これは自閉症の女の子に、なんとか音の読み方を覚えてほしいと思い、試したことです。
「ふよみなんてへっちゃら(共同音楽出版社)」というテキストがあります。
最初にしたことは、高さの違う5つの「ド」を覚えてもらうこと。
これが覚えられなければ、たぶん何をしても無理だろうと思いました。
私が抵抗を感じるほど何度も繰り返し、5つの音のカードと鍵盤の位置は覚えられました。
そして次に行ったのは、このテキストにある簡単に音の読み方を覚えられる「みそしるレモンフランスパン」
ト音記号の第1線が「み」
一つとびで読むと「みそしれふぁ」になるので、それを「みそしるレモンフランスパン」と覚えてしまうものです。
最初にこの「みそしる」の話をした時に、彼女はたいへん興味を示し「もっと教えて」と言いました。なんだかワクワクしました。
こんな言葉、他の生徒さんからも聞いたことがありませんでした。
嬉しい言葉です。
しかしその日は、ちょうど時間がきてしまい、「みそしる・・」の読み方を詳しくすることは出来ませんでした。
翌週、その続きをしようとしましたら、彼女は興味を失っておりました。
こうなると興味を呼び覚ますのは至難の業です。
私はあきらめました。
たとえ興味を持ち続けていたとしても、この方法は彼女には向いていなかったのではないかと思いました。
なぜなら、その順番でしか読めないからです。
第2線にある音が何かと言うことになると「みそしる、だから、ソ」と考えていくことがおそらくできないであろうと思いました。
丸暗記はたいへん得意です。しかし、それを活用する力には恵まれていない。そのことを受け止めるのに私が1年以上かかってしまいました。
結局、彼女に多少なりとも有効だったのは、当時使っていた「アルフレッドレッスンブックA」でした。
その話は次回にいたします。