ナチスが付きまとう、ドイツの最高峰、いや、世界の最高峰の指揮者2人。
フルトフヴェングラーは、ナチスドイツから抜け出ることなく、ヒットラーの帝国で、ベルリン・フィルを指揮していた。
ユダヤ人をナチスから救い、ナチスに抵抗もした。が、ナチスの宣伝塔の役割も果たした。
カラヤンは、ナチス党員でもあった。
この二人と、その間をつなぐ、チェリビダッケ。
二人のすさまじい執念、確執。
おもしろい本。
その一節
「フルトヴァングラーは、1934年1月ゲーリング支配下のベルリン州立歌劇場の監督としての契約を正式に結んだ。何を上演するかの権限はフルトヴェングラーにあるはずだった。そこで、フルトヴェングラーは、パウル・ヒンデミットの新作オペラ≪画家マティス≫を上演しようと計画を立てていたが、ヒトラーがヒンデミットを嫌っていることを理由にして、ゲーリングが上演予定表から外してしまった。」「≪画家マティス」の公演中止に対し、フルトヴェングラーは抗議し、相当ヒトラーと直談判しようと試みた。」が時間がかかりそうなので、「≪画家マティス≫の音楽を交響曲としたものを、ベルリン・フィルで演奏することにいたのである。・・・ナチ側これに激怒したが、打つ手はなかった。」
幻灯社新書「カラヤンとフルトヴェングラー」