今月生徒さんに聴いてもらう作曲家は、坂本龍一。
12月なので、「戦場のメリークリスマス」を
聴いてほしいと思い、選びました。
小学生にとって坂本龍一はほとんど
知らない作曲家です。
「坂本龍馬なら知ってる」と言われました。
何時代の人?とも。
既に曲を聴いて感想を書いてくれた
生徒さんがいて、
「戦場のメリークリスマス」というので
怖い曲かと思ったら、きれいな曲だった、と。
それを読んで、そうか、そうだな、そう思うな、
と気付きました。
私は当然のことながら、この曲が世に出た時から
知っているわけです。
曲名からどんな曲だろう、なんて考える必要が
ありませんでした。
同じ時代に生きている生徒さんと私、
そして昨年までご存命だった坂本さん。
音楽の長い歴史の中では
昨日と今日くらいの違いしかない生徒さんと私ですが、
同じ時代の作曲家でもその距離感は違うのだと
少し驚きました。
私にとっても遠い時代のクラシック音楽の
作曲家の方が、生徒さんも私も会ったことのない
全く知らない人たちなので、
生徒さんと同じ立場でいられる気がします。
新発見です。
坂本龍一さんは、一度だけお会いしたことがあります。
お話したわけでもなんでもないですが・・
あるホールのこけら落としのゲストの一人が
坂本さんでした。
私は授業があったので開演時間ギリギリに駆け込んだところ、
ちょうど坂本さんたちが袖に入られる所でした。
目の前を何だかゆっくりと歩かれている
襟足を刈り上げたヘアスタイルのかたがいらして、
『誰だ?こんな刈り上げてるの。カッコつけてんじゃないわよ。
急いでるのに、邪魔だわ。なんでゆっくり歩いてんの?』
なんて心の中で思いながらカッコつけマンの顔を見てやろうと
チラリとお顔を見ると、坂本さん。
『うわっ、坂本龍一だ』と驚き、
思ったより背が低く、へ?そうだったの?
なんて思いながら
『ギリギリで逆に得しちゃった』と不届きなことを
思って客席に向かったのでした。
というわけで、小学生にとっては
何時代の人?と質問が出るくらい知らない人ですが、
私にとっては目の前で見た人。
40年位前の話です。