おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

プロコフィエフ短編集

2022年10月16日 | 書籍紹介

プロコフィエフが短編小説を書いていたことをご存知でしょうか。

私は知りませんでした


あのような音楽を書いたプロコフィエフが、どんな小説を書いたか興味が湧き読んでみました。

全ての小説を読んだわけではありませんが、読後感が私にはなんだかモヤモヤ・・
読み始めた小説は途中で飽きることなく読めたので、つまらないということではないです。


プロコフィエフには悪いのですが、小説よりも巻末にある「日本滞在日記」の方が興味深かったです。

東京、横浜の印象や、ウラジオストックから敦賀に到着した時の日本の景色に魅了された様子、アメリカに行くための資金として、日本でコンサートをした時の観客の様子など、面白く読みました。

当時の日本の観客を、「非常に注意深く聞いているが、わかっていないのは明らか。彼らにベートーヴェンのソナタを聞かせようが演奏者の即興を聞かせようが、違いがわかりはしない」と。

コンサート前に2カ月半もピアノを弾いていなかったそうで、そろそろ練習しないと、と言いつつこんな客相手では努力に値しないと。

技巧的な曲だけは拍手が多かったとも。
東京のコンサートでは「悪魔的暗示」を音楽家たちから要請され、プログラムに入れたと。


短編小説は、旅の間にピアノに触れる機会がほぼなかったので執筆に没頭することになったようです。
ニューヨークに渡ってからは本格的な音楽活動を再開したので、おのずと小説の執筆は減っていったそうです。


プロコフィエフ・ファンの方は是非読んでみて下さい。
いや、ファンの方はもう読んでいらっしゃいますかね・・
ファンじゃない方は気が向いたらどうぞ。


プロコフィエフ短編集 (群像社ライブラリー 22) | セルゲイ・セルゲーエヴィチ プロコフィエフ, エレオノーラ,サブリナ, 菜穂子, 豊田 |本 | 通販 | Amazon

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神曲はここにも

2022年09月10日 | 書籍紹介

大人の生徒さんで、バッハ=ブゾーニのシャコンヌを弾いている方がいらっしゃいます。

ピアノを専門的に学んだ人なら、おそらく一度は憧れる曲です。


さて、この生徒さんのレッスンをしていましたら、急に頭の中に神曲の煉獄の様子が浮かんできました。

そして、その後の天国の様子も。

単なる情景描写ではありません。
そこにいる己の姿。そこで何を思い、変わっていくのか。


ダンテの神曲は「ダンテを読んで」を弾く時にでも読めばいいや、ではもったいない!


西洋音楽に携わっている限り、キリスト教の宗教観は切り離せません。
神曲読破を一度挫折した私でも、スイスイ読めるギュスターヴ・ドレの挿絵が満載の神曲。

まだ読んでいらっしゃらない方は是非。

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忘却の川

2022年08月20日 | 書籍紹介

神曲、読み終えました。

ギュスターヴ・ドレの挿絵と簡略化された文章のおかげで、スイスイと読めました。


その中で、「あっ、これのことか」と知ったことが。


以前読んだ原田英代さんの本に、師のメルジャーノフ氏がショパンの葬送ソナタの終楽章は”忘却の川”だ、と仰った話がありました。


ありました。神曲に忘却の川が。

地獄、煉獄を通り抜け、地上楽園に到達した時に流れていた川。

渡る前のこちら側からは「レテ」、渡った側からは「エノウエ」と呼ばれる川。

ベアトリーチェの導きで川に入ります。
「忘れなさい全てのことを、遥かに流れるレテ川の、清く流れる水を浴び」


意識を失い、気付くと向こう岸に。

完全に天国に到達したのだと思います。
降り注ぐ光と響き渡る歌声。

天には音楽が響いています。
音楽というのはそのような所にある存在なのだな、とヨーロッパで音楽が神に捧げるものとか、音楽の才能を神から与えられた特別な力とか言われる所以が理解できた気がします。


最後に、本の中で印象に残った言葉を。

「上や下、あるいは、行きたい、行きたくないということではないのです。どのように在るか、ということが全てなのです。」


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ギュスターヴ・ドレの挿絵

2022年08月15日 | 書籍紹介

カントロフが、ダンテを弾くのにギュスターヴ・ドレの挿絵などを見て全体像をつかんだ、とお話しされていました。


ギュスターヴ・ドレ。

ん~、聞いたことない・・
教養の差だ・・


早速、ドレの挿絵の入った神曲を入手。




20年位前にダンテの神曲を読もうと試みるも、いつまでも続く地獄編に根を上げ挫折した経験があります。

いつか全部読まなければ、と思いつつ宿題を抱えたまま20年位経っておりました。成人した宿題。全くおめでたくない


さて、今回入手した神曲。
ドレの挿絵がほぼ全てのページに入っています。
そして、本文の下欄に小さな文字でちょっとした解説付き。


読みやすいです。
挿絵があって本文は286ページなので、読み切れる気がします。

ちょうどお盆休みなので、ゆっくり読みます。

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感覚的

2022年07月28日 | 書籍紹介

日本人はドビュッシーが好きな人が多い、と聞きます。

私もそうです。

あの情景描写から、色、香り、空気、温度など、
他の作曲家にはない世界が感じられて、
ひと時、現実から離れられます。

養老孟司さんのこちらのお話を聞いて、
そういうことか!と、なんだか納得。




このお話の中にある、
「楽をすると何が起こるか」

便利で、手軽で、いつでも、好きなときに、簡単に、

敢えて、ここから自分を遠ざけないといけない世に生きていることを自覚しないと、です。

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ゲーテの言葉②

2022年07月06日 | 書籍紹介

ゲーテの言葉。

読んでいると、当たり前のような言葉なのですが、
はっきりと言ってもらえると、
気持ちが楽になります。

◇◇◇

人間の持つものの中で、自分自身に基礎をおかぬ力ほど不安定で、
はかないものはない。

自分に命令しないものは、
いつになっても、しもべにとどまる。

心をよみがえらす泉は自分の胸中からわいてこねば、
心身をよみがえらすことはできない。

◇◇◇


自分だけの感覚で他人を見ているのか、
何か他に方法があるのか、と考えを巡らせることが
レッスンでは日常茶飯事ですが、

このような言葉を知っていると、
無駄に精神をすり減らさなくて済むかもしれない、

と思ったのでした。



今頃ですか・・です。



若い頃から本は読むべきだ、

とも思ったのでした。


今頃ですか・・



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ゲーテの言葉

2022年07月04日 | 書籍紹介

ゲーテのファウストを読まれた方も
そうではない方もご存知の言葉かもしれませんが、
思わず笑った言葉。

「気分がどうのこうのといって、なんになりますか。
ぐずぐずしている人間に気分なんかわきゃしません。
・・・・・・・・・・
今日できないようなら、明日もだめです。
一日だって無駄に過ごしてはいけません。」


ピアノはほとんどの生徒さんにとって習い事のひとつ、
ではありますが、

レッスンに来る度に、

今週は〇〇で練習できなかった
今週は練習できていない
昨日宿題しようと思ったけど、〇〇があってできなかった

と、言い訳する人たちがいます。

先週は、
「宿題やろうと思ったけど、
昨日、お兄ちゃんが剣道があったからできなかった」
と意味不明な言い訳もありました。


練習できなかったから、私に何をしてほしいというのでしょう?

楽器店の生徒さんはお預かりしている人たちなので、
レッスンはしますが、その人たちのためにはなりません。

するべきことをしなくとも、
いつでも与えてもらえる。

それは、本来通用しません。


毎度、練習できなかった、プラス、遅刻してくる、遅刻しても何も詫びない中学生の生徒。

その子にはさすがに、言いました。

将来、信用を無くす。
あの人に仕事を頼んでも責任を持ってやってくれないだろう、
と仕事を任されなくなる。
遅刻してきて、相手を待たせることが失礼なことであること。

中学生になって遅刻のことだけは何度か言ってきましたが、
一向に効き目はなく、
信頼されなくなる話を中3になってから言いましたら、
変わりました。

ピアノのレッスンも、
受験があるから辞める、と中1の時から言っていましたので、
人それぞれだから、自分で決めて、と言っておりました。

それが、最近、
辞めると言っていたけど、出来るところまでやってみる、と。

自分で考えて出した結論です。

そうしたいと思ったのなら、
続けられるように応援します。


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ラドゥ・ルプーは語らない

2022年04月27日 | 書籍紹介

ルプーが亡くなり、どんな演奏をされていたか
じっくり聴いてみたく、
むやみやたらに聴いてもと思い、
「ラドゥ・ルプーは語らない」という本を読み始めました。

ルプーは語らないので、
これはルプーが書いたものではなく、
日本のマネージャーさんがルプーと親交のあった演奏家、マネージャー、調律師等にルプーのことを語って頂いた本です。

たいへん面白く、ルプーの人柄がどのアーティストからも
同じように語られています。

素晴らしい演奏だったコンサートのこともよく話に出てきます。

そんな中で、アルゲリッチが直接語ったのではないのですが、
ミッシャ・マイスキーの話の中で、
アルゲリッチがルプーのリストソナタのライブ録音を聴いて
圧倒されたと言った、という話が出てきます。

本にもありますが、ルプーとリストは結びつかないイメージがあります。

ちょっと興味を持ったので、youtubeで聴いてみました。


凄いです。
冒頭から何事かと思う恐ろしい音楽。

どこにもないルプーだけの音楽。

とにかく、聴いていただきたい。

(Radu Lupu | 1990 | Live) Liszt: Piano Sonata in B minor, S.178


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また、桜の国で、という本

2022年04月07日 | 書籍紹介

須賀しのぶさんの、「また、桜の国で」

革命前夜に引き続き読みました。



1938年、開戦前にポーランドに赴任した外務書記生が、戦争回避に向け奔走する話。しかし、戦争は勃発。


読んでいて預言書かと思うような内容。

しかし、これは過去に起きたことを基に作られた小説で、
ポーランドの隣国で現在同じことが起きているという現実。


日本とポーランドの間にある史実。
ポーランドという国が地図から消滅した歴史があること。
しかも、120年近く・・
ショパンが生きていた1830年の11月蜂起が最も悲惨であったこと。

実際の歴史も知ることができました。


本の中にこのようなことが書かれていました。

「人間らしく死ぬためだけに戦ったのです。
ユダヤのためでもポーランドのためでもないのです。自由を取り戻すためでもないのです。
彼らはただ、尊厳を持って自らの人生を終わらせるために、戦ったのです」

こうもあります。

「戦争が終結した後のことを考えて行動しなければならない。美しい最期を望むようになったら、それはもう、理想そのものを自ら投げ捨てたのと同じ事なのだ」

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革命前夜、という本

2022年04月01日 | 書籍紹介

須賀しのぶ著、「革命前夜」

1989年、ベルリンの壁が崩壊する前に東ドイツのドレスデンに音楽留学した青年を軸にした物語。

音楽の話かと思いきや、東西ドイツの社会の違いがその場にいるかのようにわかり、何度もこれはフィクションなんだと思いながらも、著者の念入りな資料考察の下に作り出された話に、歴史の勉強にもなりました。


1989年の夏に私はウィーンを初めて訪れました。
その頃はまだペレストロイカ以前で、飛行機はアンカレッジ経由。

乗り継ぎの待ち時間を含め、ウィーンまで24時間はかかったと思います。

その頃、ハンガリーに入国しやすくなっていると聞いていて、不思議な気がしていました。

この本を読んで、ハンガリーの方が東ドイツより先に西側に開放されていたと知り、今頃そうだったのか・・と。


この本を読みながら、情報規制された「無知の谷間」は過去の話ではない、と悲しい気持ちになりました。




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リストが伝えるショパンの魂

2022年03月02日 | 書籍紹介

リスト著のショパン伝、
「フレデリック·ショパン その情熱と悲哀」

ショパンがなぜ、演奏会を滅多に行わなかったか、そのようなことも書かれています。

印象に残ったことをひとつだけご紹介。

ポーランドでは死装束を生前に自分で選ぶと。

ショパンは現代最高の演奏家の一人でありながら、誰よりも演奏会に出る機会の少ない演奏家であった。それにもかかわらず、自身が数少ない演奏会でまとった衣装で葬られることを望んだ、と。


リストはショパンの音楽を、
「この詩人と未来の音楽家の間には、断つことの出来ぬ絆が結ばれていくことだろう。
その場所が、地球上のどこであろうと、どの時代であろうと、互いの心情を深く理解できる絆が」と。


ショパンが遺したポーランドの精神、魂は、
170年の時が過ぎても生きています。

革命が起き、自分の意に反し祖国に戻れなくなったショパン。
単に祖国を懐かしんでマズルカやポロネーズを作っていた人ではない、ということ。

そんなことをリストの本から学びました。



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フレデリック·ショパン その情熱と悲哀 -リスト著

2022年02月18日 | 書籍紹介

リストが書いたショパン伝。

なんでも、ショパンが亡くなって最初に書かれたショパンの伝記はリストが書いたそうで、
誰よりも先にリストが書いたので、ショパンを知る他の人たちは書きづらくなったとか。

他の本にそのような事が書かれていたので、興味を持ち、
その本を読んでみることにしました。

まだ読んでいる途中ではありますが、既に、リストの教養の深さと言葉の表現力に圧倒されています。

単にショパンとの思い出を書いているのではありません。

ポロネーズやマズルカが、ポーランドの舞踊としてどのような存在だったのか。
ポロネーズに関しては、衣装まで細かく説明されています。

何かの解説書でポロネーズやマズルカについて調べるより、
この本でリストに教えて頂いた方が勉強になりそうです。

ポーランド人がどのような人柄なのかも書かれています。


そして、ショパンの音楽についての描写が上手い !

病的にまで高められた感受性の強さ
喜びを曇らせながらも悲しみを和らげる神秘の響き

など、この数十倍もの言葉がこの本にはあり、
リストが音楽のイメージを非常に具体的に持っていた人物であることが分かります。


生涯、ほぼピアノ曲しか作らなかったショパンですが、
その事についてリストは、
管楽器や弦楽器がいかに魅惑的であるか述べ、
本文を抜粋させていただきますが、


一見すると荒野のようでさえあるピアノ音楽の分野に身を尽くして、
その痩せた土壌に望むべくもないほどの豊穣な花々を咲かせるまでには、
どれほどの才能と情熱が必要とされたことか !

と、書いています。


ほぼピアノ曲しか書かなかったショパンを
このように捉えるリスト。

ショパンの才能を目の当たりにした人物でなくては
書けない言葉。


ショパンを知り、リストを知り、音楽家の人柄と知性に触れられる本です。


歴史に名を残す人はやはり違うな、と実感。
そのような人たちが作った音楽を演奏しているのだと、恐れ多さも感じます。


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一汁一菜でよいという提案 より

2022年02月09日 | 書籍紹介

土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」に、
このようなことが書かれています。

お料理と人間との間に箸を揃えて横に置くのは、
自然と人間、お天道様から生まれた恵みと人間との間に
境を引いているのです。

私たちは「いただきます」という言葉で結界を解いて
食事を始めるのだと考えられます。


昨年、オンラインで受講した講座で、
ピアノの前に座っていきなり弾き始めるのは、
ご飯を食べる時に、「いただきます」も言わずに
いきなり食べ始めるようなものだ、と講師の先生が仰っていました。

その例えはわかり易いと思い、
その後レッスンでこのフレーズをよく使っています。

弾く前に息を吸って、と言うより子供たちにはピンときます。


土井さんの結界を解く話。

音楽もそのような神聖なものを始めさせてもらう、
そんな感覚があるべきなのだろう、と思ったのでした。


「一生懸命したことは純粋なことで、純粋なことは最も美しく尊い」
レッスンで度々この言葉を思い出して過ごしています。

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一汁一菜でよいという提案、という本

2022年01月31日 | 書籍紹介

料理研究家の土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」、
という本を読んでいます。

きっかけは、
「いちばん大切なのは、一生懸命、生活すること。
料理の上手、下手、器用、不器用、要領の良さでも悪さでもないと思います。
一生懸命したことは、いちばん純粋なことであり、
純粋であることは、もっとも美しく、尊いことです」

という、この本にある言葉を知ったからです。

まだ途中ではありますが、素晴らしい言葉がたくさん書かれています。

一汁一菜で慎ましい生活を、と仰っているのではなく、
心の持ちようを伝えていらっしゃいます。

家庭料理は手を掛けないもの、それがおいしさにつながる。
一汁一菜は手抜きではない。
できあがった料理を買い求めることができる現代。
「料理をする」を省略できる。となると、人間は食べるために必然であった行動を、捨てることになる。

「行動」と「食べる」の連動性がなくなれば、生きるための学習機能を失うことになる。

人間にとって人生の大切な時期に手作りの良い食事と関わることが重要。子供が大人になるまでの間の食事が特に大切。
食事の根源的な意味。一人ひとり、全ての人の命を作るもの。


日本には今、様々な哲学や思想の切れ端のような言葉が、生活の中に都合よく紛れ込んでいる。

最近はよく、「機能的」なことを「合理的」という言葉にすり替えて言われる。時間を短縮する、便利で都合の良い「機能」と、理にかなった「合理」では意味が違う。


読みながら、ついついピアノのことや生徒の事と重ねて考えてしまいます。

一生懸命すること。
レッスンでは、私も生徒も、これがあれば良いのです。

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夜と霧

2022年01月23日 | 書籍紹介

年明け早々に読んだ本が、
「夜と霧」

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
アウシュヴィッツ収容所を経験したウィーン出身の精神科医の本です。

そこであった出来事の報告ではなく、
強制収容所の日常がごく普通の被収容者である著者の魂に
どう映ったかを書いたものです。

生きる目的、なぜ生きるか、を
事あるごとに意識させられたと。

ニーチェの格言
「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」
は、的を射ているといいます。

生きる目的を見出せず、生きる内実を失い、生きていても何にもならないと考え、自分が存在するところの意味をなくすとともに、頑張り抜く意味も見失った人は痛ましい限りだった、と。


生きることからなにかを期待するのではなく、180度方向転換して、生きることが私たちから何を期待しているのかが問題なのだ、と。

一人一人の人間に備わっているかけがえのなさは、
意識された途端、人間が生きるということ、生き続けるということに対して担っている責任の重さを、まざまざと気付かせる。

自分を待っている仕事や愛する人間に対する責任を自覚した人間は、生きることから降りられない。


過酷な体験をした著者が主観的に書いていないだけに、その言葉には説得力があります。


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