年明け早々に読んだ本が、
「夜と霧」
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
アウシュヴィッツ収容所を経験したウィーン出身の精神科医の本です。
そこであった出来事の報告ではなく、
強制収容所の日常がごく普通の被収容者である著者の魂に
どう映ったかを書いたものです。
生きる目的、なぜ生きるか、を
事あるごとに意識させられたと。
ニーチェの格言
「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」
は、的を射ているといいます。
生きる目的を見出せず、生きる内実を失い、生きていても何にもならないと考え、自分が存在するところの意味をなくすとともに、頑張り抜く意味も見失った人は痛ましい限りだった、と。
生きることからなにかを期待するのではなく、180度方向転換して、生きることが私たちから何を期待しているのかが問題なのだ、と。
一人一人の人間に備わっているかけがえのなさは、
意識された途端、人間が生きるということ、生き続けるということに対して担っている責任の重さを、まざまざと気付かせる。
自分を待っている仕事や愛する人間に対する責任を自覚した人間は、生きることから降りられない。
過酷な体験をした著者が主観的に書いていないだけに、その言葉には説得力があります。