 |
約74兆円? |
*1 TRUは長半減期低発熱 |
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*2 MOXは、プルトニウムと二酸化ウランを結合したもの |
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