3歳の自閉症の男の子のレッスンは、ゆっくりではありましたが少しずつ反応が良くなっておりました。
2カ月くらい経つと、少しずつ手を動かしたり声を出すこともするようになっていました。
家では、レッスンでしたことを一人でやり始めることもある様子でした。
こんにちはのリズムを手の平にトントンしたり、グーチョキパーの歌と共に手を動かしたりと。
ところが半年くらい経った頃、お母様の方が体調を崩され、しばらく頑張ってレッスンに連れて来られていましたが、療養しなければいけない状態になってしまいました。
国に帰って治療すると。ご出身が外国の方でした。
それで彼はレッスンに来られなくなりました。
お父様が1度だけ連れて来られましたが、手に負えない様子でした。
レッスン室のドアを開けると、ピューッと飛び出しあっという間に姿が見えなくなってしまいました。お母様と一緒の時はそのようなことが一度もありませんでした。あの体験レッスンのドアを開け放した時でさえ。
お母様が痩せてこられていたので、気になっておりました。
もう一人の自閉症の生徒さんのご両親と、お話をする機会を作った方が良いのではと思っておりましたが、出過ぎたことかとも思い、踏み出せませんでした。
今思うと、もっとお母様にお子さんはよくやっていることを伝え、お子さんとお母様のお二人を褒めるべきだったと思います。
異国の地で、しかも発達障がいの情報自体が日本では十分ではなかった頃です。
不安に思われていたことが多かったはずです。
私に経験が少なく、もう一人の生徒さんもどうなるのかわからない中で私自身も自信がありませんでした。
力になれなかったことを、今も悔やんでいます。