面白いリサイタルに行ってきました。
プロコフィエフがアメリカに行く船に乗るための経由地、日本で行ったリサイタルのプログラムを再現したコンサートです。
プロコフィエフはそんなつもりで日本に来たわけではなく、日本に到着した時にちょうどアメリカ行きの船が出港したばかりで、次の船まで2カ月待たなければいけなかったのです。
長い期間だったもので、経済的に少しでも余裕をもってアメリカに行きたかったので、じゃピアノコンサートをしようかな、というので東京2回、横浜1回とリサイタルを開催したのです。
その横浜でのプログラムを横浜在住の阪田知樹さんが演奏しました。
プログラムはこちら。
前半の小品は、私はロシアの子どもたちの演奏で耳にしていましたので、今は知られている曲だけれど、大正時代の日本人にはどんな風に聞こえただろうと思いながら聴いていました。
阪田さんのプロコフィエフは珍しいなと思いましたら、前半のプロコフィエフは弾いたことのない曲だったそうです。
小品も聞いたことのない曲だったと。
あの阪田さんが?と意外でしたが、それだけプロコにはさほど興味がなかったようで。でも、楽譜を探したら持っていたと。
プロコはピアノソロは3番、7番のソナタしか弾いたことがなかったそうです。
このお話をいただいて、あまりプロコフィエフを弾いてこなかったので、自分は探求心があって知りたいと思ったのでこの機会にやってみよう、と思ったのだそうです。
阪田さんのプロコフィエフ、良かったです。
知的でどのフレーズも何がそこにあるかよく描き出してくれていました。しかもふわりと軽く柔らかい音から、芯のある重厚で果敢な音まで多彩に、そして勇猛に突き進むところも見せながら見事に演奏されていました。
実は今月、エマールのリサイタルで阪田さんに遭遇したのですが、以前からこのお2人は少し似た感じがあるなと思っていました。
今回、阪田さんのグングン突き進むプロコを聴いて、現代曲を弾く時のエマールを思い出しました。
エリザベートコンクールを聴いて私は阪田さんの演奏が好きになったのですが、あの時はもっと思い切りの良さがあっても良かったのではないか、もっと狙いに行っても良かったのではないか、と思いました。
そして、入賞者コンサートで弾いたリストのコンチェルトを聴いて、あら?阪田さんなんでその勢いをコンクールで出さなかったの?と思いました。
しかし、昨年聴いたラフマニノフのコンチェルト全曲、そして今日のプロコフィエフを聴いて、明らかにひと回り、ふた回り以上に成長していると心強く感じました。
今年はもう1回阪田さんのリサイタルを聴く機会があります。
そして、来年はずっと聴きたいと思っていたリストのコンチェルト。しかも全曲!
楽しみです
ピアノは私にとってただの趣味になっているかと思うくらい、違う世界にいる人なのだなぁ、と思います。
このコンサートを企画された浦久俊彦さんとのアフタートークで、プロコフィエフの短編集の話が出ていました。
私も読んだことがありまして、以前書いた記事がこちらです。
毒舌プロコの日本人観客の話もあります。
プロコフィエフ短編集 - おとのくに♪♪