おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ノート

2023年01月11日 | 苦手なことがある子供たち

私は自閉症の生徒さんのレッスンをしていた頃、レッスンであったことをノートに書き残しておりました。


また、私が稼働をしている楽器店では講師のグループがあり、自主研修というものが行われておりました。

そこで発達障がいの話を何度かさせて頂いたことがあります。
そのための資料作りもしましたので、手元に色々と残っております。


3人の講師で3カ月にわたり、発達障がいと生徒さんのレッスンについて話をさせて頂いたのが一番最初でした。

1時間半の予定で話をしても、あっという間に時間が過ぎ、終了時間を過ぎているにも関わらず、先生方が話を聞いて下さっておりました。



今ほど、このことを知っている人は多くはありませんでした。
ご自分の生徒さんにいます、という先生も皆無と言って良いほどでした。

それでも話にお付き合い下さったことは、今でも感謝しています。
そして、先生方は皆、生徒さんのことを大切に思っていらっしゃるということです。


今は関係のない話でも、将来思い出して頂ける時が来るかもしれません。
未来の先生が読んで下さることがあるかもしれません。


私が経験したことを少しずつ、このブログに書いて行こうと思います。



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あてっこゲーム

2021年07月31日 | 苦手なことがある子供たち
以前から気になりつつも、すぐにションボリしてしまうので、あまり言えずに進んでしまった生徒さんがいます。

何が言えなかったか、というと

「できるだけ顔を上げて、楽譜を見ながら弾く」こと。

その生徒さんは、間違えないで弾くことが一番正しい、という考えがあります。

私は、不注意に何度も同じ間違いを繰り返す生徒には、たまりかねた時に「間違えないで」とは言いますが、そうではない場合はその言葉を言うことはありません。

この生徒さんにも、間違えないで弾くことが大事なのではなく、どんな音楽かが伝わること、ピアノから良い音が聞こえてくること、そちらの方が間違えない事より大事なのだと話してきたのですが、上手くいきませんでした。

彼女は、間違えないで弾くために鍵盤を凝視します。楽譜は見ません。腕はカチカチに固まります。

不思議な音の国上巻からピアノを始め、しかも初めからアコースティックピアノで練習できています。それなのにです・・

習い始めた頃の方が上手でした・・

鍵盤なんて見なくても弾けるものだ、と話しても彼女にとっては信じられない話のようでした。

あまり言うと、シュンとうつむいて余計ダメになるので、私もそのことに触れづらい状況でした。



前回のレッスン後、お母様が「楽譜が良く読めない様だ」とおっしゃるので、あれだけ鍵盤を凝視して聴いて覚えてを繰り返していたらそうなるのは必然。これは手を打たなければいけない時が来たと思いました。

それで、もしかしたら10年位していなかった、そして、この方法をすっかり忘れてもいた、「見なくたって結構当てられちゃうゲーム」をすることにしました。

このような生徒さんは、空間認知の力が上手く育っていない傾向があると考えています。感覚的に物や場所を想像することが苦手な傾向があります。

しかし、多くの場合、本当にそうなのではなく、出来ないと思い込んでいることの方が多いものです。

それで、自信を持ってもらうためにこのようなことをしています。

袋の中に色々な小物を入れて、手で触って何かを当てるのです。
事前に、何が入っているかは紹介します。

このようなものです。ソフトドリンクについていたおまけやら、大きさの異なるスーパーボールやら、何でも良いのです。ここに用意したものの中では、ピーターパンとミニーが大きさが似ていて間違えやすいです。(サイコロになったものは木製、サッカーボールは軟らかくプニュプニュしています。形だけではなく触感も変えてあります)


中が見えなければどんな袋だろうが良いので、そこにこれらの小物を入れて、手で触ったものが何かを袋の中で言って、それから袋から出して確かめます。右手でやったら左手でもやります。



こうして、この生徒さんは両手ともパーフェクト!

「見なくても全部当てられたじゃない!大丈夫でしょう?ピアノは指が目なの。鍵盤なんてそんなに見なくても弾けるものなの。試してみる?」

と、今日は下巻の復習もあって7曲弾きましたが、全部顔を上げて弾けました。
もちろん、反対の手に変わる時はチラリと鍵盤を見なければわからないので、必要な時は鍵盤を見ます。

というわけで、今日は久し振りに昔の技を思い出してレッスンしてみました。


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海外では

2019年08月10日 | 苦手なことがある子供たち
この話題を書くことはもうないと思っていました。

私がブログを書き始めるきっかけになった発達障がいについてです。
この子供たちに出会うことが多かったのが2004~2011年。

この子供たちについて書いた頃は今と違い、ピアノのレッスンでどのようなことができるか全く情報がありませんでした。

発達障がいに関した本を図書館で借り、そこにあるものはほぼ読み尽くしました。
このような生徒さんがいる時は何故かそのような生徒さんのレッスンをしている先生に出会うものです。
どのようなレッスンをされているか、最初に読むと良い本も教えて頂きました。

しかし一人一人出来ることは異なり、決まったパターンはありません。
学校の先生が工夫されていることを随分と参考にさせて頂きました。

日本では発達障がい支援法が施行されたのが2005年。
理解や支援が広がると期待しましたが、実際は学校の先生でさえこの子供たちを理解していないと感じることが少なくありませんでした。

この分野は世間が知り初めてまだ10年位ですので、新しい情報が更新されていて、私が図書館の本を読んでいた頃とは比べものにならないくらい多くの書籍が発刊されています。

さて、何故この事を書いたかと申しますと、時々「不思議な音の国」があの頃あったらもっと生徒も分かりやすかった、もっと多くのことを経験させられたのではと思うからです。

そんなことを最近思っておりましたら、日本より発達障がいでは研究が進んでいるアメリカのピアノ教師には自閉症の生徒さんを持つ先生方が多いことを知りました。

「不思議な音の国」を使っている先生方のグループなのですが、この教本を22歳の大人の青年に1年間使っている先生、10歳の少年に使おうか検討中の先生、この教本なしのレッスンは考えられないという自閉症の生徒さんを持つ先生。

自閉症の人は抽象的なことが苦手です。
それを少しでも具体的に伝えることがこの教本はできると思います。

今、私のところにはADHDではないかと診断された小学1年生の男の子がいます。
心配するほどではありません。思ったより集中していますし、勝手に立ち上がってウロウロすることもありません。
しかしレッスンをしていて、他のテキストではこんなに集中してレッスンを受けられなかったのではないかと思っています。
だから自閉症の生徒たちがいた頃使えていたらどうだっただろうと最近頭をよぎるのです。

発達障がいの事を知ると何もない人の方が少ないことがわかります。
きっと誰でも何かしら持っています。
それが強いか弱いかだけだと思っています。

2冊目に読んだ「ひとりぼっちのエリー」でそれを感じました。
発達障がいの方が書かれた本も心情がよくわかって良いです。

このブログは大きくは発達障がい、フォルマシオン·ミュジカル、ロシアンメソッド(重力奏法)の3つについて書いています。
それらが今、繋がったと感じています。
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「発表会の曲をなかなか練習しない」生徒(第17号)

2012年07月10日 | 苦手なことがある子供たち
多くの場合、年に1度は発表会が行われると思います
その発表の場を楽しみにしていらっしゃる親御さん、そしてお孫さんの成長に目を細めていらっしゃる祖父母の方。
発表会の後、喜んでいらっしゃるご家族の姿を拝見するのはたいへん嬉しいものです。

しかし、この日を迎えるために多くの先生方は叱咤激励の日々を3ヶ月前後送られると思います。
年に一度の発表会なので普段練習しない生徒でもこの時ばかりは流石にするだろうと思っていると、そうは問屋は降ろさず、焦るのは先生ばかりなり・・というご経験をお持ちではないでしょうか。

これは16号で書きました「時間の見通し」に関係しています。
多くの生徒は発表会で弾く曲がどのくらいの時間をかけて仕上げられるものかわかっていないのです。
ずっと先のことなのにどうして今から練習するのだと不思議に思っているはずです。

私は1年程前から初級の生徒たち全員にいつも使っている教本とは別に、バロック、古典派、現代曲を集めて渡し始めました。初めに、曲の目次とその曲が終了したらシールを貼る用紙を渡し、曲が仕上がるごとに目次に従って新しい曲を渡すようにしました。徐々に楽譜が出来上がる仕組みです。

どの曲も短いものばかりです。
10小節から1ページで終わるものがほとんどです。見た目も難しそうではありません。
しかし、普段弾く曲より複雑なもの、音楽が豊かで豊かな音色やタッチが必要なものを集めました。
そして、仕上げられるまでにどのくらいの期間がかかったかをシールの用紙に書き込んでいきました。

すると、その年の発表会でかつてないことが起こりました。

生徒全員が、本番の3週間前には余裕で曲を仕上げられていたのです。
いつもなら譜読みを終えた程度で本番に出演していた生徒もいたのにです。

おそらく生徒たちは、私から渡される曲が短く簡単そうなのにすぐに弾けるようにはならないと経験を通して知ったのです。

ましてや発表会の曲です。
いつもより難しいだろうし長さもあります。
そのことについて私は誰にも一言も触れませんでしたが、生徒たちは自らそのことに気付いたのです。
早くから練習を始めないと、自分の実力ではとても間に合わないと。

発表会は1日にして成らずです!
普段から時間の見通しを持つ力を育てることが肝心だと思います。




  
(Amazonでのご購入はこちら)
井上直幸さんが教育テレビの「ピアノのおけいこ」で取り上げられていた曲も生徒たちに渡しています。
特に現代曲は貴重です。(注:こちらの本とDVDには「ピアノのおけいこ」の曲はありません)
ストラヴィンスキー「5指のための小品」
メゼー「トッカティーナ」
カセッラ「子供のための小曲集」
はおすすめです。

「ピアノのおけいこ」の井上直幸さんの笑顔は衝撃的でした。
それまでいつも笑顔でレッスンされている先生はあの番組にはいらっしゃらなかった・・
本当に楽しそうにレッスンされていました。

井上直幸さんのDVDは私の宝物です。
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「時間の見通し」を持つ(第16号)

2012年07月01日 | 苦手なことがある子供たち
時間の見通しを持つとは、ある時間内に自分がどれだけの作業をすることができるかが分かるかと言うことです。

例えば、出掛ける時に30分以内にどの程度の作業が出来るかが分からないと、出掛ける時間になっても着替えていなかったり持ち物の準備が出来ていなかったりで遅刻をしてしまうといったことです。

「時間の見通し」を持つことは小さなお子さんには難しいことです。
就学前のお子さんの時間感覚は前後数日だそうです。
そのような生徒さんに対して1週間後のピアノレッスンの話をしてもうまく通じないはずです。

1週間後のレッスンのために1週間前から練習を始めるには経験が必要です。
その曲が自分にとってどのくらい難しいか、1日でどの程度のことが自分に出来るか,それらが分からないとレッスンのどのくらい前から練習を始めたら良いか分からないと思います。

時間の感覚がまだはっきりと分からない生徒さんには、レッスンの始まりと終わりをはっきりと示す必要があります。
特に終わりの時間が分からないと、いつ終わるかわからない無限の長さに「帰る、帰る!」ということになりかねません。

私は自閉症の生徒のレッスンでは、毎回「こんにちはの歌」と「さようならの歌」を歌っていました。小学6年生の途中からは必要ないと思うようになりましたが、何のきっかけもなく辞めるのは良くないと思いましたので、小学校卒業までは続けました。

時間の見通しを持てずルーズになる人がいる一方、必要以上に時間に縛られる人がいます。
これも時間の見通しに関係していて、先の見通しが分からないため焦りを感じるのだそうです。

見通しの効く時間の幅は、10歳前後のある時期になると飛躍的に広がるそうです。
そのせいでしょうか。私の生徒も小学5年生になるとみな練習をしてくるようになります。
何故か言葉遣いや態度まできちんとして一人前になります。

突然、「はい」などと返事をされると聞き間違えかと思ってしまいます・・

ピアノの生徒さんとは長いお付き合いになることが多いので、子供たちの成長を見ることのできる楽しみの多い仕事です。

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「勉強で疲れている子供」(第15号)

2012年06月10日 | 苦手なことがある子供たち
小学校の高学年になりますと、中学受験のため熱心に塾に通う生徒さんが出てきます。

そのような生徒さんがピアノの練習量が減ることで、以前よりうまく弾けなくなったと思われる先生がいらっしゃると思います。
確かにそれもありますが、ピアノがうまく弾けなくなる原因はそれだけではないと私は思っています。

空間認知について色々と知ることができたお陰で、ピアノを弾く時にいかにその能力が多く使われているかに気付きました。

長時間、本を読んだり、文字を書いたり、文章を作ったりした後でピアノを弾くとうまく弾けないことがあると思います。
脳の使う場所がピアノを弾く時とは違う気がします。
ピアノを弾く時は脳のもっと広い所を使っている気がします。

音を出す前に全てのことが頭の中で瞬時にイメージされていないとピアノはうまく弾けません。
それはどれも目で見ることのできないものです。
まさしく空間認知の能力です。

ピアノを弾く人は高齢でもお元気な方が多いと思います。
次の行動や作業を頭の中で瞬時に働かせることに長けているのではないかと思います。
お料理をされる方も手順の良さが必要とされていますが、それと似ている気がします。
できあがりの味、香り、器、盛り付け、出すタイミングなど全てイメージされてお料理は進んでいくのだと思います。

小学生の生徒が熱心に勉強を続けていると、脳の一部分を酷使するように思います。
私は脳科学者ではありませんのでこれが正しいかは自信がありません。
ただ、それまですんなりと出来ていたことが、たった2拍のために15分~20分の時間をかけなければ出来ないほど頭が働かない状態になっている生徒を見ると、もしかしたら空間認知の力が衰えていることが原因ではないかと思ってしまいます。

よく、レッスンに早めにいらして前の生徒さんのレッスンが終わるのを待つ間、学校の勉強やドリルをして待っていらっしゃる生徒さんがいます。
そのような生徒さんは大抵レッスンでうまく頭が働かず、レッスンの終わり頃になってやっと頭が働くようになり、残念ながら丸はもらえずに終わるということが多々あります。

個人のお宅でレッスンを受けていらっしゃる生徒さんは、前の生徒さんのレッスンを見ることが出来それだけで勉強になりますが、楽器店の音楽教室は残念ながらそれが出来ません。
レッスンの前は何もせずにお待ちいただけるとありがたいと思っています。

時間が惜しいとお考えの保護者の方がお子様の為と思われてなさっている事が、かえってお子様に負担をかける事態になっている事を知っていただきたいと思います。

習い始めの生徒さんの中には空間認知の力を使う機会が少なかった方もいらっしゃると思います。そのような生徒さんは初めはスムーズに進みません。
やっとピアノを弾く頭になってきたと思った頃に、「この子は向かない」とか「音が読めるようになればいい」とおっしゃってやめさせられる保護者の方が時々いらっしゃいます。

お子様の習い事を長続きさせるには、保護者の方の忍耐力も必要です。
安易に始め、簡単にあきらめる事を繰り返すことがどのような事態を生み出すか保護者の方にはよくお考えいただきたいと思います。
身に付けた能力は使い続けない限り衰えていきます。
ピアノは、自転車に乗れるようになった人がしばらく乗らなくとも乗れるというものとは違います。

お子様が成長する中でこの時でなければ得られないもの、時機を逃すと得にくくなるものがあるはずです。

ピアノレッスンは音楽以外にも得られるものが非常に多いと思います。
それは考える力、根気強くやり抜く力、打たれ強さとして将来必ず役立ちます。
そしてさらに、音楽の美しさで心が潤されるのであればこんなに素晴らしいことはないと思います。


           


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「音の長さの感覚」がつかめない生徒(第14号)

2012年06月03日 | 苦手なことがある子供たち
実は、私がレッスンをしていて最も改善しにくいのがこの音の長さの感覚です。
これは子供、大人に関係なく一部の人たちに現れます。

何拍伸ばすかはわかっている場合が多く、リズム打ちも思ったよりできます。

ところが演奏となると特に長い音符に対してかなり不正確になります。
演奏しながら自然にテンポを感じる感覚が働いていないように思います。

その方たちが演奏している時に声を出して数えているのを聴いていると、2拍、3拍、4拍等はその前までとは
全く違うテンポでただ、「1,2」と言っています。
そして大抵、弾き始めの音だけ見てすぐに弾き始めます。

演奏を聴いていると音と音の間の感覚がなく、音は点として感じられているように聞こえます。
拍子感やテンポ感と言った枠がない状態で自分勝手に音を散りばめて弾いているといったらよいでしょうか。




これまで空間認知と運動能力について書いてきましたが、リズム感もこの2つの能力に関係していると思います。
特に空間認知の力です。目の前にない物の形、量感などを推測する力です。

音の長さは時間的な量感と言えます。その感覚を苦手としていると私は考えています。

音の長さの感覚がつかみにくい生徒さんにスーパーボールを弾ませてもらって下さい。
おそらく弾ませられないと思います。
弾ませるそのことしか考えていないので、ボールが戻ってくる時間を考慮していないのです。

しかし、ボールが戻ってくる時間を意識していただくと弾ませられるようになります。
そのあとでメロディーだけ弾いてもらって下さい。
聞いたこともないような滑らかさで演奏されると思います。

この感覚を育てることは容易ではありません。
子供の頃からバレエやダンスを習っていても、いつも1人だけ先に動き始めてしまい他の人と合わせられなかった話を
このような生徒さんからよく聞きます。

経験や訓練によってなかなか培われない感覚なのかもしれません。

だからと言って何もしないではいつまでたってもそのままです。
諦めずにリズム打ちは続けるべきです。
ヒンデミットの「音楽家の基礎練習」には、音楽家ではなくとも使えるものがたくさんありますので参考にしています。

このような生徒さんはこちらの手拍子に合わせて手を叩くことも苦手です。
特に大人になられてからピアノを始めた生徒さんです。
(大人の生徒さんでも元々リズム感の良い方はいらっしゃいますので、どの方もという話ではありません。)
テンポを変えて手を叩いてもテンポが速くなるとメチャクチャです。
どのテンポで叩いているか良く聴かずにいきなり叩き始めますので、こちらのテンポと合わないばかりかご自身のテンポも一定ではありません。

おそらくある意味、見通しを持つことを苦手としているのだと思います。

リズムの感覚を苦手としている生徒さんには難しいことが多いと思いますが、色々と続けていると次第に音の長さの感覚がつかめるところも増えてきます。
しかし、どうしても苦手なリズムはありますのでそこはおまけが必要です。

それから、レッスンではリズムのこと以外でもできるだけ空間認知の力を意識的に使ってもらいます。
次の音を出す直前に、その音と鍵盤の位置、そこにある自分の手の形や向きなどを瞬時にイメージするようにです。
音楽的なことまでは初めから要求しません。但し、いつも美しい響きの音であること。後からでは手の使い方を全てやり直さなければいけないことになりかねず、イメージしたものをまた変えなければなりませんので。

ピアノの蓋の上で弾いていただくことを多く取り入れていくと、自分がどれだけ正確にイメージを描かずにピアノを弾いているかが分かるはずです。




(Amazonnでのご購入はこちら)
ヒンデミットの「音楽家の基礎練習」音楽之友社

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
追記:
以前、音の長さが目で見えるようにパタパタ定規のようなものを作ったことがあります。
「まん中のドが探せない」子供(第7号) - 音の国 / OTO-NO-KUNI

それに代わるものとして使えると思ったものがあるので、ご紹介します。

この丸を1拍なら1個、2拍なら2個と押すだけです。
丸を書いたり、リンゴを書いたりすることと似ていると思われるかもしれませんが、こちらの方が目の前に実物がある感覚を持てます。

長い音を伸ばす時に、最初は押した数だけそのまま手を叩いてしまうと思いますが、次第に心の中で数を数え、手の方はそのまま伸ばすことができてくると思います。

時間がかかるかもしれませんが、苦手意識がつかないように遊び感覚で出来れば、と思います。

2021年6月16日
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「ピアノを弾く時の姿勢」について(第13号)

2012年05月17日 | 苦手なことがある子供たち
ピアノの椅子に座っている時に、背中を伸ばして座っていられない生徒さんはいらっしゃいませんか?

腰がクニャと丸まってしまい背中を伸ばして座ることができない、姿勢が悪いのでピアノとの距離が分からず近付きすぎるといった生徒さんです。

ピアノを弾く時に姿勢が悪い、つまり体が支えられていないと弾きにくさの要因になります。

私の生徒でいつも背中と腰が丸まっていて、座る向きが斜めになっていても気付かない子がいました。
上の空になる傾向もあったので集中できていないのかな?と思っていました。静かに座っていたのに音もなくピアノの下に落ちたこともあります。本人も何が起きたのかわからない様子で足台の上にちょこんと座っていました。

姿勢は運動能力に関係しているようです。
体のどの部分に力を入れたり抜いたりすればよいかがよく分からないということです。

ピアノは指を使って弾きますが、指だけに着目していてもうまくいきません。
胴体部分が安定しなければそこから腕を離して動かすことができず、腕を動かすことができなければ指を動かすことはできないのです。
ですから、まずは姿勢を改善する必要があります。

体のバランス感覚を養うわけですが、本にはよく次のようなものが書かれています。
バランスボールやトランポリンを使う、小さな子供の場合は抱っこをして前後にゆらゆらさせる、高い高いをするといったことです。

お気付きの通り、これはレッスンでは出来ませんし誰にでも行えるというものでもありません。

しかし、ある本に書かれていたもので一つだけ可能だと思うものがありました。
生徒自身が自宅で出来ます。ご自宅でレッスンをされている先生でもその気になれば可能です。


「トンネル」というものです。
仰向けになり手と脚で体を支え、背中と床の間に空間を作ります。
       
これを初めは20秒、大体1分位できるようになるまでトレーニングすると良いようです。

ここまで出来なくとも、レッスン中に生徒に「おなかに力入れて」と言うだけで、指の動きがよくなり音が引き締まります。

本来ならば、子供は遊んでいる内に体が安定してくるはずです。
しかし、遊ばさせずに早くから長い時間机に向かわせるご家庭が増えておりますので、大きくなっても発達していない部分が多く見受けられる気がします。
脳が豊かに発達するためには、その時期に見合った生活が必要なのではないかと子供たちを見ていて感じます。

来月は、リズム感と時間の感覚について書かせていただきます。



これではトレーニングになりません・・


  ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・--・-・-・-・-・
追記 2017年1月

<座る>改善法

・猫背(背中が丸くなり、頭がっ垂れ下がっている)→改善法:あぐら相撲/椅子トンネル
  
  あぐらで座り腕を組む。大人が子供の左右や前後からゆっくり押して倒すゲームをする。
  前傾姿勢を引き出し、背筋を伸ばす目的。

  椅子の下をよつんばいや腹ばいになってくぐり抜ける。
  姿勢を保持する、バランスをとる力が身に付く。

・体が傾く→改善法:クッション壁つぶし/タオルはさみ

  クッションを壁に付けて背中で押す。
  腰を起こして背筋を伸ばす力を高める効果。

  子供の背中と椅子の背もたれの間にタオルを挟み、大人がタオルを上に引っ張る。
  子供はタオルが抜けないように背中で背もたれを押し続ける。(後方へ転倒しないよう注意)
  背筋を伸ばす効果。

・背もたれに寄りかかる 椅子から滑り落ちる→改善法:足をスリスリ
  
  土踏まずを反対の足の内くるぶしにつける。
  10センチほど上下にこする動きを4回。反対も同様に行う。
  外くるぶしに反対の足の甲を当て同様に。
  バランスを保ち背筋を伸ばす効果。



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「どの指を使っているかがよく分からない」子供(第12号)

2012年05月10日 | 苦手なことがある子供たち
自分が今、どの指で弾いているかがよく分からない生徒さんがいます。

隣の音を隣の指で弾くことができない、指を順番に使えないのです。
3回くらい指摘しても気付かず、私が「ほら、この指」と言って触って初めて気付きます。

指の感覚がはっきりとしていないのでしょうか。
腕と同じように、何か指の神経の発達に関係しているのでしょうか。

私の経験では腕の感覚がはっきりとしていない生徒は、指の感覚も曖昧な所があります。
どちらの手のどの指を使うかを触って伝えなければわからないことがあります。

もちろん、普段どれだけ家でピアノを弾いているかも関係していると思います。
ピアノは実際に弾いて覚えたり見つけ出したりしていくものが多いですし、指を1本1本様々な組み合わせで使うことなど日常ありませんので、やはり練習量が多い生徒はそれだけ多くの感覚が発達するのは速いと思います。

では、このような生徒さんにはどのようなことをして指の感覚を目覚めさせると良いでしょうか。

良い方法があります。
これは以前、若い先生から教わった方法で私が考え出したものではありませんがご紹介させていただきます。



各指でスーパーボールを転がすのです。

ただ転がすのではありません。紙に道を書いてそれに沿って転がすのです。
「音が読めるようにならない子供たち2」でご紹介した、逆あみだや迷路に沿って転がしてもよいです。

どの指で転がすかを決め、片手ずつ行います。
右手の2の指ができたら左手の2の指という具合にです。往復行います。

大体1回のレッスンで、両手の同じ指が行えます。
但し、器用ではない生徒さんはそうはいきません。1回のレッスンで片手の一つの指でやっとです。
私は1の指は行いませんでしたが、両手の2~5の指をすべてやり終えるのに6カ月かかった生徒もいました。

スーパーボールは自閉症の生徒にも行いました。
私も一緒に反対側から転がし、歌を歌いながらどちらが早くゴールできるか競争しました。

どの生徒も初めは指をスーパーボールに密着させずに転がすので、しょっちゅうあちこち転がしてしまい球拾い状態です。
自分で転がしたものは自分で取りに行くようにします。運動不足の生徒には足腰を使う効果もあって良いと思います。
但しピアノに頭をぶつけないように気を付けて。これは空間認知の力を養う効果もあるはずです。
自分と周りの物の距離感を養う感覚です。

ピアノを弾きながら指の感覚をつける方法ではありませんが、確実に効果があります。
すぐにバーナムやハノンに進むのも良いですが、その前の段階が必要な生徒さんもいらっしゃると思いますので、
気分転換も兼ねてお試し頂ければと思います。

若い先生から教えていただいた時には、指先の感覚を鍛えるとおっしゃっていたと思います。
耳で音の響きや音色を探す段階に達した生徒さんにも使えます。

スーパーボールは習い始めの生徒さんには大きめのものが良いです。
私は直径3センチ程のものを使っています。


ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

追記 2017年1月

<手のボディイメージ>

「ド」の音を人差し指で弾こうと頭でわかっていても手が思い通りに動かない、リコーダーを吹くと指の位置や動かし方がわからなくなり吹き続けられない。

これは「手のボディイメージの未発達」によるものなのだそうです。

ボディイメージとは次の3つのものを指します
①触覚:皮膚でものに触れる時に働く感覚
②固有覚:筋肉や関節の動きを感じる感覚 体を動かした時に働く。動作のコントロールに関わる。
③前庭覚:バランス感覚 体が揺れたり回転した時に働く。姿勢の維持や利き手の発達などに関わる。

対応

手のタッチング
・腕から手、指の順番で大人が素手でギュッと握る
・目を閉じてもらい子供の指や手を2か所同時に軽く触れどこに触れられたか当ててもらう

砂文字なぞり
・モコモコペンで書いた図形や文字を目隠しをしてなぞり、どんな形、文字か当ててもらう

手探り遊び
・タオルや袋で手を見えなくして、大人が子供の手に触りどの指に触れたか当ててもらう
 指を当てられるようになったら指の第1関節、第2関節、付け根のうちどの部位を触ったか当ててもらう
・袋の中に日用品を入れて(タワシ、スポンジ、ブラシなど感触の違うもの)触ったものを当てる

まねっこポーズ
・向かい合って座り、指先でポーズを作りまねてもらう(キツネ、OKの形など)




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「どちらの手を動かしているかが分からない」子供3(第11号)

2012年05月05日 | 苦手なことがある子供たち
「おもちゃのチャチャチャ」の方法をご紹介します。

歌に合わせ、初めは右手を交差し続けます。そして最後の「チャチャチャ」で左手上→右手上→両手をまっすぐという動きにします。これだけです。

初めは右手を交差することが1回しか出来ない生徒さんがいるかもしれません。
その場合は、講師が生徒の右手を持って「こっちが上、こっちが上」と言いながら動かしてあげると良いです。
これを2週間程続けると、大体1カ月でこの動きが一人でできるようになります。

これができたら今度は左手を上にする練習です。
そして最後の「チャチャチャ」の交差の練習をします。
左利きの生徒は逆の手から始めます。

この運動は、遠く離れた音を弾く時上腕の運動が速く行われるようにするため、それと、左右の神経のバランスを良くするため,とあります。

手を1度しか交差できなかった生徒が、最後までできるようになった時の表情の晴れやかなこと!

慣れてきたら少し速いテンポでもやってみます。
遊びで猛スピードでやるのも楽しいです。

実は私もあまり器用な方ではないので、生徒の利き手に合わせ一緒にやると、疲れている時はどちらの手を上にするかわからなくなる時があります。
私にとっても良い運動です。老化防止の方が近いでしょうか・・


チャ  チャ  チャ
   左手上        右手上       両手まっすぐ



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「どちらの手を動かしているかが分からない」子供2(第10号)

2012年05月03日 | 苦手なことがある子供たち
手の感覚が分からないと思われる子供は、まん中のドに1の指を置くことさえ儘なりません。

ゆっくりゆっくりとまん中のドに近付き、あと少しという所で突然反対の手にかわってしまったり、他の指にかわってしまったり、または別の音に着地したりします。

本人はドの位置も指の番号もわかっています。
しかし、思う場所に手が置けないのです。

初めてこのような生徒に出会った時、一体どうしたら良いのだろうと困りました。
ところがちょうどこの頃、私は自閉症の生徒にある運動を始めていました。

自閉症の生徒は手の感覚が分からない様子は見られませんでしたが、ピアノを弾く時にいつも片手の1本指でブツブツと音を切って弾いていたので、両手を使えるようにしたいと思い、始めたものでした。

これは、リトミックの故・橋内良枝先生が考案されたもので、「おもちゃのチャチャチャ」に合わせ手を交差させるというものです。


「どちらの手を動かしているかが分からない」子供3に続きます。


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「どちらの手を動かしているかが分からない」子供1(第9号)

2012年05月01日 | 苦手なことがある子供たち
どちらの手を動かしているのかが、よくわからない生徒さんに出会うことがあります。

右手左手と言った名称の問題ではなく、手の感覚が分からないという意味です。

レッスンをしている内に徐々にあれ?と気付くこともありますが、私の場合は「まん中のドが探せない」子供で書いたクラウス・ルンツェの「ふたつの手・12のキー」で2つ、3つの黒鍵に両手を重ねて置き、下の手から先にぬいて次の黒鍵群に進むことをやってもらった時に気付くことが多いです。

どちらの手を下に置いているかがはっきり分からなければ同じ動きが続けられず、途中で出来なくなってしまいます。

これは運動能力に関係しているのだと思います。不器用という言い方もします。
私は脳科学者ではありませんので脳に関してはわかりませんが、このような生徒に手の感覚を分かるようにする方法は知っています。

ピアノを弾く人は器用に越したことはありませんが、少しくらい不器用な方が人一倍努力しますし、曲を仕上げていく中で発見することも多いので私は悪いことだとは思っていません。

手の感覚がわかるようになるために重宝している方法があります。
これは習い始めの生徒さんにも行うことができます。

多くの子供は、日常利き手を使うことが多いので左右の神経のバランスが偏っていると思われます。
その神経のバランスを良くするための運動をご紹介いたします。

              
「どちらの手を動かしているかが分からない」子供2へ続きます。




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「クラウス・ルンツェ ふたつの手・12のキー」日本ショット
入門時の生徒さんに使っています。
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鍵盤を見て弾くこと(第8号)

2012年04月02日 | 苦手なことがある子供たち
ピアノを弾く時に鍵盤をどのくらい見ているものでしょうか。

実はあまり見ていないと思います。触れた感じで大体わかります。
それから、頭の中に鍵盤があって音を出す前にはそれがイメージされています。

ところが鍵盤から目を離すことなく、ひたすら下を向いてピアノを弾く子供がいます。
顔を上げて楽譜を見ながら弾くことがなかなかできないのです。
そうすると色々と不都合が生じます。その中の一つに、目で追えるだけの音しか弾くことができなくなり、目で追えるスピードでしか弾くことができなくなるということがあると思います。

生徒には自分で楽譜を読む力をつけてほしいとともに、たくさんの音楽を自分で楽しめるようになってほしいと思います。
そのためにはできれば楽譜を見ながら弾けるようになってほしいのです。





さて、なぜ鍵盤を見ずに弾けないのでしょう?

音感の問題もあると思います。木製鍵盤ではないもので練習していることも関係しているかもしれません。
他に、もしかしたら空間認知の力が関係しているのではないかと思っています。
この辺りに「ド」があるとか「ファの♯」があるとか推量する力、そして自分の手がその時どのような形になるかを思い浮かべる力です。

空間認知を鍛える方法で、ポケットの中に小銭を入れて手で触っただけで何円玉か当てる方法があります。
私はこれを利用して、布製の袋の中に大きさの違うスーパーボールや小さなマスコット類を入れて、それを当てるということをしています。
初めは右手、次は左手。慣れてきたら、私が指定したものを探してもらったり2個同時に手に持ってそれを当ててもらったり。

2個同時は説明だけでは生徒にはわからないので私が例を示します。ところが時々間違えます・・・ 
似たものを入れているのです。しかし、先生でも間違えるのだから自分もやってみようと生徒は怖がらずにやってくれます。

ほとんどの生徒は私よりよく当てられます。
これをやった後に、「袋の中にあるもの見ないでこんなに当てられたんだから、ピアノなんて見なくても弾けるんじゃない?」
と言うと、みんな驚くくらい鍵盤を見ずに弾きます。
中には意地でも見ないと感覚を研ぎ澄まして弾く子もいます。そしてこれが結構ちゃんと弾けるのです。

どうやらみんな、自分は鍵盤を見なければ弾けっこないと思っている節があります。
きっかけ作りに試されてみてははいかがでしょうか。

来月は、両腕の感覚と姿勢について書かせていただきます。
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「まん中のドが探せない」子供(第7号)

2012年04月01日 | 苦手なことがある子供たち
ピアノの鍵盤は88鍵あります。そして白と黒に分かれています。

初めてピアノを習う生徒さんには、黒鍵が2つ並んでいる所と3つ並んでいる所をそれぞれグーやパー、
もしくはチョキでやさしく弾いてもらいます。
2つ並んでいる所だけとか3つ並んでいる所だけと決めて行います。

すると、小学生で2つも3つも区別がつかない子供がいます。
数はかぞえられます。しかし、見ただけでは区別がつかないのです。
2つの黒鍵の方が数が少ないから狭く、3つの黒鍵の方が数が多いから広いということが分からないのです。

これは空間認知に関係しているのだと思います。

いつまでも「ド」の位置を覚えないからこの子はやる気がないのだと思わないで下さい。
こちらが想像していないことでつまずいていることがあるのです。
「ド」が探せないのは、2つと3つの黒鍵の判別ができていないからです。
  
このような生徒さんにはどうしたら良いでしょう?

私はよく、クラウス・ルンツェの「ふたつの手・12のキー」(日本ショット)という本を使います。
習い始めの生徒には必ず使っています。(途中までですが)
                                          
この本は絵を見て弾くというもので、音符は一切読みません。子供が書いた絵がたくさん載っています。
生徒たちはこの絵に興味津々です。ジーッと見つめて「ヘンな顔」とか「ここがヘン」などと言っています。

この本の初めの2ページに黒鍵に手をのせるものがあります。
「シマウマさん、こんにちは!」と「ヨタヨタあるきのアヒルさん」という題がついています。

「シマウマさん、こんにちは」は、2つの黒鍵、3つの黒鍵、さらに5つの黒鍵に平手で手をおいていくものです。
両手を重ね、下にある手を先にぬいて次のグループに進みます。初めは2つの黒鍵群だけに手をおき、それができるようになったら3つ、5つと行います。5つは子供の手では置ききれないので私は行っていません。
「ヨタヨタあるきのアヒルさん」は、2つの黒鍵に左手、3つの黒鍵に右手をおくものです。

これらは手の触覚から黒鍵の区別をつける狙いがあるようです。

同じページに、白鍵のシドとミファの間にハガキを挟む方法も書かれています。
区切ることで2つと3つの区別がつきやすくなりますが、見ただけで幅の違いが分からない生徒さんにはこれだけでは足りません。

物の長さの違いが見ただけでは分からない生徒さんのために、「パタパタ定規」というものを考えられた学校の先生がいらっしゃいます。
同じ幅のプラスティックの板をつなぎ合わせてそれを折りたたみ、パタパタ広げて長さを知るというものです。
例えば、Aの棒は3回パタパタさせた、Bの棒は4回。だからBの方が長いという具合です。
これをハガキで区切った部分に使えばよいわけです。
私は名刺大の紙をつなぎ合わせて使っています。これはリズムの長さを感じにくい生徒にも使うことができます。
1拍が「パタ」なら2拍は「パタパタ」というように。

見るだけでは分からない生徒さんにレッスンの度にどこが「ド」か聞いても、できない、わからない感情を
どんどん植え付けてしまいます。

「ふたつの手・12のキー」は図形に対する理解力という前提から4~7歳の生徒を対象として構成されているとあります。

鍵盤にシールを貼る前に試されてみてはいかがでしょう。




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「2つの手・12のキー」日本ショット
ユニークなテキストです。絵しかないので子供は理解しやすいようです。
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楽譜を見ること~大人編(第6号)

2012年03月29日 | 苦手なことがある子供たち
楽譜を見ることについて大人の方の話を付け加えたいと思います。

最近は携帯電話やパソコンを四六時中見ている大人が増えています。
顔を上げて視野を広く使っていないので、大人でも目がしっかりと動かせない人がいます。

楽譜を見ながら演奏する時は、弾いている所より少し先を見て弾きます。
ところが、目を先へと進めたいと思っても、その意志に反して目がついて行かないという方がいらっしゃいます。

目の筋力が衰えているのでは?というお話をして、大人の方でも逆あみだや迷路を試してみても良いと思いますが、他に次のような方法の方が大人の方には受け入れられやすいと思います。

あごが上がらないように片手で軽くあごを押さえ、もう一方の手で空中に大きく丸や四角を描き、それを目で追う方法です。
一方向だけでなく逆方向も行います。

目がよく動かせなくなっている方は、ご自分の顔より一回り大きい程度のもので「これが限界です。これ以上は見えません」とおっしゃいます。

丸や四角を大きく描けても、少し見にくいと感じる部分があるかもしれません。
私は左上が見にくいと感じました。そういえば楽譜は、D.C.やD.S.、リピートがない限り左上に目を素早く動かすことはないと、これを行って気付きました。

若い時と違い、放っておくと色々と衰えてくるお年頃です・・・。
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